柳家喬太郎の修学旅行 | 噺新聞(874shimbun)

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このお知らせが来たのは昨年の暮れ。

 

「喬太郎北伝説」に10年弱通い続けた追っかけマンからするとこの会、見過ごすわけにはいきません。

チケットの予約をして4ヶ月目、待ちに待ったこの日がやってきました。

この会、「ホテル阿寒湖荘」に宿泊して柳家喬太郎を楽しむという趣旨、これが柳家喬太郎の修学旅行。

都内の寄席やホール落語で聴く噺は、ライブでありながらも、その時のライブ感、特別感が希薄な印象を受けることがある。

だが、9回続けられた「喬太郎北伝説」、そして今日の柳家喬太郎の修学旅行は、その場に足を運んだ者だけにしか味わえないライブ感が満ち溢れているのだ。

それに満たされたく、成田から北海道まで足を運んでいるのか、と自分自身を分析している。今日のトークでも旅をテーマに話されていたが、喬太郎は北海道にはよく足を運んでいるようだ。倶知安町や中川町、富良野市、北見市、釧路市、旭川市、函館市そして札幌市などと。

そして今日の会場が、阿寒湖畔にあるホテル阿寒湖荘の宴会場、ここに90人ほどの観客を集め開催された。

 

一席目は「初天神」。初天神の出店であれ買ってくれ、これ買ってくれと言わない約束で連れてこられた子とその親父。飴玉が欲しいとねだられ始め次から次への展開、喬太郎はまりも羊羹の出店を出したり、ヒメマスまで食べさせたりと阿寒を取りこんで、それも違和感のないご当地初天神に仕上げてくれた。

 

二席目は「野ざらし」。この噺、オチが分かりにくいということもあり、ハッつあんが、釣り針を自分の鼻に引っ掛け、取った後、釣り針を捨ててしまうというところで噺を切り上げる演じ方が多いし、このような噺はよく聴いていた。今日の喬太郎はオチまできっちりしっかりまとめた古典を語ってくれました。

 

三席目は新作。それもひょっとしたら、今日阿寒湖に到着してすぐ作りあげたのではないかと思われる噺。関西弁のおばちゃんとそれを取り巻く若い青年達が、世話になった社員食堂のおばちゃんとの別れに感謝の気持ちを伝えるため道東の食材を料理しておばちゃんに食べさす噺、オチは「アカン」でした。いや〜、いつもながらお見事です。演題は「社食の恩返し」と後日知った。

何かふわふわした余韻にしたりながらホテル阿寒湖荘をあとにした。