ビールの噺、ではない (2024 No.34) | 噺新聞(874shimbun)

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 今年の夏、危険な暑さです。ビールを飲んで、スッキリ、という人も多いと思います。「取りあえず、ビール」注文の時、よく聞く言葉です。あなたは、何と言っていますか。

 取りあえず、の意味を、辞書で取りあえず、いいえ、必要あって調べてみました。「急ぐため、まにあわせにするようす」お酒のことであれば、まにあわせでいいかもしれません。人生、これでは、ちと、まずいですね。今日は、明日の準備の一日ではないはずです。取りあえずの意味、もう一つ記されていました。「他のことはさしおいて、まず」。今日一日、どちらの「取りあえず」で歩んでいますか。

 酒の席で、幹事が気を利かせて、「取りあえず、生ビールを人数分」と注文。生ビールがいい人が多いのでしょう。私は、違いが分からず、瓶ビールにしてもらいます。

 私、ビールの違い、もう一つ、コーヒーの違いも分からない男です。生ビールの違いは分かりませんが、「生がいいな、生に限る」ものがあります。寄席、ホールで聴く落語。野外、すぐ近くで見る花火。いいものですね。時々、会場まで足を運び、生の落語、味わいます。先日、地元の花火大会。夜空に打ち上げられた大迫力の花火、体で感じてきました。

 「たまやー」「落語は生に限る」このまくらことば、色んなことを言う人が出てくるライブ感を、大事にしています。人生も、アドリブあり、他からの野次もある生の連続です。

 明日、未来ではなく、今。あの人、この人他人ではなく、自分。あっち、こっちではなく、ここ足元。あしもと、現在をしっかりしろと、先人は、脚下照顧(きゃっかしょうこ)を説いています。現代は、自分以外、今以外、ここ以外の手元を照らす人が多いようです。

 私、手元を照らすスマホ、持っていません。懐具合は、手元、不如意です。手元、懐は弱くても、足の指は強いですよ。 ’24  8/26   悪志