2012.5.5 01:42
海外旅行や留学に行かず国内での安定した生活を希望するなど、近年「内向き志向」とされてきた若者に、就職活動を通じて海外へ目を向ける“変化”が出始めている。
不況で国外に活路を見いだす企業が、留学経験者など国際社会で活躍できる人材の獲得に乗り出したことの影響だ。
内定者の約6割が「グローバルな人材になりたい」と答えた調査結果もあり、「内」から「外」への意識改革が加速しそうだ。(玉嵜栄次)
「卒業証書を持って、熱帯雨林へ。」。
ソニーの製造子会社のマレーシア現地法人は今春、
新卒者向けの採用サイトにこんなうたい文句を掲載した。
これまでは現地採用が中心。
昨春に同じうたい文句で、初めて日本国内で新卒の社員募集したところ
、数人の枠に100倍近い応募が殺到した。
ソニー広報センターの新中さつきさん(28)は「応募者からは今すぐ海外で働きたいという熱意を感じた」と驚く。
今年4月に入社した大学生778人を対象に、就職情報サイト「リクナビ」が昨年12月にアンケートしたところ、59%が「グローバルで通用する人材になりたい」、48%が「グローバルで通用する人材になるため実際に行動した」と回答。
53%が語学の勉強、61%が語学資格の受験、19%が留学などの海外経験を行っていた。
背景には採用の変化がある。
就職情報会社「ディスコ」が行った今年2月の調査に回答した1245社のうち、「今春、留学経験者を採用する」とした企業は前年度比約10ポイント増の22%。
経済同友会の調査でも「留学が採用に影響しない」とする企業は平成18年に72%だったのに対し、22年は60%まで減り「外向き」の人材に注目が集まる。
キャリア形成に詳しい東京大学の村上壽枝・特任専門職員(43)は
「企業にとって留学経験はこれまで、サークル活動やアルバイトと同列の扱いだったが、
人口減や内需の底打ちで海外進出は避けられず、国際的な人材を確保しなければ立ちゆかなくなった」と指摘。
原発停止による電力不安や円高で、国外に進出せざるをえない企業ならではの事情が拍車をかけているという。
秋入学導入を進める大学の変化も追い風だ。
留学すると帰国時に採用が終わっていたり、就活期間が短期化したりすることが多かったが、経団連が留学生向けの就職説明会を今年8月に計画するなど、学生が海外に出やすい環境が整いつつある。
ただ、リクナビの岡崎仁美編集長(41)は「秋入学は追い風と思うが、
企業は留学実績ではなく海外生活で言語や文化の壁を乗り越えた
“攻め”の経験に注目している」と話している。