6月20日(ブルームバーグ):
6月4週(23-27日)の日本株は、日経平均株価 が昨年1月最終週以来の6週続伸となりそうだ。
日米欧3極の金融緩和策を背景に、潤沢な資金がリスク資産に向かう流動性相場が続き、夏のボーナス支給で国内消費の好転期待も広がる。
みずほ証券投資情報部長の倉持靖彦氏は、
米国株のボラティリティ指数が「サブプライム問題以前にまで下がり、
市場で『グレートローテーション』『ゴルディロックス』と言われるようになった。
クレジットリスクが高まりにくい状況」と指摘。
さすがに、日本株押し上げ要因の1つである米国株の過熱感から、日経平均が「一気に1万6000円を抜ける展開は難しいが、海外投資家や信託銀行が買い、個人も信用の高値期日は過ぎた」と述べ、需給環境も改善方向にあるとみる。
第3週の日経平均は前の週末に比べ1.7%高の1万5349円42銭と5週続伸、昨年7月と3月の連続上昇記録に並んだ。
米国の連邦公開市場委員会(FOMC)は18日、毎月の資産買い入れ額を5会合連続で従来比100億ドル減らすテーパリング(量的緩和策の縮小)を決めたが、経済活動は足元で持ち直すと同時にそのペースは緩やかと分析。
相当期間にわたり低金利を維持する方針も示され、世界的な流動性相場への期待で翌19日の日経平均は1月以来の高値水準を回復した。
6月は、初めてマイナス金利政策を導入した欧州中央銀行(ECB)を皮切りに日本銀行、米連邦準備制度理事会(FRB)と3極中銀の政策会合が重なり、主要国で金融緩和状態が続くことを確認した。
米国株オプションの指標で、投資家の恐怖心理を示すシカゴ・ボラティリティ指数(VIX )は、FOMCを受けた18日に10.61と2007年2月以来の水準に低下。
日経平均のボラティリティ指数 も12年12月来の低さと、株式市場は楽観ムードに傾いている。
海外勢の間で再評価機運
世界全体の株価動向を示すMSCIオール・カントリー指数 は19日に429.80と史上最高値を付けた。
米ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズのマイケル・アローン氏は「FOMC声明はもう少しタカ派的な内容になり得た」ものの、
米金融当局が現在のインフレ数値の上昇について
「景気の過熱と受け止めていないことが分かった。市場参加者は安心するだろう」と話す。
グローバル投資家がリスク選好姿勢を見せる中、年初来パフォーマンスでなお主要国ワースト集団にいる日本株への見方も、着実に好転してきたようだ。
米バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチによる世界のファンドマネジャー調査によると、日本株の配分状況は6月にプラス21%のオーバーウエートと前月から14ポイント増えた。
2月以降、オーバーウエートの比率は低下していたが、4カ月ぶりに増加に転じた。
今後オーバーウエートしたい市場としても、1位の欧州に次ぎ日本は2位。
5月末にアジア、6月初旬に欧州投資家を訪問したメリルリンチ日本証券のチーフストラテジスト、神山直樹氏は「投資家は総じて日本株にポジティブ」との印象を持っている。
1-5月累計で日本株を1兆5000億円近く売り越した海外投資家 は、6月は1、2週で4000億円弱買い越した。
みずほ証の倉持氏も、「昨年末から年初にかけては短期のヘッジファンド中心の動きだったが、出遅れ、成長戦略に対する期待もあり、状況が少し変わってきた」と言う。
海外勢が日本株を再評価し始めた要因の1つに、消費税増税後の日本の景気の落ち込みが限定的なこともある。
日本百貨店協会が発表した5月の全国百貨店売上高 は、既存店ベースで前年同月比4.2%減の4618億円だった。
前年比では2カ月連続の減少だが、減少率は消費税増税直後の4月の12%から縮小した。
東京海上アセットマネジメントのシニアファンドマネジャー、久保健一氏は、
増税前の駆け込み需要の反動減が前回1997年当時に比べ小さい点に
ついて「有効求人倍率が1倍を上回っていることが大きい。
人手不足が言われ、倍率の上昇が一般の人にも見えていることは
デフレ脱却期待につながる」と指摘する。
夏のボーナス伸び率は過去最高
6月下旬は夏のボーナス支給の時期で、イラクやウクライナ、日本と中国を含む東アジアなど地政学リスク、中東情勢を背景にした原油相場の高騰が一段と深刻化しなければ、消費の改善傾向が今月以降も続く可能性は高そうだ。
日本経済団体連合会が5月に集計した大手企業の夏季賞与・一時金の調査 によると、回答した74社の従業員1人当たりの平均支給額は、前年比8.8%増の88万9046円。伸び率は、現行の加重平均方式で集計を開始した1981年以降で最高だった。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券のチーフストラテジスト、芳賀沼千里氏は「企業は基本給の引き上げに慎重だが、業績改善をボーナスに反映させており、賃金上昇は徐々に物価に影響を与えよう」とみている。
日本経済研究センターのESPフォーキャスト調査 によると、生鮮食品と消費税増税の影響を除く消費者物価の前年同期比上昇率は4-6月に1.27%、7-9月が1.07%、10-12月が1%と徐々に鈍化する見通し。
芳賀沼氏はこの理由を「主に円安の一巡」とするが、今後は「円安が進まなくとも、株式市場で賃金上昇に支えられたデフレ脱却への確信が広がる」と予測した。
第4週は国内で27日に5月の失業率と有効求人倍率、全国消費者物価指数、商業販売統計の公表があり、しまむら や高島屋 、ニトリホールディングス といった小売企業の3-5月(第1四半期)決算の開示が始まる。
海外では、
23日に中国で6月のHSBC製造業購買担当者指数(PMI)、
米国で5月の中古住宅販売件数、
24日に6月の米消費者信頼感指数、
ドイツのIfo景況感指数の発表などが予定されている。
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浅井真樹子, 院去信太郎
更新日時: 2014/06/20 15:58 JST