四国遍路ぶらり寄り道 86番札所・志度寺 志度寺海女の墓(香川県さぬき市) | 人生の水先案内人

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志度寺海女の墓(香川県さぬき市) 86番札所・志度寺

母の愛伝える「伝説」

「結願のまち」香川県さぬき市にある四国霊場八十六番札所・志度寺。

駐車場を抜けて本堂を目指す途中、苔(こけ)むした石造物が目に入る。

五輪塔の形をしているのは「海女の墓」。

悲しい一人の海女の伝説に由来している。

今から千三百年前。

唐に嫁いだ藤原鎌足の娘・白光は、

亡き父の供養として三つの宝物を奈良の興福寺に贈る。しかし、

宝を積んだ船が志度沖に差し掛かったとき、

宝物の一つ「面向不(めんこうふ)背(はい)の玉」が

竜神によって奪われてしまった。

白光の兄・不比等(ふひと)は玉を取り戻すため、

身分を隠して志度を訪れる。

そこで一人の海女と恋に落ち、房前(ふさざき)をもうける。

数年後のある日、不比等から素性と本来の目的を聞かされた海女は

「私が玉を取り返してきます。

その代わり、房前を藤原家のお世継ぎにしてください」と言い残し、

一本の命綱だけを頼りに海へ潜る。

しばらくして、海女からの合図で不比等が綱をたぐり寄せると、

海女は手足を竜神に食いちぎられていたが、

十字に切った乳房の中に奪い返した玉を隠していた。

不比等に玉を渡した後、海女はそのまま夫の腕の中で息絶えてしまう-。

海女の墓は、後に大臣に出世した房前が、

自分の幸せを願って命を懸けてくれた母を思って建てたものと伝えられている。

三年前からほぼ毎日、墓の掃除を行い、

花や線香を供えている近くの女性(80)は「伝説と史跡は地元の誇り。

たくさんの人に気持ちよく参ってほしいから、全く苦にならんのよ」と笑う。

今でも多くの地元住民に支えられ、現代に息づく「海女の玉取り伝説」。

悠久の時を越えて伝えられる母の愛は、

もうすぐ結願を迎えるお遍路さんの心に何を残すのだろう。




《メモ》
志度寺は86番札所。
JR高徳線志度駅から北東に徒歩10分。
626年ごろ、仏師が漂流してきた霊木で本尊を刻み、
堂宇を建てたのが始まりとされる。
真言宗善通寺派。
本尊は十一面観世音菩薩。

境内には高さ33メートルの五重塔がそびえる。
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【写真説明】志度寺の入り口脇にたたずむ「海女の墓」。
本堂を参拝する前に多くの観光客が立ち寄っている=さぬき市志度