ふんわりシフォン -334ページ目

熱量保存の法則


人に与える熱で

自分が冷えてしまわないように


熱を補充する



尽きない熱をもつ太陽を

手にいれたから



僕は笑っていられる



君の笑顔まで

ほんの一歩で辿りつく



欲しいだけの

愛の言葉を聞かせて



君の唇まで

5秒だよ



ずっと手を繋いで

歩いていこう

忘れ物


君の選んだ人と

君が寄り添う

手を取り合い

我が家を築く



やっぱり寂しい

自分がいて



引っ越していく君

置いていく要らないものに

わたしも入っている



忘れたなら

拾いあげて連れていってもらえるのに

捨てられたなら

忘れさられていくだけで



片隅に留まったまま

時を止める

月が満ちるまで 感謝の気持ち 8

「いやだ、そんなこと言わないで」

ふと漏れた冥土という言葉に、背中の冷える思いがする。

「うんと長生きしてもらうんだから。働くようになったら旅行に行こう。一緒に美味しいものを食べようよ」

湯呑みを大切な物のように両手で包みこんで、おばあちゃんは優しい優しい顔をした。

目尻に寄るしわも、口元によるしわも

年月を重ねた古木のような風格があって

きれいだと思った。



「お金は自分に使いなさい。それから、まだしっかり学びなさい。勉強だけのことではなく、いま友達と過ごす時間を大切にね」

視線を上げた先には、額がある。

小学校の一年で初めて貰った賞状。校内の写生会で貰った一枚。

額の列は部屋の入り口正面から始まって部屋をくるりと半周していた。

「やりたい事をやんなさい。風花の両親ともに、とても自由だったから。風花もそれでいいんだから。

進学しなさいよ。婆は難しいことは分からない。

ただ風花の絵は凄く好きでね……」

そう言って笑った。