FULL MOON 33
水のマスターの苛立ちは、握られた手から痛いくらい伝わってくる。
振り払えないほどの強さ。良く見たら、綺麗な金髪は乱れ、うっすらとクマの浮いた顔をしている。シワのついたシャツは、それで寝ていたからだろう、よれよれと体を被っている。
『理由も説明しないで、他人をどうこうできるなんて思わないでよ』
『見ればわかる、説明する時間さえ惜しいのが解らないのか』
『解らない』
平行線を辿りそうな会話から、黒猫が質問をした。
『守護者は元気ですか…あまり覇気が感じられない』
無理矢理水門をこじ開け、ド派手に登場しているのに、力を使ったはずの守護者の存在が希薄だった。近くにいるはずなのに。彼女がいるこの場所と自分の世界である水界を重ねあわせて、ここに居るはずだった。
どろりとした物体が、体に纏わり付き白い体を被っていく…被われた体は皮膚呼吸を妨げ苦しくなる。振りはらうことが出来ずにめちゃくちゃに泳ぐ…岩に体を擦り付けると、ぱらぱらと鱗が散った。
息を呑んだ。
映しだされたビジョンでは守護者の状態は散々だった。
『来て欲しいんだ…』
唇を噛む彼女は、泣きたいのを堪えている。泣いて現状が変わらないのを知っている。
素直に感情を表せないことが哀れに思えた。同じ年代の女の子が、一喜一憂している普通の生活を味わえていないのだろう。
『くまなんか作って、どこをほっつき歩いてるんだよ…』
自分もそうだ。一週間、ここを徘徊していた。簡単に洗っただけの見なりは、かなりみすぼらしい。
見なりに構えないほど精神的に追い込まれていた。
元がいいだけに、可哀相だった。
『どこに行くっていうの』
心が動いた。人を動かすとしたら、心を揺さぶらないと駄目だ。
明るい顔をした彼女は、ゆっくりとうなづいた。
振り払えないほどの強さ。良く見たら、綺麗な金髪は乱れ、うっすらとクマの浮いた顔をしている。シワのついたシャツは、それで寝ていたからだろう、よれよれと体を被っている。
『理由も説明しないで、他人をどうこうできるなんて思わないでよ』
『見ればわかる、説明する時間さえ惜しいのが解らないのか』
『解らない』
平行線を辿りそうな会話から、黒猫が質問をした。
『守護者は元気ですか…あまり覇気が感じられない』
無理矢理水門をこじ開け、ド派手に登場しているのに、力を使ったはずの守護者の存在が希薄だった。近くにいるはずなのに。彼女がいるこの場所と自分の世界である水界を重ねあわせて、ここに居るはずだった。
どろりとした物体が、体に纏わり付き白い体を被っていく…被われた体は皮膚呼吸を妨げ苦しくなる。振りはらうことが出来ずにめちゃくちゃに泳ぐ…岩に体を擦り付けると、ぱらぱらと鱗が散った。
息を呑んだ。
映しだされたビジョンでは守護者の状態は散々だった。
『来て欲しいんだ…』
唇を噛む彼女は、泣きたいのを堪えている。泣いて現状が変わらないのを知っている。
素直に感情を表せないことが哀れに思えた。同じ年代の女の子が、一喜一憂している普通の生活を味わえていないのだろう。
『くまなんか作って、どこをほっつき歩いてるんだよ…』
自分もそうだ。一週間、ここを徘徊していた。簡単に洗っただけの見なりは、かなりみすぼらしい。
見なりに構えないほど精神的に追い込まれていた。
元がいいだけに、可哀相だった。
『どこに行くっていうの』
心が動いた。人を動かすとしたら、心を揺さぶらないと駄目だ。
明るい顔をした彼女は、ゆっくりとうなづいた。
ひらり ほろり
詳しく知らなくても
恋はできる
顔も姿も声も
歳も性別さえも
なにも 知らなくても
ただ 言葉だけで
恋をすることがある
だだ 言葉だけで
焦がれてしまう ことがある
ただ だだ
言葉だけで
胸に住んでしまう
小さな部屋は
想いで溢れて
時折 涙が洗うでしょう
時折 こぼれて
また拾う
そんな繰り返し
また ほろり
また ひらり
恋はできる
顔も姿も声も
歳も性別さえも
なにも 知らなくても
ただ 言葉だけで
恋をすることがある
だだ 言葉だけで
焦がれてしまう ことがある
ただ だだ
言葉だけで
胸に住んでしまう
小さな部屋は
想いで溢れて
時折 涙が洗うでしょう
時折 こぼれて
また拾う
そんな繰り返し
また ほろり
また ひらり
背中越しの思い
パソコンに向かう背中に
頬を寄せて腕をまわす
何してるの
そばに居たいの
温もりと体臭と
鼓動を感じる
抱きしめて貰えないなら
抱きしめるだけ
好 きだと言ってくれないなら
好きと言うだけ
僕もだよって言わないで
キーを叩く指が
文字を連ねていく
見てごらん
背中越しに見る文字は
優しい告白
恥じらいながら
震えながら
約束しようね
誓いのキスをしよう
抱き寄せられながら
そっと目を伏せる
頬を寄せて腕をまわす
何してるの
そばに居たいの
温もりと体臭と
鼓動を感じる
抱きしめて貰えないなら
抱きしめるだけ
好 きだと言ってくれないなら
好きと言うだけ
僕もだよって言わないで
キーを叩く指が
文字を連ねていく
見てごらん
背中越しに見る文字は
優しい告白
恥じらいながら
震えながら
約束しようね
誓いのキスをしよう
抱き寄せられながら
そっと目を伏せる