2012.3.31 05:00
冷え込みが続く景気を背景に国内の建設需要が伸び悩む中、
ゼネコン各社は医療機関の統廃合による新規需要が旺盛な病院や
福祉施設の受注強化に乗り出した。
病院建設ではシェアが高い清水建設だけでなく、
中堅ゼネコンの戸田建設なども受注を伸ばしている。
本格的な震災復興需要が遅れていることもあり、
国内で収益が期待できる数少ない分野として、受注競争が激しさを増している。
清水建設は医療福祉系の建設で圧倒的なシェアを持ち、
2011年4~12月期の受注額は前年同期比22.7%増の877億円と、
オフィスビルなどに次ぐ。
同社は昨年、大阪市の阪南市民病院の改築工事で、
設計と施工の一括契約を受注した。
提示した契約価格は他社より高かったものの
「1社で設計と施工が行える強みが受け入れられた」(小松正樹常務)という。
同社は、高度医療機器などを組み込む複雑な医療系施設の
受注に対応するため、本支店間の連携で人材育成を強化。
各支店の営業マンを対象に「社内留学制度」を導入し、
医療コンサルティングの実務を数カ月間経験することで能力向上を図る。
大林組は、全支店の営業を側面支援する「医療福祉推進部」を中心に、
社内各部門との連携強化で受注増を狙う。
免震・耐震といった性能面に加え、
病院のBCP(事業継続計画)に関連する技術提案や環境・省エネ技術の
提案も積極的に行い、他社との差別化を進める。
同社は国立国際医療センターなど公立系病院の建設実績が多いものの
、受注増には民間の大手病院グループへの売り込みも欠かせず、
営業面での人員増強を検討中だ。
一方、中堅ゼネコンも病院建設の受注に食い込む。
戸田建設は「医療の内容や事業性などに合わせ、
多くの提案を用意できることが強み」(広報部)と自負する。
特色を伸ばすとともに、組織力を高めて全社的に態勢を強化する構えだ。
国土交通省の建設工事受注統計によると、
民間の医療福祉施設の受注高は2009年以降に伸びが拡大し、
11年は前年比45.4%増の8704億円と、1位の住宅に次ぐ規模となっている。
高齢化の進行に加え、東日本大震災を契機とした建て替えや
耐震補強工事など医療、福祉施設の需要は今後も増加が見込まれている。
ただ、参入企業も多く、受注獲得には徹底的な差別化戦略が求められそうだ。
(那須慎一)