日本を代表するロシア文学者の一人で早稲田大学名誉教授の
藤沼貴氏が横浜で亡くなられた。
80歳だった。
イタル・タス通信によれば、氏が逝去されたのは9日だったが、
公式的にマスコミに伝えられたのは16日になってからだった。
藤沼氏は1931年、中国遼寧省に生まれ、早稲田大学を卒業、在学中大変優秀であったため、卒業後母校に迎えられ、1997年の退官まで文学部ロシア文学科を中心に後進の指導に当たられた。
ロシア文学に対する深く豊かな知識ばかりでなく、その厳しくも誠実で清廉な御性格は学生達から非常な尊敬を集めた。
藤沼氏は、多くのロシア文学の巨匠達の作品を日本語に翻訳されたが、中でも最も有名なのは「アンナ・カレーニナ」「戦争と平和」「復活」「幼年時代」といったレフ・トルストイの主要作品の翻訳だった。
又藤沼氏は、トルストイの伝記も書かれた他、作家のニコライ・カラムジンの人生に捧げられたすばらしい研究もなされ、それによって2005年文学博士号を贈られている。
文学研究家として又、ロ日辞典の準備のため、氏は何度もロシアを訪れ、時には何ヶ月も滞在することもあった。
さらにトルストイがかつて生活し働いた「ヤースナヤ・ポリャーナ」にある記念博物館のパートナーである日本トルストイ協会の会長も勤められた。
「ロシアの声」で働く日本人翻訳者が毎日使う研究社和露辞典は、
藤沼先生が心血を注ぎ完成させ、私達に贈って下さったものである。
この場を借りて改めて、
先生へ衷心からの感謝の気持ちをお伝えし御冥福をお祈りしたい。
