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わたしが高校生の頃
確かに父は言ったのだ。
オメ、お母さんの弁当すげえど思わねが?
ほうれん草とか彩りが綺麗だべ?
昔はおとさんよぐ、皆さすごいすごいって言われだんだ。
私はその当時、
母が作る弁当が物足りなくて自分で詰めていたから
父がそんなふうに思うことを内心驚いていた。
わたしは母がいれてくる餃子やカレーが嫌だったけど
父は、何でも入った母のお弁当が
彩りが綺麗だといい
母が居ないところでわたしにそう話したのだ。
母は、この話を何回しても信じない。
あなたは愛された、というメッセージを受け取らず
粗末にされた、ひどいことされた、
悪く言われた、という方を信じるのだ。
特に食事やお弁当を母は神経質に作った。
母の記憶は1000%、父に怒鳴られ、作り直しを命じられ、捨てられた記憶である。
嫌なことは危険と刻み、危険優先で記憶する脳みそ。
母は愛情よりそっちばかり記憶した。
愛情なんて、
まるで不安や危険の砂漠に潜む金である。
すくいとるのが難しい。
すぐに忘れ去られてしまうのだ。
だからこそ。
愛され、感謝して、幸せに感じる一瞬をこうして日々日々刻みたい。
たとえまた不安や危険に支配され忘れ去られても。
おとさんは、お母さんのことを大事にもしたし
愛情もあった。
私が憶えてあげていい。
いつだって母に、愛された妻でもあったと
伝えていきたい。
Meg.