下駄を鳴らして奴が来る…。 | 噺新聞(874shimbun)

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吉田拓郎作詞作曲の「我が良き友よ」がかまやつひろしの歌でヒットしたのは1975年だったか、歌の文句は

♪下駄を鳴らして奴が来る、腰に手ぬぐいぶらさげて、学生服にしみ込んだ男の臭いがやってくる…

 

そう、今は街中で下駄ばきの姿はとんと見かけなくなった。

北海道の片田舎の高校生だった頃は通学に下駄ばきが許されていた。なので夏場になるといつも下駄ばきだった。遡って小学生の頃は、下駄の表面に若の花など関取の名前が書かれた下駄を履くのが子ども心にも嬉しく、たまらなかったな。

私にとってのはきものは東京に出てきてからも、下駄は欠かせないものとなっていた。

 

大塚の下宿先からも、ちょっと足を延ばせば行くことができた、東京カテドラル聖マリア大聖堂・関口カトリック教会、ここに下駄ばきで訪れた時は、教会の入り口に「下駄ばき厳禁」と書かれた立て看板が置いてあった。看板があったということはまだまだ下駄ばきの人が出入りしていたということにもなる。

 

ただ大東京は下駄ばきで暮らすには不便このうえない街でしたね。地下鉄の階段ひとつでも、下駄ばきでの昇り降りはなかなか、やっかいだった。

 

家の下駄箱を片付けていたら、箱に入った下駄がでてきた。

会津桐のいい下駄だ。自分で買った覚えがなく、義父母が浅草に住んでいたので、たぶん40年前頃に三社祭に浴衣姿に下駄でもと気遣ってプレゼントしてくれたものと思われる。

下駄箱の肥やしにしていてもしょうがないので、普段履きで下駄を久しぶりに履いてみましょうか。