2012.5.19 02:29
政府が夏の電力需給対策を決定したことで、企業は厳しい節電対策が求められる。
自家発電の増強や製品の作りだめ、電力に余裕のある工場への生産移管など対策を練っている。
だが、猛暑になれば電力不足は深刻化。
発電施設の増設などによるコスト負担に伴う業績への影響に不安が広がっている。
■工場で融通
製紙大手の日本製紙グループ本社は、発電設備に余裕のある九州の工場から関西の4工場に供給する。
15%の節電目標が設定された関西電力管内の工場には自家発電設備がないからだ。
九州の八代工場(熊本県)にはバイオマスや石炭火力など複数の自家発電設備を備え、最大発電量は14万キロワット以上。
関西電力管内での節電で不足するとみられる2400キロワットの電力を融通して4工場の生産を維持する。
昨年の電力不足の経験から、自家発電設備の増設に取り組んだ企業は少なくない。
移動式の発電機を導入しているのはアサヒビール。移動式発電機を名古屋の工場に保管しており、「必要に応じて全国で機動的にしたい」(同社)とする。
東レも1千キロワット以上の移動式発電機の調達を検討している。
■作りだめ
電力の余裕ある地域への生産移管や「つくりだめ」の動きも出ている。
武田薬品工業は、今夏の電力不足を見据えて5月の連休中に大阪工場(大阪市)を稼働させて医療用医薬品を備蓄生産した。
さらに、中国電力管内の光工場(山口県)での代替生産も検討している。
新日本製鉄の宗岡正二社長は「生産の前倒しなどで夏場にフル生産しないよう工夫したい」とし、電力に余裕がある地域への生産移管も想定し、夏場の生産計画を練り上げている。
日本ハムの竹添昇社長も節電策として関西の工場から関東など他地域への生産移管を検討している。
■地道に節電
自動車業界は昨夏、木・金曜日を休業し、電力に余裕がある土・日曜日に稼働する「輪番休業」に取り組んだが、今年は「負担が多い」(トヨタ自動車の豊田章男社長)と実施を早々に見送った。
「輪番休業以外でも15%程度の節電ができた。
このノウハウを生かしたい」
(自動車大手)と多くの社は地道な節電で乗り切る構えだ。
流通業界も節電を強化。
セブン-イレブン・ジャパンは店舗での発光ダイオード(LED)照明やスマートセンサー、太陽光パネルの導入を拡大。
LED照明は2月末時点の9千店から早期に全店約1万4千店にするほか、太陽光パネルを年度内に500店増やす。
企業の節電対応をめぐっては、昨年は東日本大震災による工場被災で、サプライチェーン(部品供給網)の寸断で計画通りの生産ができず、結果的に節電につながった側面もあった。
しかし今年は、工場が復旧しているだけに、電力不足を賄うための費用が増えて、業績を悪化させる恐れがある。