ふんわりシフォン -373ページ目

続けていけば


なにか変わるんじゃないかという気がする。

ケイタイ小説を書こうなんて考えていかなった。


ちらと見た限りでは、どうも好きな話ではなかったし…


だだ、たまたま


この話なら向いているかもと思えたのが、いまの話。

あまり長く書かなくていい、というのは楽。

それでも一時間くらいはかかるかな。


ラブストーリーですドキドキ
(↑騙されるな!)

月が満ちるまで 桜

すげえ嬉しいことがあった。

彼女とは同じクラスになれた。
この学校で、一年は8クラス。結構な確率だと思う。

やっぱり姿を見られるのは嬉しい。

時折、話す声も聞ける。


まだどう話しかけたらいいのかわからない。


この気持ちがどう育っていくのかも。




新学期になって数日。

放課後、渡り廊下の端に彼女を見つけた。

口のなかで名前を転がす。

橘 風花


彼女に似合った名前だと思った。

明るい春の空に桜。
風に舞い降りる桜の花びら。

きっと春の生まれだ。


明るい日差しにたたずむ彼女の足元に、桜の花びらが吹きよせられてかたまっていた。


普通に…


なにげなく


「いま帰り?」


彼女の瞳が俺を見る。

何度も考えていた。初めて見てから。


瞳をのぞきこむと、くりっとした二重で…なんだか鹿みたいだった。


「そう。人を待ってるの」


ちらと校舎を見上げる。
せっかくのチャンス。
それが誰であれ、遅れてくれ。


「俺のことわかる?同じクラスなんだけど」


少し首を傾げる。
肩より少し長い髪が、さらりとすべる。


「渡辺くん…」


「渡辺、渡辺海斗」


「…いい名前ね」


名前を覚えてくれてた。

それに、いい名前だって。
かあっと全身の血がのぼってくる。


…やばい


顔が赤いかもしれない


「橘さんだって、きれいな名前だよね風花っていうの」


なにげない様子だけれど、俺は見逃さなかった。

彼女はぴくりと体を強張らせた。


ほんの一瞬。


なんでだろう


きれいな名前なのに。




「ふうちゃん」

振り向くと同じクラスの浦川だった。

こいつは彼女と仲がいい。
「もう帰れるよっ、おまたせ~」

「うん」


彼女がこっちを見た。
黒目がちな大きな瞳だ。


もう、いいかな


そう言ってるみたいだった。


「それじゃ…」


なにげなく、帰るふり。

背中越しにふたりの言葉が遠ざかっていく。




いいんだ。

まだ、知り合ったばかりなんだから。


耳の奥に声が残る。


わたなべくん


やばい、ホントに


すげえ可愛かった。

足元の桜を空に投げつける。


はらはらと桜は散る。

こんな日に彼女は生まれたのかもしれない。

明るく祝福された人生のために。



>次話肖像 1

月が満ちるまで プロローグ

彼女を初めて見たのは、入学式でそこだけ空気が違っていた。

ただ座っていただけなのに、まるでそこだけ深い森の中のように清浄な空気があふれている気がした。

マイナスイオンでも出してるみたいだった。

確かに…

かわいい子で人目をひく子だった。
どちらかと言えば華奢なほうで、守ってあげたいタイプとは違って、ひとりでしゃんと背筋を伸ばして座っていた。

同じ学校から来た奴とつるんで、バカ話で盛り上がってても視線が吸い寄せられた。



だから、俺は彼女に一目惚れしたんだと思う。

名前も知らない彼女に。



それから、今もずっと



彼女に惚れているんだ。



理由なんて、ない。
ただ彼女がいることが、出会えたことが嬉しくて。



俺は生きていこうと思えた。
こんな俺でも。



彼女の視界に入って
同じものを見てみたい

どんなことを考えているのか知りたい



彼女のことを知りたくて



それが全ての始まりだった。




>次話 桜