ゲホゲホぜぇぜぇ言いながら
毎晩のように悪態をついていた毒母だが夜になると、
ちょいちょい意識を失いかけているようなときが出始めた。
吊り上がっていた目が、虚ろになって
椅子に座っている姿勢が保てなくなって
声をかけても反応がぼんやりしている。
毒母は、へにゃへにゃになっているから
ぶっ倒れないように身体を支えるだけでも一苦労だ。
ヘタしたらわっちもろともひっくり返る。
足元にわんこがいたらもう、大惨事だ。
一苦労、というかもう、必死である。
布団までの動線にわんこがいないことを目だけで確認して
椅子からゆっくり毒母を下ろして床に座らせて
わきの下を抱えて布団まで引きずっていく。
布団に寝せて、しばらく様子を見る。
普通に、寝てる。
どういうこと??
よくテレビで見るような、
眠気と戦ってる赤ちゃんみたいな、あんな感じになった。
仕方ない。
下で寝るか…。
わっちは2階から、ずるずると自分の布団を下ろして来た。
これでもう、わっちのプライベート空間は
ない。
死刑台に向かうような気持ちで布団を敷いていたら
整えたシーツの上に、わんこが飛び乗ってきた。
「今日から、みんな一緒なんだねっ!✨」
夜なのに…
わんこの笑顔が、まぶしぃっ…!
とりあえず、わっちは飲み直した。
酔っ払えたもんじゃなかった。
久しぶりに、ふんわりと酔っ払って
布団に行ったら、わんこがいつも通り
わっちの枕を半分占領してすやすやと眠っている。
毒母も、普通に眠っている。
いよいよ、終盤に差し掛かっているのか。
明日の朝、冷たくなってたらどうしよう。
ケアマネさんに、まず連絡だな…
そんなことを考えて、わっちも寝た。