6月6日(ブルームバーグ):
6月2週(9-13日)の日本株は、ことし初の4週続伸となりそうだ。
短期過熱感や株価指数先物の特別清算値(SQ)算出への警戒で上昇ピッチは緩やかながら、海外株に対する出遅れ、PERで低位に放置された弱気相場の修正が進む。
列島の梅雨入り間もない中、サマーラリーへの期待も出始めた。
東海東京調査センターの中井裕幸専務は、
新成長戦略や追加金融緩和の先送り、集団的自衛権問題、消費税増税など相場の各種低迷要因から「期待値が下がり切ったところで、1つずつ変化が出てきている」と指摘。
夏場に向け、環太平洋連携協定(TPP)の合意や年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の株式運用比率の引き上げの可能性といったスケジュールも視野に入り、
「静かなバリュエーション修正の中で静かなサマーラリーが始まった」と話す。
第1週の日経平均株価 は、週間で3%高の1万5077円24銭と3週続伸。
経済統計の改善を受け、4月以降に低下基調を強めていた米国の長期金利が底打ち反転、一時1ドル=100円台に入っていたドル・円相場も102円台後半まで円安方向に振れ、日本企業の業績見通しに安心感が広がりやすくなった。
日経平均は3日の取引で2カ月ぶりに1万5000円を回復、TOPIXは4日におよそ5年ぶりの10連騰を記録した。
5月末時点の主要国株価指数の年初来パフォーマンスは、日経平均がマイナス10%とクリミア緊張の渦中にあるロシアと同じ。
景気への懸念がくすぶる中国上海総合指数のマイナス3.6%、先進国では米S&P500種株価指数と独DAX指数のプラス4.1%、仏CAC40指数のプラス5.2%に劣り、軍事クーデターが起きたタイSET指数のプラス9%からも大きく引き離された。
6月に入ると、5日時点の月初来騰落率は日経平均がプラス3.1%と世界の主要93指数の中で7位と巻き返し、予想PER は5月21日の13.5倍を底に14.5倍まで戻った。
しかし、米S&P500指数の16.4倍、ストックス欧州600指数の15.4倍より依然低く、アベノミクス相場が実質始まった昨年年初からの平均16.4倍に対しても修正余地を残す。
法人税減税やGPIF観測
SMBC日興証券のチーフ株式ストラテジスト、阪上亮太氏は消費税増税に伴う景気への悪影響、日本銀行が追加金融緩和に動かないことへの失望感、企業の慎重な業績計画といった売り材料が一巡した半面、法人税率引き下げやGPIFの運用方針見直し、少額投資非課税制度(NISA)の拡充など買い材料の「確度が高まっている」と見る。
阪上氏が5月中旬に欧州投資家 を訪問した際、割安感から日本株上昇への期待が多かった半面、低迷がさらに2-3カ月続けばウエート引き下げの可能性を示唆する投資家も存在し、「日本株は上昇再開か、低迷長期化かの岐路、正念場を迎えている」と感じた。
そうした中、海外投資家の関心が強い日本の制度改革について、動きが出てきている。
3日の閣議後会見で麻生太郎財務相は、代替財源を条件に来年度からの法人実効税率の引き下げに理解を示した。
田村憲久厚生労働相は6日の会見で、安倍晋三首相からGPIFの資産構成見直しを前倒しで進めるよう、既に指示を受けたことを明らかにした。
仏運用会社コムジェストの日本株ポートフォリオ・マネジャー、リチャード・ケイ氏は現在でも資産の30%近くを日本の世界的優良企業に投資している。
増税の景気への悪影響が予想より小さく、日本の大手機関投資家による国内株式買い増しの観測など材料はいろいろあるが、「日本株が数年かかるキャッチアップの過程にあり、昨年の上昇があくまで第1段階に過ぎないとの見方に変化はない」と言う。
第2週には、国内で
9日に5月の景気ウオッチャー調査、
11日に4-6月期の法人企業景気予測調査、
12日に4月の機械受注や5月の都心オフィス空室率の公表がある。
12、13両日は日銀が金融政策決定会合を開催、
13日は6月限の株価指数先物とオプションの清算が重なるメジャーSQだ。
前月の景気ウオッチャーでは、先行き判断DIが5カ月ぶりに改善、増税に伴う消費者心理の悪化が一巡した可能性を示した。
SQ、先物動向は警戒
SQについては、急激な相場反騰後だけに波乱を警戒する声も聞かれる。
大和証券投資戦略部のチーフテクニカルアナリスト、木野内栄治氏は「SQ前後までは海外投資家のポジション縮小の動きに注意が必要」と指摘。
欧州ではことし11月の銀行監督の一元化を前にストレステスト(健全性審査)が実施され、欧州金融機関ではリスク資産の圧縮が続いている可能性があるほか、例年半期末の6、12月にはポジション整理が出やすいという季節性にも言及した。
海外では、
12日に米国で5月の小売売上高、
13日には中国で5月の工業生産が発表予定。
直近で米国は供給管理協会(ISM)の景況指数、
中国は製造業購買担当者指数(PMI)で景気の改善ぶりを確認しており、トレンドの継続が期待されるところだ。
また、12日にはサッカーワールドカップのブラジル大会が開幕する。
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浅井真樹子, 院去信太郎
更新日時: 2014/06/06 16:06 JST