本日1記事目

東京で会った弟が、
15年前の父と母が写った写真を見せてくれた。

玄関前で着物を着て、髪を結い上げた母は
着てるものは華やかだが
顔は仏頂面である。


父はいとこたちや友人に、
若くてかっこいいと人気で

わたしの母はよくキツイ人に見られた。



夕飯を食べながら
夫が母と初めて会った時に
一言も口を聞いてもらえずに
信頼してもらえてなかった、と話し、

わたしはあの頃の母の
口を真一文字に結ぶ仏頂面を思い出した。


母は記憶があまりなく
自分がそこまで仏頂面をした覚えがないらしい。



わたしはいかに母が仏頂面でむすっとしていたか話した。


短大の入学前
下宿先を見て回る時
下宿のおばさんは奥からお菓子を出しお茶を出し、

緊張するわたしたちに
なるだけ安心してもらうよう
周辺の環境や
下宿する子供達や
毎日出すご飯の話をし、


わたしの横で母は
聞かれたことに一切答えず

答えたら騙されて無理やり契約させられたら大変、という疑いの中で

気を張り、警戒心丸出しで
下を向き、目を合わせずだんまりしていた。


あの頃、
お母さんの仏頂面が嫌だった、
おばさんの質問に、一言くらい返事して欲しかった、
と、つい口に出した。


出したら次から次へと
母の無愛想な仏頂面を思い出していた。


夫も、
初対面のあの時、口聞いてもらえなくて
車の中で大変な思いした、
お母さんは俺を警戒してましたね。

と加勢する。

それが、俺は困った、
俺は迷惑だった

に聞こえてくる。


母は、
昔のことはもう言わないで〜。


と言い、
わたしは、あ。となったのである。


ご飯が終わり食器を片付け
録画した大河ドラマをみながら
気が晴れない。と思っていた。


わたしは、母に
母の仏頂面が嫌だった。
と言い

それが本音ではないような気がしたから。


わたしが本当に嫌だったのはなんだろう。


わたしが知る母は
赤毛のアンのように好奇心旺盛で
小女性や乙女心があり
小花のように笑う可愛い人で

それをいつも勘違いされることが嫌だった、と気がついた。


大好きな母を
皆から誤解なく愛してもらいたい。

そんな、
自分が嫌われたくない、
つまりは「好かれたいエゴ」に気がついた。




母の部屋でそれを伝えて、

お母さん、ごめんね。

と伝えたら母は、

お母さん、自分がそこまで仏頂面だったとかは思ってなかった。

と言い、


たとえ無愛想で仏頂面でも
人に愛想を振り撒くような気持ちがなく
いつも自分本位だった、

と返ってきた。笑


母は、人に好かれようとも
どう思われたい、もなく

ただいつも夫とのことに苦悩してその顔を子供にも見せていたのだと。


あんたたちには
いっつも父親のことを否定して
ぐだめいで(愚痴って)
怖い顔してたべね

本当に自分本位なお母さんだったね。

と母。


わたしはさ、
お母さんに笑って欲しかったんだよ。

お母さんが気に入らない生活で仏頂面なら
ぐだめきを聞けば少しは笑うのかと思ってたんだ。

でも、ぐだめき聞いても
お母さん、笑わなかったよのー



どんなに娘にぐだめいでも、
自分が幸せになれなくて
離婚した母は
離婚したらよく笑い、よく泣き、よく話すようになった。


お父さんのせいにはできないよ。
んだね。
お父さんがいてもいなくても
こうしてよがったよ。

んだねえ。


お母さん、ハグ〜。

母と抱き合い、約束。

ああ、また笑って生きよう。
笑う時間増やして生きようね。
誰かに仏頂面にさせられたなんて
思わないくらい幸せに。

母の部屋で
坂本龍一さんの最後の日々がうつるテレビを見ながら

わたしたちの日々を丁寧に素直に生きたいと思った。


可愛いお母さん、ありがとう🩷
大好き
おやすみなさい。


母とわたしの関係は
過去の誤解を解き精算して上書きする。


明日も母とたくさん笑いたいなあ。


母が愛でるライラック

Meg.