夕刻、家のチャイムが鳴り
インターフォンで出たら、
新聞配達の男性が画面に映った。



集金ですか?

いえ。
もうすぐ契約が切れるので、
またお願いしにきました。




トマトスープを圧力鍋にかけていたので、
夫に対応を頼み、わたしはキッチンに戻った。

















娘と変わらぬ年頃の人を見ると

その青年にも親がいて、
親はただただ心配したり


青年もバイトをしながら勉強し
就活してるのだろうと想像する。



いやいや。まいっちゃったよ。

めご子と同じくらいの子なんだもん。

俺、断ってやろうって思ったけど
6ヶ月契約しちゃったよ〜


色々話しちゃった。
頑張ってるなあ。




3ヶ月前も来たただの頼りなさげな青年が、

今度は学生とわかり
新聞奨学生だと知った途端
夫も
目線は親になり
相手を誰かの子としても見て
娘を重ねたのだ。





もっと契約したら良かったんじゃない?

いやいや、そこまでしたら甘いだろ?





ついさっきまで赤の他人だった人が
一気に親戚のようにもなる。





あの子はやり手かもしれない。
とも思う。


一見強面な夫の、
父性をちゃんとわかっている、

家族から愛されることを知っている子。


仕事は、
自分がどんな人間か、
マインドが愛され前提、受け取り上手でこそ
回ってゆく。



あの子、
俺がじゃあお祝いだから6ヶ月契約!って言ったら

一年でもいいんですよ?

と返してきやがったーあはは。



やっぱりあの子は
賢いな🌸と思った。
営業マンならトップセールスかもしれないな、と。


夫も作った強面から
すっかり親バカの顔になり

あの子や、あの子の親御さんの気持ちになるのだ。


あなただからね
あなたから買いますよ。
他の誰でもない、あなただから。

そんなお仕事マジックを
夫とあの愛され男子をみて
学ぶ日。