11月5日(ブルームバーグ):
今週の債券市場で長期金利は約1カ月半ぶりに0.8%台に乗せるとの見方が出ている。
米国で雇用関連など経済統計が改善したことや米大統領選挙に絡んで、金利に上昇圧力が掛かりやすいことが背景にある。
長期金利の指標となる新発10年債利回りについて、ブルームバーグ・ニュースが2日に市場参加者3人から聞いた今週の予想レンジは、全体で0.75%-0.80%となった。
0.8%台乗せとなれば9月21日以来となる。前週末終値は0.775%。
前週の長期金利は0.755%から0.785%の狭い値幅で推移した。
日本銀行は10月30日の金融政策決定会合で2カ月連続となる追加緩和を決めたものの、資産買い入れ等基金の増額幅が事前の予想範囲内だったことから相場の反応は限定的だった。
一方、2日に発表された10月の米雇用統計では、非農業部門の雇用者数が前月比17万1000人増加と、ブルームバーグ・ニュースがまとめた事前予想(12.5万人増)を上回り、米長期金利が一時1.78%近くに上昇する場面があった。
こうした中、6日に米大統領選挙が実施される。
1日公表されたABCニュースと米紙ワシントン・ポストの世論調査によると、
両候補の支持率は民主党のオバマ氏は49%、
共和党のロムニー氏は48%となっている。
市場では民主党のオバマ氏の勝利をメーンシナリオにしている。
一方、共和党のロムニー候補は米金融当局の緩和策に反対を表明していることから、同氏の当選は米金利上昇要因になるとの見方が出ている。
野村証券の松沢中チーフストラテジストは、米大統領選について、「市場はオバマ勝利を7割弱織り込んでいるとみられ、その通りの結果でも反応は比較的小さい」と予想する。
一方、ロムニー氏の勝利でリスクオン(選好)、債券ベア・スティープ化に動いた場合、逆張りスタンスを取りたいと言う。
松沢氏は、いずれの候補が大統領となっても財政緊縮策を取る流れに大差はないとし、「これを乗り越えるほど民間需要が強くなった証左は乏しい」とみている。
40年債入札に注目
8日には、40年利付国債(11月発行)の利回り競争入札が実施される。今回は前回5回債と銘柄統合するリオープン発行となり、表面利率(クーポン)は2.0%。
発行額 は前回債と同額の4000億円程度。
新発40年物の5回債利回りは、1日に2.175%と昨年12月以来の高水準を付けたが、その後2.16%まで戻した。
SMBC日興証券の末沢豪謙チーフ債券ストラテジストは、前週後半のスティープニング(傾斜化)はやや一服感も出ていると指摘。
ただ、「海外投資家の超長期国債投資は、政治リスクなどから一部に慎重姿勢も見られており、やや波乱も想定される」とみている。
一方、野村証の松沢氏は「40年債入札は買いの好機。すでに購入を正当化できる金利水準にあり、大統領選後でスティープ化リスクも薄らぐ」との見方を示している。
前週末に集計した市場参加者の今週の予想レンジは以下の通り。
先物は12月物、10年国債利回りは325回債。
◎マスミューチュアル生命保険の嶋村哲金利統括グループ長
先物12月物143円65銭-144円25銭
10年国債利回り=0.76%-0.80%
「金利は若干上昇気味か。米大統領選後の為替の反応が焦点になりそう。
大統領選では、オバマ氏が勝てば大きく変わらないだろうが、ロムニー候補が勝てば、円安に振れる可能性があり、債券にも売りが出るかもしれない。
財政の崖に関心が移り、流れが変わるのではないか。
ただロムニー氏が勝利した場合でも、これまでの金融緩和政策を完全に否定することはないと思う」
◎大和証券の山本徹チーフストラテジスト
先物12月物143円80銭-144円50銭
10年国債利回り=0.75%-0.80%
「大統領選後の米金利の動きに振らされる。
米10年債利回りが1.5%か2.0%か、いずれかの方向に向かうとみられ、円債もそれなりに動きが出るだろう。
日米とも金利上昇要因は政治で、それがロムニー候補であり、安倍晋三自民党総裁だ。
増発などの影響で超長期債は手を出しづらい状況が続くが、日銀には一段の緩和要請が見込まれて中長期債は盤石さを増す方向で、超長期債だけふらふらしやすい」
◎トヨタアセットマネジメントの深代潤チーフファンドマネジャー
先物12月物143円80銭-144円30銭
10年国債利回り=0.75%-0.80%
「為替市場での円安など金利上昇方向の材料には注意が必要だ。
機械受注統計が弱いと、本来は債券買いの材料だが、円安圧力を通じて売られる可能性がある。
長期金利は0.7%台後半中心と、基本的に1カ月以上続く取引レンジが継続するとみている。
大統領選後に米金融市場は振れが拡大か。
ただ、足元のマクロ経済への影響は限られるため、円債相場が動意付く展開までは見込めない」
記事についての記者への問い合わせ先:
東京 山中英典 h.y@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先:
Rocky Swift rswift5@bloomberg.net ;
大久保義人 yokubo1@bloomberg.net
更新日時: 2012/11/05 07:32 JST