本日3記事目



お母さん、一緒に散歩に行かない?





退院から半年。

最近の母は一人で2キロくらいの散歩に出かける。


母の足で1時間ちょっとくらい。



いつも夫と二人で行く散歩を

今日は母と3人散歩。





歩き出すと

わたしは母に合わせたつもりでも

母から離れてしまう。


自分の体調が気になり

母そっちのけで夫の後について行っている。




母のペースで歩くのは娘。


一番遅い人に歩みを合わせて

遅れれば待ち、止まるのは娘であった。


そんな娘の優しさにつけこんでないだろうか?

甘えすぎていないだろうか?


わたしは時々傲慢な自分に心配になる。




ドラマ、アンという名の少女最終話。


マリラやマシューと過ごした緑の屋根の家グリーンゲイブルズから離れ

進学のために都会へ出ることになったアン。


アンは新しい生活へとベクトルが向き、期待に胸を膨らませている。


三つ編みだった髪を後ろに美しく結い上げ、

コルセットをつけドレスを着るのが

15歳の大人の身だしなみで

マリラはアンにいろんな支度をする。


マシューは、寂しさを隠し

わざとそっけない態度をとるのは、


優しいアンが、

自分達の寂しさや心もとなさを知ったら

せっかくの新生活をやめてしまったり

心配なく旅立てないと思うから。



アンの優しさや愛情がわかるからこそ

わたしたちを心配せずに巣立っていきなさい

という態度なのだ。



そのマシューのツンデレさに、アンは、まるで自分が最初から存在しないようではないか、と訴える。


🌸

🌸


わたしは、

マシューとアンの場面に

娘が東京へ行く前の

わたしや夫や母を重ねる。


ママたちのことは心配しないで

楽しんでね。


そういう胸の内は

生まれる前からあの子と

喜怒哀楽を共にしたメモリーでいっぱいになっている。


いつかお別れする日が来るとカウントダウンしながら


何かあればそばにいて勇気づけたいのは、

抱きしめたいのはママだ、パパだ!とか


まだまだ一緒にいたいと、

駄々をこねなかったのは、


あの子から受けた愛情や、

祝福や励ましやエールを

この気もちと時間が知っているから。



与えられるものこそ

与えられたもの(by藤井風くん)



マシューが

お前がいなくなると寂しい、

お前を愛している、とアンの前で泣いたって


アンは二人を当然愛しながら去ってゆくのです。


アンがいなくても大丈夫なこの二人を置いて、

好きなことをするために

友だちや恋人と青春を楽しむのです。


育ててくれた人たちの愛情というガソリンを使って

羽ばたいてゆく。


マシューもマリラも

そうしながら生きてきた自分を思い出しながら娘を送り出した、

とわたしからは見えた。



愛している

寂しい

愛おしい

可愛い


がんばれ!!!がんばれ!!

と言いながらね。



今日は、わたしが母の歩幅に合わせてゆっくりゆっくり歩く。


ベンチを見つけるのは夫で

息が上がる母を休ませる。


西陽がわたしたちの影を長くして

いつもの道は赤く染まりながら色はシルエットになり濃くなっていく。





いつか、母はわたしより早く歩いて

わたしはいつも母に追いつけなくて

置いていかないで。と泣いていた。



もう母はあの忙しない日々を忘れている。



いま

手を繋ぎ、

腕を組み、

大丈夫?と言いながら隣を歩く。


娘がずっとそうしたように。


ああ、優しくされた。

待ってもらった。


夕陽の中、3人でゆっくりゆっくり歩いた。

娘がいない散歩道。

優しさを思い出しながら。




Meg.