わっちの、冷凍庫の職場。

 

時々、一緒に仕事をする女子がいて

彼女には「推し」の従業員男子がいるそうで

ちょいちょい話を聞いていたのだが。

 

先週だったか「LINE」を交換したと浮かれていたので

あぁ若いっていいわねぇ

なんて思いながら話を聞いて一緒にキャッキャ言っていた。

 

彼女の浮かれた気持ちはわかるが

同じ会社のヤツと連絡先交換なんて

わっちにしたらまっぴらごめんである。

 

家に帰ってまで仕事のことなんか考えたくない。

仕事で絡むヤツとプライベートでまで話をするなんて

面倒の極みである。

 

とりあえず数時間の付き合いの女子だ。

ある意味、恋バナなんて

50のわっちには無縁のモノだし

新鮮な気持ちで聞いていた。

 

その彼女が、ある日どんよりした顔で言う。

 

「既読スルーなんですけど」

 

うわ、めんどくせぇ。

慰めてとか励ましてとか、そういう話?

 

内容を聞くに、わっちの勘では間違いなく

脈はない。

 

「既読スルー?もうやめときなって」

 

わっちの若い頃は、自分からトライなんてしなかった。

増してや追いかけるなんて、絶対ムリ。

 

だが彼女は、なんかずっとグズグズ言ってる。

 

喋ってる内容も、なんかあいみょんとかaikoとかが

歌ってそうな失恋ソングみたいなことになってる。

 

知らねぇよ。

追いかけ癖のある女の思考なんて

わっちが理解出来るわけがない。

 

というか、わっちに言わせたらそんなことぐらいで

グズグズ言ってられるのは「幸せの極み」だ。

 

「“推し”じゃなくて“好き”なの」

 

やめてくれ。

おひとりさま満喫中のわっちに

何を求めてるんだ、アナタは。

 

「おばちゃんは酸いも甘いも嚙み分けちゃってるから

そういうの、新鮮だなー」

 

としか言いようがない。

 

「もう今日、早退しようかなぁ」

 

したらいいじゃん。

これだから職場の色恋沙汰は面倒なんだ。

 

これから先、毎日こんな失恋ソングの歌詞みたいなの

聞かされるんだろうか。

 

そう思うとウンザリするが

幸いにしてわっちの勤務時間は4時間のみ。

その間だけの辛抱だと思えば、何とかなる。