ふんわりシフォン -371ページ目

心ない


なにが人を傷つけるのだろう

心ない言葉で



たくさん好きだとしても



どんなに大切だとしても



臆病になる自分がいて



比べることなんてできないくらい



素敵な人がいる



だから



望むことすら



いけないことなのに



まだ好きで



あなたを苦しめる



ごめんなさい

月が満ちるまで 肖像 2

はっきりしたことなんてない。

だから、こんなことになって驚くのはお互い様なんだ。


呼び出しを受けた。

金井先輩からだ。

ほっといてくれたらいいのに。

自分は勝者だと言いたいのか。不愉快でバックレようかと思ったけれど、顔を拝む機会もそうないので思いなおした。

なにより
絵のことを聞いてみたかった。

いつ、こんな顔をしたんだろう。

何を見て笑顔を作ったんだろう。

でも、そんなバカなことは聞けるわけない。


聞いたとして
答えてくれるはずがない。

もし答えてくれたとしても、その答えは俺が一番聞きたくない言葉かもしれない。


愛の言葉に浮かべた笑顔かもしれないのだから。


体が重い。


呼び出しは生徒会室。
この前、彼女を見かけた渡り廊下の隣。

だからか。

よくご存知だね。


桜吹雪ではしゃぐ様子も見られてるわけだ。
ほほが熱くなる。


つい先月まで中学だったんだ…しかたない。


だけど、これから会う相手は高校の先輩で、生徒会の副会長だ。

このままでいいのかって気がする。


急には変われないのに。




息を吸い込んで、腹から声を出す。

「失礼します」

そして引き戸を思いきり開けた。


真っ正面に窓。その前に金井先輩。

クラスの女子に騒がれていた容貌。

すらりとした中性的な顔立ち。優しげなまなざし。

生徒会、副会長の肩書。
成績も良さそうだ。

一瞬でコンプレックスの塊になる。

「渡辺海斗です」

会釈すると先輩も会釈を返して言った。

「金井柊也です。呼び出してすまないね。ここならコーヒーが飲めるからね」

言いながら自分からコーヒーを入れてくれる。

「こういう所はいいだろ。砂糖とミルクはどうする」

「じゃあ両方ください」



マグカップを挟んで向き合う。

俺から言うことはない。

何を言われる?

金井先輩は俺にコーヒーを勧めて自分もマグカップに口をつける。

月が満ちるまで 肖像 1

「お前、なにやらかしたんだ」
苦い顔のハルにそう言われてもわからなかった。

「なにかできるほどの度胸なんてないさ」

「お前さ、金井先輩から目ぇつけられてるってよ」

金井先輩…



誰だかとっさに出てこない。そんな人にどうやって目をつけられたりしたんだ。

「ほら、これ」

渡されたのは薄い冊子。
生徒会監修の部活案内。

まくって見ようとして、表紙に吸い寄せられた。


女の子が微笑んでいる


俺の好きな子だ。

黒目がちな目の感じも、髪の感じもそっくりだ。

……署名 S,KANAI

こんなのを描くくらいだから、公然なんだろう

金井先輩の彼女



「俺、お前のこと聞かれたんだよ…知らないって言っといた」

「わりぃ」




「で…いつから気がついてたんだよ」

「最初からかもな」

「最初…いつ」

にやっとハルが笑う

「入学式から。お前、バレバレだって」

嘘だろ…

「俺ら、付き合い長いからな」

そう言って、胸に拳を入れる。

「気をつけろよ。よくは知らないけど先輩なんだから」

「まったくだ」

だからといって
急に気持ちがなくなる訳じゃない。

好きなのはかわらない



片思いだっていい



好きだから