14の月
昼の空に浮かぶ月は、淡くて空に溶けている
はかなげな14日の月
完璧な円でなく
ほろりと欠ける
夜の空をゆく月は
白い光を投げ
迷い人を助けている
仰ぎ見る ここは
迷宮でもなく
深い森でもないけれど
迷い悩む心もまた
何処かに向かいたいと
その先を探している
月よ月
迷いを照らして
隠しものを見つけさせて
ねえ
月よ
はかなげな14日の月
完璧な円でなく
ほろりと欠ける
夜の空をゆく月は
白い光を投げ
迷い人を助けている
仰ぎ見る ここは
迷宮でもなく
深い森でもないけれど
迷い悩む心もまた
何処かに向かいたいと
その先を探している
月よ月
迷いを照らして
隠しものを見つけさせて
ねえ
月よ
君にアイスを買ってあげるよ 凶器
毎日暑い。
冷房の効いた室内から、外に出ると、室外機から吐き出された熱と太陽の熱が、むわっと体を包む。
あっついなぁと思いながら、ランチ後ぷらぷらと会社に戻ることにする。
会社に戻ると、難しい顔をした森田さんがいて、沢田さんら女性陣に話していた。
トラブルがあったのかも。緊張が走って体が固くなる。サポートした書類や、計算書、電話の応対でミスがないか思い起こしてみる。
差し当たって、緊急、重要な項目がない。
さりげなく会話に入ろうかと近づいてみる。
「夏の外回りは地獄だって。あせもできたから、今年は」
何気なく緩めて見せるワイシャツの衿元から、赤くなった肌が見える。
「あ~汗っかきだ、森田さんは」
「かくさ汗くらい。化け物じゃあるまいし。水分捕らないと倒れるからな」
「通勤ラッシュとか、最悪」
様々な匂いと熱の篭る車両は、それだけで拷問になる。
香水も単品ならいいだろうけど、複数が混ざったり付けすぎたり、ポテトの香りなんかした日には、口呼吸したくなる。
ぱくぱくと窓ガラスに写る自分は、水槽の金魚みたいだ。
「それでな…昨日、帰ったらびっくりなんだが…」
そろそろとスラックスの裾を持ち上げると、くっきりとしたミミズ腫れが臑にあった。
「うわ、何したのぉ森田さん」
「痛くないですか」
「やっ…薬とか付けてますか」
口々に心配の声があがる。
「……靴下にやられた」
外回りで歩き詰めていたら、予想外に蒸れて靴下のゴムに当たっていた部分がミミズ腫れになってしまったのだそうだ。
「見えないならと足首までの靴下にしてみたけど、これはこれでゴムがきついのな」
靴下のゴムをまくって見せると、くっきりとした跡が赤みを帯びていた。
さすがの森田先輩も、ちょっと うなだれている。
カラカラと引き出しを開ける音がして見ると、沢田さんが丸い紙の箱を持っていた。
「わたしので済みませんが、付けておくと蒸れなくなりますよ」
紙の箱は、ベビーパウダーだった。
「わあ~懐かしいねぇ」
「まだ売ってるんだ」
きゅっと蓋を開けると、やわらかな香りがした。
「ありがとな。首とかもいいのか」
「薄く付けましょうか。汗ふきシートも、さらっとするのでお勧めですよ」
ワイシャツの首をくつろげながら、森田さんが笑った。
「なんかそういうの気恥ずかしくて使えなかったけど、いいんだな」
「上手く体と付き合っていかないと、参ってしまいますからね」
なんだかいい雰囲気で、話しかけちゃいけないみたいだけど、それが気にくわなくて声をかけた。
「沢田さん、普段から使ってるの」
嫌な顔をしないで、こっちを見てくれた。そのことに、ほっとした。そのくせ、嫌なことするなと自分のことを思った。
「時々かなぁ…香りが好きなのよ。赤ちゃんの香りでしょ。幸せの象徴みたいだから」
それから森田さんは、首をほんのり白くしてまた外回りに出て行った。
汗ふきシートを買ってみると言いながら。
なんだか丸いあの箱で、頭をがつんと殴られたみたいだった。
勝つことのない試合を挑んでいるみたいで…それは全くの一人相撲のような気がした。
