飛べなかった子カラス | きょうだい児で、毒親育ちで、バツイチです。

きょうだい児で、毒親育ちで、バツイチです。

柴田真帆と申します。
アンジェルマン症候群の兄様がいて、
過保護・過干渉の毒母を見送り、
モラハラ&パワハラ夫を捨てました。

 

最近のワイドショーやニュースでは

「凶暴なカラス」

が時々、話題にのぼる。

 

道行く人を追いかけたり、突っついたり、どついたり。

 

だがカラスの側にも理由があって、

「子育て」中、なのだ。

 

我が家の近辺でも少し前は、カラスが物騒だった。

近所のわんこ(ひと昔前は外飼いの子もいた)が出産すると

後産を狙ったり、目も開いていない子犬を狙って

カラスが落ち着きなく飛び回っていた。

 

我が家のわんこたちが男子で、よく庭を出入りしていたので

カラスたちは近所の家の子犬を狙ってはいたが手を出せずに

子犬たちはちゃんとオトナになった。

 

我が家の目の前は、団地内のわりに少し大きめの公園がある。

 

そこに、カラスの一家が恐らく住んでいる。

この一家の先祖的カラスが子犬を狙ったりしていたのだが

ある時期からパタリとなくなった。

 

ゴミ集積所もそれなりにケアをしているのもあって

荒らされたりすることもない。

 

我が家の目の前の公園にいるカラスは

どこで食料を調達しているのかわからないが

確実にねぐらにしていて、一家で代々生活しているようだ。

 

さて、その「ある時期」であるが。

 

ある年、一家に子カラスが生まれた。

その中の子カラスの一羽が、どうしたわけか

一向に飛べない。

公園の中で、ぴょこぴょこと、飛ぶような跳ねるような

そんな仕草をするだけだ。

 

次第に近所でも話題になり、

「ケガをしているのかも」

「ちゃんと成長できるか心配」

「食べるものは大丈夫なんだろうか」

といった具合に心配が拡がった。

 

ご近所数人で集まっては、子カラスの動向を

注視するような光景も、その時期はよくあった。

 

わっちが住む団地内はわんこやにゃんこを飼っている家も多く

何となく動物に対して優しいところがある。

当時わんこの散歩などで近所のオバサマと行き会うと

何となく公園の子カラスの話になる。

 

「大丈夫かな」

「ダメな子(五体不満足な子)だったら、

親に何かされちゃうんじゃないかしら」

 

そんな話がささやかれ始めると

公園内のあちこちに

目立たないように何か「食べ物」が置いてある。

 

それらが役に立ったのかどうかはわからないが

子カラスは無事に飛べるようになり

ご近所も飛べない子カラスのことはもう忘れてしまった。

 

公園内には何本か巨木があり

どうやらその中の1本に両親?と

飛べなかった子カラスが成長して別の木に

マイハウスを持ったようだ。

 

温かく見守ったのが功を奏したのか

世の中の流れなのか

カラスは小さきペットを狙うこともなく

恐らく代々、公園に住み続けている。

 

ヒステリックな声を上げることも

威嚇するような声を上げることも、ない。

 

ヒトがいないときは公園内を

軽くステップを踏んでひょいひょいと歩いている。

 

カラスの寿命がどの程度なのかは知らないが

公園内を軽快に歩いている子を見ると

あの、飛べなかった子なんじゃないかと思ってしまう。

 

カラスは非常に頭のいい動物だと、聞いたことがある。

 

もしかしたら、わっちらがわりと真面目に心配して

何が出来るわけでもないのだがこまめに様子を伺っていたのを

理解してくれていたのではないか、と思ってしまう。

 

それほどまでに、とても大人しくて、

危害も迷惑もかけられず

団地内で、さほど気にも留めずに共存出来ている。

 

今年の代にもなったら

「ここの人間たちが見守ってくれたから

あんたがこうして生まれたんだよ。

悪いことしちゃいけないよ」

ぐらいのことは代々、コンコンと言い聞かせられてるんじゃないか。

 

全ての生き物に共通するとは毛頭思わないが

何となく、思いが通じることで

何となく、共存してやっていけることもあるんじゃないかと

思ってしまうし、思いたいのだ。