置いていけない | きょうだい児で、毒親育ちで、バツイチです。

きょうだい児で、毒親育ちで、バツイチです。

柴田真帆と申します。
アンジェルマン症候群の兄様がいて、
過保護・過干渉の毒母を見送り、
モラハラ&パワハラ夫を捨てました。

 

わっちの母親が「毒母」だと気づいたとき

納得はした。うん。

 

どこのサイトのどのチェックリストで確認しても

間違いなく、毒母なのだ。

 

これまでの出来事の9割9分9厘は腑に落ちた。

 

落ちたが、じゃあどうする?って話だ。

 

わかったからと言って、逃げ出せる状況ではなかった。

 

いろんな手続きを踏んで、

やっと兄様の成年後見人になれたところだ。

 

これが住所を変えるとかなったら

また裁判所発達支援センターとのやり取りを

イチから始めることになる。

法務局も、県税事務所も絡んでくる。

 

そして何より、兄様の車だ。

家から出るとしたら

わっちひとりなのに2台分の駐車スペースを

確保しなければならない。

 

わっちに毒を吐きつけるときは

目を吊り上げて罵詈雑言をのたまうくせに

落ち着いているときは

お父さんがいない、とヘナヘナしてやがる。

 

全部アンタひとりでやって来たんじゃないのかよ。

まぁそれが口から出まかせだったってことは

諸々の手続きを踏んでいく中で、よくわかった。

 

この毒母に

兄様もわんこも預けられない

 

と思った。

 

だからといって駐車スペースを2台確保したほかに

ペット可の物件など、当時のわっちの給料では無理だった。

 

それでも、自分でわかるほどウツは悪化していた。

病院からも、「原因から離れるべし」という話はされていた。

 

車は、兄様の面会に行く度に取りに行けばいいか。

鍵は、ちょっと金額が張るけど1個スペアを作ろう。

 

わんこたちは心配だが

「動物を飼う資格がない」と言い放ったのは毒母なんだから

何とかするだろう。

 

よし…考えるか。

というところまでいった。

 

そして毒母の決まり文句の

「出ていけ!」

が出た瞬間、わっちは“しめた!”と思った。

 

「わかった、出ていく」

 

面倒な手続きがたくさんあるが、アタマの中で

どういう手順で進めていくかはシミュレーションしていた。

ある意味、そのシミュレーションが「楽しみ」でもあった。

 

毒母がいくら目を吊り上げて噛み付いてきても

「まぁ…毒母だしな」

という“諦め”も、生まれていた。

わっちも、若い頃のように

ムキになってわかってもらおうともしなくなっていた。

 

腹を立てるだけの気力もなかったんだろうな、多分。

 

そこから数日、家の中はピリピリしていた。

可哀想だったのは上のわんこだ。

状況を何となく察して、毒母にもわっちにも近づかない。

 

不憫だなぁ…

 

わっちにいつも引っ付いてくれる上のコが心配だった。

あからさまに毒母よりわっちにくっついているから

毒母としては上のコより下のわんこが可愛いのだ。

 

ふたりとも、アンタの独断で命を預かったんだろ。

 

わっちが見ていてもわかる。

上のコと、下のコの扱いの差。

 

置いていって、大丈夫なんだろうか…

 

逃げたい、逃げるべき、逃げるしかない

 

そういう思いが本心だったが

 

わっちだけが逃げて

わっちは本当に楽になれるのか?

 

車は家に入らずに兄様の面会の都度取りに行けても

テラスからわんこたちはわっちの姿を見るだろう。

 

「あ、真帆ちゃんだ!」

喜んでテラスに寄ってくるだろう。

 

「あれ…行っちゃった…」

 

声もかけず家にも入らずに出て行ったら

寂しくなるんだろうな…

車を戻しても家に入らなかったら

これまた寂しいだろうな…

 

 

 

ダメだ。

やっぱ、置いて行けない。

毒母はさておき、わんこたちが可哀想。

 

わんこたちはわんこたちなりに、家の中の

空気を察している。

 

こんな小さき存在にまで気を遣わせていることに

腹立たしさと申し訳なさとがない交ぜになっていた。