冷房の効いた室内から、外に出ると、室外機から吐き出された熱と太陽の熱が、むわっと体を包む。
あっついなぁと思いながら、ランチ後ぷらぷらと会社に戻ることにする。
会社に戻ると、難しい顔をした森田さんがいて、沢田さんら女性陣に話していた。
トラブルがあったのかも。緊張が走って体が固くなる。サポートした書類や、計算書、電話の応対でミスがないか思い起こしてみる。
差し当たって、緊急、重要な項目がない。
さりげなく会話に入ろうかと近づいてみる。
「夏の外回りは地獄だって。あせもできたから、今年は」
何気なく緩めて見せるワイシャツの衿元から、赤くなった肌が見える。
「あ~汗っかきだ、森田さんは」
「かくさ汗くらい。化け物じゃあるまいし。水分捕らないと倒れるからな」
「通勤ラッシュとか、最悪」
様々な匂いと熱の篭る車両は、それだけで拷問になる。
香水も単品ならいいだろうけど、複数が混ざったり付けすぎたり、ポテトの香りなんかした日には、口呼吸したくなる。
ぱくぱくと窓ガラスに写る自分は、水槽の金魚みたいだ。
「それでな…昨日、帰ったらびっくりなんだが…」
そろそろとスラックスの裾を持ち上げると、くっきりとしたミミズ腫れが臑にあった。
「うわ、何したのぉ森田さん」
「痛くないですか」
「やっ…薬とか付けてますか」
口々に心配の声があがる。
「……靴下にやられた」
外回りで歩き詰めていたら、予想外に蒸れて靴下のゴムに当たっていた部分がミミズ腫れになってしまったのだそうだ。
「見えないならと足首までの靴下にしてみたけど、これはこれでゴムがきついのな」
靴下のゴムをまくって見せると、くっきりとした跡が赤みを帯びていた。
さすがの森田先輩も、ちょっと うなだれている。
カラカラと引き出しを開ける音がして見ると、沢田さんが丸い紙の箱を持っていた。
「わたしので済みませんが、付けておくと蒸れなくなりますよ」
紙の箱は、ベビーパウダーだった。
「わあ~懐かしいねぇ」
「まだ売ってるんだ」
きゅっと蓋を開けると、やわらかな香りがした。
「ありがとな。首とかもいいのか」
「薄く付けましょうか。汗ふきシートも、さらっとするのでお勧めですよ」
ワイシャツの首をくつろげながら、森田さんが笑った。
「なんかそういうの気恥ずかしくて使えなかったけど、いいんだな」
「上手く体と付き合っていかないと、参ってしまいますからね」
なんだかいい雰囲気で、話しかけちゃいけないみたいだけど、それが気にくわなくて声をかけた。
「沢田さん、普段から使ってるの」
嫌な顔をしないで、こっちを見てくれた。そのことに、ほっとした。そのくせ、嫌なことするなと自分のことを思った。
「時々かなぁ…香りが好きなのよ。赤ちゃんの香りでしょ。幸せの象徴みたいだから」
それから森田さんは、首をほんのり白くしてまた外回りに出て行った。
汗ふきシートを買ってみると言いながら。
なんだか丸いあの箱で、頭をがつんと殴られたみたいだった。
勝つことのない試合を挑んでいるみたいで…それは全くの一人相撲のような気がした。
Honey
気まぐれに眠る
いつでも何処でも構わないみたいに
床に 体を投げ出して
Honey Honey
無防備すぎるから
気になってしまう
それなのに
君は落ち着いていて
見上げた目が笑う
守ってくれると思ったよ
安心しきった表情を
僕が与えられたなら
君は僕をわかってる
僕が君を想うこと
どうしようもなく
好きだ
いつでも何処でも構わないみたいに
床に 体を投げ出して
Honey Honey
無防備すぎるから
気になってしまう
それなのに
君は落ち着いていて
見上げた目が笑う
守ってくれると思ったよ
安心しきった表情を
僕が与えられたなら
君は僕をわかってる
僕が君を想うこと
どうしようもなく
好きだ