ふんわりシフォン -169ページ目

君にアイスを買ってあげるよ 鍋の季節 5

車が通りすぎる一瞬に、前を歩く二人が照らしだされる。

二人は光のなかにあるようで、闇からとぼとぼと着いていく自分はなんだろう。
羨みながら、ただ見つめるだけの獣。



「橋田っ」

ふいに森田さんの声がする。


喉の奥がつんとして、応えようとする声が出ない。

「橋田、橋田ーー」

「…軽く呼ばないでくださいよ、猫じゃあるまいし」

「きちんと着いて来てるのか」

森田さんは振り向かずに、声を張りあげる。

「来てます、森田さんの奢りですからね」

「…言ってない。なんで俺が奢る」

「カワイイ後輩ですよ~奢っとかないと」

「意味わからん」

「手伝ってあげてるじゃないですか」

「それが仕事だろ」

「仕事ですよ」

残業になれば、気を使うのを知ってる。普段はお茶なんていれないのに、ゲロ甘紅茶を出してくれる。

食事や帰りの電車の心配もしてくれる。



仕事だからね。サポートには入るよ。やっぱり成績を出し続けることは大変だと思う。見えない所でも、している努力がある。

男同士だから、気軽に頼む所があるんだろう。女の子に頼むには仕事量がハンパない時がある。



「だけど俺だって誰にでも頼む訳じゃないからな。橋田なら出来ると思うから頼むんだ」



顔が見たかった。

どんな顔して言ってるんだ、こんな台詞。



「橋田は丁寧だし、そこそこ早い。丁寧で遅いんじゃ困る」

「褒めてるんですか、それ」

「褒める程じゃない。認めてるだけさ」

新しい世界

新しい価値観を

新しい物のみかたを

教えてくれる



あなたが いなかったら

関心を持たなかった

ことがある

素通りしてしまう

難しいことがらにさえ

関心をむけることができたのは


やっぱり あなたがいたから




昔あったことだと

片付けてしまわずに

知っていることも大切なことだと教えてくれた



あなたからは

影響を受ける

ダイレクトすぎて

胸がいたむほどに



胸に響いて苦しくなるほどに

にょきにょき

座ってしまうと

携帯を開いてしまうと

根っこが生えるよ

にょっき にょき



にょきにょき

にょきにょき

横にのび

ころりと横になりました



ほかほか炬燵の誘惑に

ふかふか毛布の安らぎに

抵抗してみる つもりでいたのに



根っこ にょきにょき

伸びました