【宜野湾】
「(頭上近くを飛ぶのは)そんなに多いわけじゃないんでしょう?」―。
日常的に米軍機が上空を飛行する宜野湾市の普天間第二小学校について23日、米軍普天間飛行場を見渡す嘉数高台に立った田中直紀防衛相が発した軽い一言。
「世界一危険」とされる同飛行場に隣接し、開校から42年間も爆音と墜落の不安にさらされ続けている同校の現実とは、あまりにもかけ離れていた。
「基地負担の軽減」「沖縄との信頼」と繰り返す政府の“二枚舌”が、またもあらわになった。(鈴木実)
田中防衛相はこの日午前、嘉数高台から同飛行場を視察。
周辺に住宅が密集する状況について真部朗沖縄防衛局長から説明を受け、普天間第二小や沖縄国際大学の場所を確認した。
田中防衛相は同小学校について、
「ヘリが(定められた飛行経路から外側に)広がると、すぐ頭上に降りてくるというが、そういうケースはそんなに多いわけじゃないんでしょう? どうなんでしょうか」
「そういうケースは結構あるもんなんですかねえ?」などと、特に悪びれた様子もなく真部局長に“素人質問”。
同局長は「できるだけそういうことを避けるようにしているが、少し大回りする場合は上空を飛ぶように見えることもある」と説明した。
同校は滑走路の北側の端に近く、日常的に輸送機やヘリが離着陸や旋回訓練をする。
特に南風の場合、軍用機は北側から高度を落として着陸するため、まるで学校に突っ込んでくるかのように見える。
同校の知念春美校長は一昨年7月、文部科学省の学校訪問に備え、
試しに校長室から見える飛行状況をメモしてみた。
午前10時3分、同8分、同13分…。
たった1時間で、大型輸送機のタッチアンドゴーが14回。
その間、ヘリも9回着陸したが、あまりにも多すぎて時刻をメモすることさえできなかった。
「この子たちがどんな環境で学んでいるか、少しは勉強してから来てほしい。
飛行の騒音やエンジン調整音、墜落の危険…。
こんな学校は世界のどこにもない」。
防衛トップの認識の甘さに胸を痛める。
同校の村上ゆかりPTA会長も「発言が軽い。
県民がどう思うか考えていない」と無念そう。
2010年5月に鳩山由紀夫首相(当時)が同校を訪れた際、村上さんは「墜落事故が起きるかもしれない。
子どもたちを守ってください」と訴えた。
その言葉は、政府に届かない。
「実態知らない」
宜野湾市の米須清栄副市長は「あまりにも実態を知らない。
学校ではパイロットの顔が見えるほど近くを米軍機が飛び、
児童や住民は強い不安を抱えている。
普天間の危険性除去や移設・返還問題に最も責任のある防衛相が
この程度の認識では、本当に真剣に取り組んでもらえるのかと疑わしくなる」
と不信感をあらわにした。