上場企業の間で社外取締役を導入する動きが加速している。
3月期決算の東証1部上場企業が6月の株主総会で選任する社外取締役の候補者には閣僚や大使の経験者、元スポーツ選手など経済人以外も含む多彩な顔ぶれとなった。
今国会に提出されている会社法改正案が成立すると、社外取締役を置かない場合は株主総会で理由を説明しないといけない。
このため導入企業は年内に7割を超えるとの見方もあり、上場企業が社外取締役を置くのは「当たり前」といった状況になりそうだ。
傘下の信販会社を通じた暴力団関係者への融資が昨年発覚したみずほフィナンシャルグループは、第1次安倍晋三内閣などで経済財政担当相を務めた政策研究大学院大の大田弘子教授を社外取締役(取締役会議長)に迎え、経営監視体制を強める。
ソニーは元駐日米大使のジョン・ルース氏を候補者とした。「弁護士としての豊富な経験に加え、大使としてもビジネスや行政、国際渉外に精通している」のが起用の理由だ。
変わり種では、日本の柔道女子で世界選手権を初めて制し、「女三四郎」と呼ばれた日本オリンピック委員会の山口香理事をコナミが起用する。
「多様な視点が求められる取締役会の運営に資するところが大きいと判断した」という。
元官僚も少なくない。日本テレビホールディングスは前財務事務次官の真砂靖氏を、りそな銀行は元警察庁長官の佐藤英彦氏を迎える。
ファーストリテイリングの柳井正会長兼社長が社外取締役を務めるソフトバンクは、新たに日本電産の永守重信社長を起用。
他業種の有力経営者を迎えるケースも今後増えそうだ。
野村証券の西山賢吾シニアストラテジストは「日本企業にとって社外取締役はまだ黎明(れいめい)期で、実績や名声を重視する傾向が強い。
事例が積み上がれば、より精緻な選任基準が生まれてくるだろう」と指摘する。
日本取締役協会によると、社外取締役を置いている企業は昨年8月時点で62%。
会社法改正案に加え、東京証券取引所も上場規定で「努力義務」として選任を求めており、「今年は比率が10ポイント上がる可能性もある」(野村の西山氏)という。
日本取締役協会の宮内義彦会長は「もはや社外取締役を入れる、入れないといった議論は終わった」と指摘。
今後は社外取締役の独立性や機能ぶりが問われることになりそうだ。