本日3記事目




















母は娘や婿の誕生日をド忘れしている。


わたしや子供たちの誕生日や、

亡くなった父のあれやこれやは覚えていて


孫の誕生日を勘違いしてショックを受けている。



つい10年前なら、

私は母に物忘れ防止に色んなことをしていたけど


今は


全て忘れなさい!


と、おまじないをかける。



だって51のわたしですら物忘れがひどくなり

人の名前が出てこず

母は78際の脳みそでよくがんばっていると痛感してるからである。


4年前に階段から落ち頭を打ち、脳を調べた時

至って年相応に縮み、

70代らしく歳を重ねる母に


足りない、と言えない。


母の全ての臓器は完璧でがんばって働いている、と讃えたい。



母が生きてる間じゅう、

安心する言葉をかけてあげたい。



そして母にそうするたび、

誰よりわたしに、

もの忘れがひどいわたしにこそ、返ってくるブーメランなのである。



母の部屋の大きなカレンダーに

間違えて書かれた誕生日の字にバツをして

今日覚えた日を母が赤いマジックで書いた。



また忘れても、大したことじゃない。

また教えたらいいだけだから。


そんな母に

わたしは夕方、白髪染めを頼んだ。


床にチラシや新聞紙を敷き

母は、毛染めの仕事道具一式を並べてプロの手つきとなる。


ドラッグストアで買った市販の白髪染めに付属するコームが小さくて

母は大きな自前のコームで丁寧に混合クリームを塗る。



頼まれる母はシャキッとし、

いつもより生き生きとする気がする。


働きづくめで疲れた顔をした母に

何もしないでゆっくりして欲しいと思っていたけど


母が元気になるのは私になにか頼まれ

役に立っている時である。


白髪染めたい、と言ったら

母は腰痛で痛み止めを飲んででも、

可愛い私の白髪染めをしてくれたのだった。


そんな母に、

誕生日を忘れたことなんて本当に大したことでは無い。


たとえこれからもっと何かを忘れたとしても。


こうして日々がんばり、誰かのためにも生きる母に

よくがんばっている、ありがとう♡だけを伝えていきたい。


Meg.