[東京 21日 ロイター]
9月のロイター企業調査によると、尖閣諸島問題など外交問題が事業計画に影響すると答えた企業が4割にのぼり、中国事業の見直しを想定する企業が少なからずあることが明らかとなった。
想定される具体的影響としては、日本製品の不買運動の広がりや中国向け輸出の減少に加え、中国人従業員からの法外な賃上げ要求、中国拠点閉鎖、事業撤退なども含まれている。
また、日本のアジア外交で重視する視点として、企業はビジネスの円滑化だけでなく、歴史的経緯や国土防衛も重要視していることがわかった。
この調査はロイター短観と同時に大企業・中堅企業400社を対象に実施。
調査機関は8月31日─9月14日。
回答は260社程度、製造業、非製造業がほぼ半数ずつ。
<外交による影響を想定は4割、拠点閉鎖や代替地検討も>
調査は中国で反日デモが拡大する前の14日までに行った。その時点で、政府のアジア外交の影響で事業計画や決断に「影響がある」との回答は41%だった。
「あまりない」が51%。
その後、対日デモの広がりや過激化が見られ、事業計画の見直しを迫られる企業は調査時点より増えているとみられる。
事業計画に影響があるとする企業からは、目に見える形での不買運動、
デモ・破壊行為に加え、水面下での影響として
「税関で正規手続きの輸出部品の足止めという嫌がらせを受けた」(機械)、
中国企業により「入札からはずされた」(輸送用機器)──などといった影響が既に出ていた。
今後については
「現地法人設立認可の不承認の動き」(サービス)、
「現地従業員からの法外な賃上げや解雇従業員からの法外な要求」(電機)を懸念する企業もある。
こうした影響が出た場合を想定して「拠点閉鎖、人員引き揚げを視野に入れる必要」(金属)、
「中国進出計画の慎重化と代替地検討」(化学)、
「中国進出は見合わせる」(多くの企業)などと事業計画の変更を検討している企業もあり、事態の展開によっては日中ビジネスの大幅見直しも視野に入っている。
業種別にみると、影響があるとの回答が最も多かったのは
卸売で65%、
次いで輸送用機器の62%、
電気の57%などとなっている。
<アジア外交の視点、防衛・歴史的経緯も重視すべき>
中国・韓国 との領土問題が深刻化していることを踏まえ、日本の外交関係で
重視すべき視点を聞いたところ、企業の考え方はまちまちとなった。
尖閣諸島問題などの影響が事業に及ぶ中でも、「ビジネスの円滑化」を重視すべきとの回答は27%となり、他の回答と大きな差は出なかった。
「歴史的経緯や国際法」が27%、
「国土防衛」が21%、
「資源確保」が20%
と、いずれも同程度の割合を占めた。
今回は領土問題が絡んだ外交だけに、ビジネスだけでなく、国家関係という
大局的な視野に立ったさまざまな視点が重要と認識している企業の姿が示された。
(ロイターニュース 中川泉 編集:石田仁志)