毒母が亡くなったのは

わっちの予想通り、兄様が胃ろう造成手術をした日の夜だった。

 

兄様の「食」の機能と一緒に天に召された毒母。

 

不思議だ。

何となく繋がっているのが我が家である。

 

翌朝、兄様のところの相談員さんから電話が来た。

 

「無事に手術終わりました」との連絡である。

 

付き添えなかったことに平身低頭で謝りながら

わっちも毒母逝去の旨を報告する。

 

「やっぱり、手術の日と被りました」と添えて。

 

 

こうなると、あのとき毒母がショートステイを

断固拒否したのにも意味があるような気がしてくる。

 

 
 
でもなぁ。
兄様第一主義を徹底的に擦り込んで来たのに
自分の死に目を優先するんだぁ…みたいなね。
 
毒母にがっつり刷り込まれているわっちは、多分
毒母の立場だったら意地でも死なないな。
 
ちゃんとショートステイ行って、
意地でも生還するな。
 
息子にもムスメにも負担かけたくないもんな。
 
つか、それ以前にまず透析断固拒否とかしないし。
 
全部周りがやってくれた上での話だもの。
ありがたいことこの上ないわ。
 
病院に行くって言えば車出してくれて
歩けなくなれば車いす押してくれて
ただ座ってたら行くところに連れてってもらえる。
 
しかも、タダで。
 
それどころか、気に食わなければ
文句言いたい放題で。
 
最高かよ…
 
わっちが同じことしてもらおうと思っても
してくれる人、いないし。
 
お金出してプロにやってもらっても
そんなに言いたい放題言えないし。
つか、まず
そんなお金ないし。
 
わっちには誰も面倒見てくれる人がいない、って話を
毒母にすると、必ずこう言うのだ。
 
「子どもを作らなかったからでしょ」
 
返す言葉を飲み込んだ。
 
うん、お母さん、知ってる?
子どもってね、ひとりで作れないんだよ。
ホットケーキじゃあるまいし。