わっちが働いている冷凍庫に、新人がやって来た。

男子である。ピチピチの33歳。

 

その新人くんを連れて来た社員さん、わっちに彼を紹介したあと

 

「じゃ、あと教えてあげてね」

 

…はい??

 

入職して1ヶ月にも満たないわっちに、

何言ってんだこの人。

 

仕方がないので、一緒に作業をしたのだが

この子が結構、気端がまわる。

 

作業を見て、効率のいいやり方を考えている。

考えているというか、気がつくタイプのようだ。

男子なのでそれなりに力もあるし、上背もある。

 

聞けば、バイトをなんと4つ掛け持ちしてるんだとか。

 

1日のスタートは夜勤からで、日中に寝ているらしい。

 

「じゃあ今日はこの仕事上がったら寝る感じ?」

「はい、そうですねぇ」

 

おばちゃん、心配になった。

 

「若いうちはいいけど、夜スタートは良くないよ。

自律神経やられるよ?」

 

つい、老婆心で余計なことを言う。

 

初日で気も遣っているだろうし、話をつなぐのに

つい、いろいろと根掘り葉掘り聞いてしまう。

こういうのもナントカハラスメントになっちゃうんだろうか。

 

33歳で、バイト4つも掛け持ちして、

何か目標があるのかと思ったら

「老後のために…」

とか言ってる。

 

じゃあどっかに腰を据えて社員になれよ。

厚生年金の方が国民年金より信頼できると思うんだが。

 

…そこまでは言わなかった。

そこは個人の自由ってもんだろう。

 

わっちは社員でやってるとき、

ボーナスで貯蓄額を上げていったタイプである。

それのおかげで、下のわんこの治療費も賄えているし

午前中の派遣の仕事だけで何とか支障なく生きている。

 

個人の考え方なんだろうけど

単純にわっちは、もったいないなぁ、と思った。

 

わっちが33歳で、今のご時世で、

両親も健在で実家暮らしだったら

正社員という働き方を選ぶ。

 

でも男子だとどうなんだろうなぁ、とも思う。

 

性格にもよるのかもしれない。

あっちこっちで気持ちを切り替えながら働く方が

心地よく仕事が出来るのかもしれない。

 

生き方も、仕事の仕方も、人それぞれ、なんだな。

 

彼は4つの仕事を1週間の中で切り回して

それで満たされているのかもしれない。

 

わっちが思う「いいやり方」が彼に当てはまるとは

限らない。

 

反面、わっちは事務という仕事にしがみついてやってきて

50歳にして、いきなり作業系にシフトした。

 

それを思うと、30代のうちに様々な仕事を経験して

自分に合うものを見つけるというのも

ひとつのやり方なのではないか。

 

これぞ「多様性」ってヤツなんじゃないの⁉

なんてね。