ふんわりシフォン -60ページ目

FULL MOON 夜を駆ける 44

父が目をあげて、虎である あたしと目線を合わせる。

父は驚くことなく、あたしにうなづいて見せる。


まだ誰も気づかない。



ゆっくりと父が屈み、傍らにあった棒と荷物を手にして、あたしに走り寄ってきた。



走り抜ける父に驚き、振り返りそこで皆はあたしの存在に気がついた。



言葉にならない合唱。あわあわと腰を抜かす者、慌てて武器になりそうなものを探す者、三者が入り乱れがたがたと部屋が軋む。



その中にはスンホンの父親がいた。皆が慌てふためくなか、彼だけが、あたしを睨んで机の上の茶碗を投げつけてきた。



放物線を描いた茶碗は、あたしに届くまでに、間に走りこんだ父に払い落とされる。



「この…この畜生が」



また茶碗を取ろうとして、震える腕は卓を払う。がちゃがちゃと茶碗がぶつかり、茶を撒き散らしながら床に落ち、砕け散る。

がたがたと体を震わせながら、それでも得物を探して茶碗のかけらさえ投げつけてくる。怒りで赤らんだ顔で、口の端に泡をつけ怒鳴り散らす。



「お前のせいで…うちのスンホンは……どけっ容、そいつをオレによこせ。八つ裂きにしてやる」



「なあ良く見てみなさいよ。この虎は子供じゃないかこんな虎がスンホンに何をするって言うんだい」



「なに寝ぼけたことを言ってやがる。シュウメイだって虎に喰われたに違いねえ。ソウニャが虎が逃げていくのを見たのが証拠さ」



父は構えていた棒を下ろし、しっかりとスンホンの父を見た。



「なあ。シュウメイは虎に喰われてなんていない。寝台は血で汚れていなかっただろう。ソウニャの見た虎と、スンホンを襲った虎とは違うんだ」



「なんでそんなことが言える。証拠はあるのか」

頭の先まで真っ赤になって怒り狂っている。



「毛並みを見ればいい。血で汚れた跡などないだろう。大きな猫のように大人しいだろうよ」



父があたしの頭をなでる。暖かくざらついた感触がした。

FULL MOON 夜を駆ける 43

まだ中点に差し掛かったばかりの太陽は明るく、来た道を戻るあたしを照らしている。



家の裏につき、裏から家の中をうかがうと人の気配がする。

父は家にいる。ただ厄介なことに一人ではない。ほかに三人の人間がいて、父に詰め寄っていた。

「早く行きましょうや。こんなとこに座っていたって時間の無駄ですぜ」

「容さん、あんた悔しくはないんかい」

口々に言葉を浴びせられ、うつむくように座る父が見えるようだ。

「わしは 待っているんですよ。帰ってくるのを」

「何を夢みたいなこと言ってんだい」

「シュウメイが、わしを置いていくことは無いからですよ」

父の答えに頭を振って、哀れむように 皆は見るだろう。



あたしは裏口を潜り、父の元へと歩いて行った。小さな家なので裏口を越えたら、父が見えた。囲むように人がいて、あたしには背を向けていた。

四季咲き

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春にも秋にも咲くから、四季咲き。

夏と冬は咲かないのにね。


お店の庭にあるバラ園。春の華やかさにはかないませんが、何種類かのバラが花をつけていました。

花によっては、実をつけていて、赤いころころとした実が愛らしい。




紫のバラやチョコレート色のバラもありました。わたしの好みの色は、写真のふたつ。秋なのでこっくりとしたチョコレート色もシックで素敵です。



我が家にもあるアイスバーグもあって、これはいくつも花をつけていました。

やっぱり葉っぱは黒点病があって、お手入れが大変な種類だと実感しました。

病気が広がる前に葉っぱを取り除くので、いつも丸ぼうずです。葉っぱを濡らさないように水やりしたり、木酢を薄めたものを時々スプレーして様子を見ています。