2012.10.1 沿線に資本集中 原点回帰の傾向
--渋谷ヒカリエや東京スカイツリー、東京駅など駅や駅周辺の再開発が相次いでいる
「鉄道各社がこれだけ再開発に力を入れるのは、沿線人口が減り、景気もさほど良くないなど、今後の経営環境はあまり明るくないとみているからだ。
再開発で保有資産の有効活用を図るとともに(沿線地域の付加価値につながる)『沿線価値』を高め、鉄道旅客関連の収益増にもつなげることを狙っている」
--鉄道各社の沿線開発はどう変化してきたのか
「一部で沿線以外に流通施設やホテルを展開する動きが過去にあったが、利益を上げられなくて撤退し、再び沿線に資本を集中投下する『原点回帰』がみられる。
国内の人口が減少傾向に入り、基本に戻る意識が強くなったのだろう」
--「駅ナカ」の展開に象徴されるJR東日本の戦略は
「駅などの再開発は私鉄よりも後発だが、JR東京駅の八重洲口側にオフィス用などの高層ビルを整備したことで、営業利益ベースで毎年100億円近い貢献があるだろう。
丸の内側はそこまで収益効果はないが、JR東のブランドイメージを高める効果は大きい」
--注目する今後の再開発は
「東京の新宿や渋谷、田町駅などで、いずれもJR東が関係する。
特に田町駅は羽田空港にも近く、近辺の品川駅が将来的にリニア中央新幹線の発着駅になることから、2020年代には相当な収益をもたらすポテンシャルの高いエリアになる」
--私鉄はどうなる
「人口減少で在来線の通勤・通学需要は厳しく、今後の経営は難しい。
それを補う大きな再開発案件は東京急行電鉄の渋谷、阪急阪神ホールディングスの大阪・梅田以外は見当たらない。
海外進出などの試みがないと、利益は伸びないだろう」
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【プロフィル】
姫野良太
ひめの・りょうた 慶大経卒。
明治ドレスナー・アセットマネジメント、
三菱UFJモルガン・スタンレー証券などを経て、
2012年4月バークレイズ証券。
運輸部門担当のアナリストを務める。
31歳、大分県出身。