落語家のこと | 噺新聞(874shimbun)

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「落語」のこと、暮らしの中にある「噺」についてなどを集めた、噺新聞

落研時代の後輩からメールでこんな落語家がいます。この本を読んでみてください。と本の紹介があった。

「その落語家、住所不定。タンスはアマゾン、家のない生き方/立川こしら著」(光文社新書)と「落語家のようなもの  立川こしら論/南癸亭樂錮著」(彩流社)

これらの本を読んで、落語家、立川こしらに俄然興味が湧き、月一回内幸町ホールで開催されている「こしらの集い 東京」に三月と四月に2回ほど足を運んだ。

師匠立川志らくに入門して、最初に教わる噺「道灌」で師匠から、勝手にしろと匙を投げられ、それ以来、落語は落語の本を読み、粗筋を頭に入れ、噺を独自に作りあげるということを繰り返しているという。

 

ひとつの落語は15分、30分とかで一席のストーリーに仕上がっているものだ。

この落語を一席3分に仕上げ、30席語られた立川こしらのCDも手に入れ聴いてみた。

なるほど、3分に凝縮された噺、これが下敷きにあるとすれば、逆にこの一席、10分でも20分でも膨らませて語ることも自由自在になるという理屈になるわけだと、このCDを聴いてみて感じた。

落語評論の広瀬和夫氏は立川こしらを落語家とは言わず、話芸家と称しているらしい。

 

さまざまな落語家がいて、聴き込むほど、好みの落語家が何人かできてくるわけだが、

その一人、柳家喬太郎、「柳家喬太郎の北海道修学旅行(阿寒湖行き)」を聴きに阿寒湖へ行ってきた。

喬太郎は古典落語はもちろん、新作も演じる噺家だ。

その折に聴いた「初天神」。初天神の出店を通る親子連れ、子供が出店の飴玉など、あれこれ強請る、噺の中の盛り上がり部分、ここに阿寒湖の名物、まりも羊羹屋を登場させたり、ヒメマスを食べさせたり、噺の展開に無理なく、自然に溶け込めさせ、噺を創作させる技、これは見事だった。

 

そして、先週の日曜日放送された「笑点」。何気無くチャンネルを切り替えていて観るでもなく「笑点」になり、ちょうど登場したのが、春風亭一之輔の落語。噺はこれも「初天神」。やっぱりここでも噺の盛り上がり場所、出店での親子連れのやり取り、ここに焦点を当て、持ち時間6分に仕上げた一之輔の腕、これも喬太郎同様お見事でした。

噺家は寄席で自分の持ち時間を短くしたり長くしたりするのは普段から修行を積んでいるので、自在なんですね。