7月11日(ブルームバーグ):
7月3週(14-18日)の日経平均株価 は2カ月ぶりに続落しそうだ。
高いバリュエーションへの警戒、米国の利上げ時期をめぐる思惑から欧米株が高値波乱の様相を呈し、南欧の銀行不安も浮上している。
国内の決算発表シーズンを前にした端境期で、積極的にリスク資産を買いにくい。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券の投資情報部長、藤戸則弘氏は
「次週になれば、日本電産 など主要企業の決算が出始めるが、それまでは薄商いの中で材料株物色が続かざるを得ない」と予想。
需給面からも、国内年金資金とみられる買いが一巡する一方、海外投資家 のマインドも
「母国マーケットの影響を受ける」と指摘する。
第2週の日経平均は週間で1.8%安の1万5164円4銭と反落、欧米株下落の流れを受け投資家の間でリスク回避姿勢が強まり、業種別指数は証券・商品先物取引やその他金融、鉄鋼を中心に幅広く下げた。
5月19日を底値とし、約5カ月ぶりの高値を付けた7月4日までの上昇相場の最終局面では、法改正の思惑や燃料電池車の年度内発売などを材料に消費者金融 や格安スマートフォン 、水素エネルギー関連 株が人気化。
台風接近で沖縄県に初の特別警報が出された8日には損保 株が下げた半面、復旧需要を当て込み低位電線 株が急騰した。
海外勢、国内機関投資家の間で見送りムードが広がる中、個人投資家など一部短期資金は値動きの良い材料銘柄に流入。
しかし、これらの中にも足元で調整色を強める銘柄が出てきており、証券ジャパン調査情報部長の大谷正之氏は、「雰囲気先行、買いが買いを呼ぶ短絡的な動きが目立ち、個別物色も極まれりの様相」と話す。
米中小型株に暗雲、欧州銀行問題
米国株市場では、値動きの良さから「モメンタム銘柄」と呼ばれるインターネットやバイオ関連といった中小型、新興企業の下げが目立ち始めており、週前半にはナスダック総合指数 が5月以来、ラッセル2000種 指数は4月以来の下落率を記録。
米国株オプションの指標で、投資家の恐怖心理を示すシカゴ・ボラティリティ指数(VIX )は、2007年以来の低水準から反発している。
欧州株も調整ムードで、ストックス欧州600 指数は4月中旬以来、投資家の中期売買コストを示す75日移動平均線を下抜けてきた。
10日には、ポルトガル第2の銀行であるエスピリト・サント銀行 の親会社が、発行した短期証券の一部について償還が遅れると発表。
金融不安再燃の影もちらつく。
6月の雇用統計をはじめ、米経済統計は寒波が直撃したことし初めの状況から改善傾向にあり、米企業決算で先陣を切ったアルミ大手アルコアの4-6月期(第2四半期)売上高と利益は市場予想を上回った。
マクロ、ミクロとも堅調ながら、株式市場が変調を来している背景には、高水準に達したバリュエーションがある。
S&P500種株価指数の予想PERは16.6倍 、ストックス欧州600は15.2倍 で、いずれも年初来最高値圏だ。
米チェース・インベストメント・カウンセル社長のピーター・タズ氏は、
極端に上昇していた銘柄に利益確定売りが出たのは明らか。
PERで見たバリュエーションがかなり割高な銘柄もある。
決算や収益見通しでつまずけば、もっと大幅に下げる」との見方を示す。
高バリュエーションへの警戒で欧米株市場で急落場面が増え、日本株も影響を受けたのは1月、4月にもあり、今回も姿が重なりつつある。
米利上げタイミングに神経質
良好な経済統計の裏返しで米国の利上げ時期が前倒しされ、世界のマネーフローに影響が及ぶとの懸念も欧米株波乱の一因だ。
フェデラルファンド(FF)金利先物の動向によると、15年9月までに利上げが実施される確率は5月末時点の約50%に対し、現在は7割を超す。
ゴールドマン・サックス・グループのチーフエコノミスト、ジャン・ハッチウス氏は「米経済は過去のトレンドを上回るペースに加速していると、引き続き確信している」とし、6日に米利上げ時期の予想を16年1-3月から15年7-9月に変更した。
第3週に日経平均は一時的に1万5000円を下回る可能性があるものの、大幅な調整を見込む市場参加者は少ないようだ。
三菱モルガン証の藤戸氏は、
「6月までのような高値を買い上げる動きは考えにくいが、1万5000円割れとなれば年金資金は買ってくる。日本銀行もETFを買っている」と、下値を買う投資主体の存在に言及。
証券ジャパンの大谷氏も
「企業は期初に業績計画をかなり保守的に見積もった。
徐々に業績に目が向き、上振れ観測のある銘柄が買われてくる」と予想した。
第3週の投資材料は、国内で14、15日に日銀の金融政策決定会合が開かれ、最終日は黒田東彦総裁が会見する。
海外では、
米国で
15日に6月の小売売上高、連邦準備制度理事会(FRB)のイエレン議長の議会証言、
16日に6月の鉱工業生産、
17日に6月の住宅着工件数の発表など。
利上げのタイミングを探る上で、FRB議長の発言が注視される。
このほか中国では、16日に4-6月期の国内総生産(GDP)が公表予定だ。
また、米国は日本に先行して決算発表が集中、15日に半導体のインテル、金融のゴールドマン・サックス・グループなどがある。
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浅井真樹子, 院去信太郎
更新日時: 2014/07/11 16:41 JST