12月3日(ブルームバーグ):
今週の債券市場で長期金利は上昇に転じるとの見方が出ている。
前週に9年ぶりとなる節目の0.7%を割り込んだことで、市場では高値警戒感が出ているほか、国債入札が2回実施されることでいったん売りが優勢になる見通し。
長期金利の指標となる新発10年債利回りについて、ブルームバーグ・ニュースが11月30日に市場参加者3人から聞いた今週の予想レンジは全体で0.68%-0.75%となった。
前週末終値は0.70%。
前週の長期金利は、28日に今年の最低水準だった0.72%を下回り、その後も低下が続いて、3日連続で9年ぶり低水準を更新。
30日には一時0.695%と、2003年6月27日以来となる0.7%割れを記録した。
4日に衆院選(16日投開票)が公示される。選挙に関する世論調査では大胆な金融緩和策を掲げる安倍晋三総裁が率いる自民党がトップ。
新政権に対する政策期待で日経平均株価 は7カ月ぶり高値を付けた。
三井住友アセットマネジメント債券運用グループの
永見哲シニアファンドマネジャーは、
投資家の債券購入余力は十分にあるとしながらも、
「為替の円安基調や株価の堅調さはすぐには変わらないとみており、
需給は良好といえども、買いに勢いがつく可能性は低い」と話した。
国内景気に対する過度な懸念後退も金利の上昇要因。
前週発表の10月の鉱工業生産指数はマイナス予想に反して4カ月ぶりに上昇に転じた。
野村証券の松沢中チーフストラテジストは、
「景気後退にあることが、日本国債金利が独歩で低下するのを正当化してきたが、生産統計では景気の底が思ったよりも早く、来年1-3月に
訪れる可能性が示された」と分析した。
10年と30年債入札
需給イベントでは、4日に10年利付国債(12月発行)の入札が実施される。
前週末の入札前市場で10年物は0.735%程度で推移。
このため、表面利率(クーポン)は前回債から0.1ポイント低い0.7%か、横ばいの0.8%となる見込み。
0.7%となれば03年6月以来の低水準となる。
発行額は2兆3000億円程度。
6日には30年利付国債(12月債)の入札が実施される。
今回は前回の37回債と銘柄統合するリオープン発行となり、クーポンは1.9%。発行額は7000億円程度。
前週末に集計した市場参加者の今週の予想レンジは以下の通り。
先物は12月物、10年国債利回りは325回債。
◎みずほ信託銀行の吉野剛仁チーフファンドマネジャーは
先物12月物144円40銭-145円10銭
10年国債利回り=0.68%-0.75%
「高所恐怖症で投資家は押し目買い姿勢か。
前週は材料が出ると、我慢しきれずに買う展開だったが、金利水準が切り下がったこともあって無理をして買いを積み上げることもないだろう。
10年債入札は無難に通過するとみているが、ここ数年は12月に株式相場が堅調となる傾向があり、為替は円安方向にトレンド転換した可能性が高く、長期金利の低下余地には限界がありそうだ」
◎DIAMアセットマネジメントの山崎信人エグゼクティブファンドマネジャー
先物12月物144円50銭-145円10銭
10年国債利回り=0.68%-0.74%
「長期・超長期債の入札が続き金利低下は一服。短期的に需給が最も良い時期を過ぎた。
選挙をめぐり、各党が金融・財政政策に積極的な中で株高の流れも変わりづらく、緩和期待だけで高値を抜けていく環境ではない。
財政拡大が徐々に具体化していくとみられ、超長期債は増発が気になる。
30年入札は好んで買われるゾーンではない上、10年入札も高値で需要が集まるか不透明。準備してなんとかこなす感じだろう」
◎トヨタアセットマネジメントの浜崎優チーフストラテジスト
先物12月物144円40銭-145円00銭
10年国債利回り=0.68%-0.75%
「米国で財政の崖に関するオバマ大統領と議会の交渉が不調となれば、米金利が低下し、国内金利も低下する可能性がある。
時間切れで1-2カ月延長して越年になるのではないか。
10年債入札ではクーポンは0.7%となりそうだが、波乱く消化されるとみている。総選挙の結果が出るまで大きな動きはなさそう。
連立の枠組み次第では政局も一筋縄ではいかないので、金利は上昇しにくい」
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更新日時: 2012/12/03 07:30 JST