[東京 20日 ロイター]
欧州債務問題に対する過度な不安心理が後退し、意外感のある株高が続いている。
20日の東京株式市場で日経平均は一時8780円まで上昇し、約2カ月半ぶりの高値水準を回復した。株高をけん引したのは投機筋の買い戻しだ。
ユーロ安・株安の思惑が外れポジションを巻き戻さざるを得なくなっている。
日本株を売り込んでいた商品投資顧問業者(CTA)やヘッジファンドなど投機筋の買い戻しが続いている。
17日以降の反騰局面で目立つのがニューエッジやクレディ・スイスなどCTAの注文を扱っているとみられる証券会社の先物買い手口だ。
「S&Pによる一連の格下げでもユーロが崩れず、逆に主要通貨に対して上昇に転じ予想外の展開となった。足元ではフランスやスペインの国債入札も順調だった。
ユーロ安・株安の思惑が外れ買い戻しを急いでいる」(三菱UFJモルガン・スタンレー証券シニア投資ストラテジストの吉越昭二氏)とみられている。
現物市場でも売り込まれていた銀行、ハイテク、不動産、自動車などに買いが入った。
「海外勢が空売りの買い戻しを継続している。
チャート上の節目を相次いで抜けたことで、踏み上げ的な様相だ。
特にコア30銘柄が高く投資家心理も好転している」(カブドットコム証券チーフストラテジストの河合達憲氏)との声が出ている。
欧州債務問題の解決に向けた具体策が出たわけではないが、世界的に投資家の不安心理は後退している。
米株式投資家の不安心理の度合いを示すシカゴ・オプション取引所(CBOE)のボラティリティー・インデックス(VIX指数)は19日、前日比4.8%低下し昨年7月26日以来、約半年ぶりに20の節目を割り込んだ。
別名「恐怖指数」と呼ばれる同指数の20割れは、投資家心理が平常時に戻ったことを示す。
欧州の銀行間取引の緊張度を示すLIBOR―OISスプレッドが縮小傾向にあるほか、欧州主要国や欧米金融機関のクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)も軒並みスプレッドが縮小し、これまでのリスク回避姿勢が一変している。
2―3月にはイタリアをはじめユーロ圏の大量の国債償還期限を控えているが、欧州中央銀行(ECB)が大規模な資金供給を実施していることで「欧州金融機関の突然死という最悪のリスクはなくなった」(大和総研・資本市場調査部主任研究員の土屋貴裕氏)ことが投資家に安心感をもたらしている。
米国経済指標の改善が続いていることや順調な企業業績も好材料だ。
「米国では大統領選挙を控えた景気刺激策が見込まれ、米景気の改善が株価の支援材料になる」(eワラント証券トレーディング部バイスプレジデントの堤壮一郎氏)との期待も出ている。
だが、現在の買い戻し中心の動きが実需の買いにつながるかどうかは不透明だ。
今後予定されている欧州政治イベントで債務問題の抜本的な解決策が出るとは考えにくい。
20日には欧州主要金融機関の資本増強計画の提出期限を迎える。
今後ユーロ圏の銀行による資産売却が金融市場に与える影響も警戒されている。
本格化する日本企業の決算では輸出企業の下方修正が懸念される。
「1ユーロ105―110円となっている従来の為替前提が修正されるだろう。
日本株は買い戻し一巡後、企業業績を見極めるまで様子見となる可能性が高い」(三菱UFJモルガンの吉越氏)との声もある。
立花証券執行役員の平野憲一氏は
「個別銘柄で特段の悪材料がない中で急激に値を崩す銘柄が散見される。
ファンド勢による戻り待ちの売りが控えているとみている。
向こう1カ月は下値警戒感が遠のくだろうが、その後はまだ波乱含みだろう」と指摘している。
(ロイターニュース 河口浩一、取材協力 杉山容俊)