まだ年越しそばの話を引っ張る。

 

ひとつのワードを思い出すとそれにまつわるエピソードがまた

浮かんでしまうのだ。

 

地獄の結婚生活の初年。

 

「年越しそばを食べる」

 

と、モラハラ元夫が言い出した。

 

言い出したらもはや「絶対」である。

わっちに「イヤだ」という選択肢はない。

言ったが最後、ピリピリとした嫌な空気の中

いわゆる「針のムシロ」に座らされた状態が

モラハラ元夫の年末年始休暇中、続くことになる。

 

「そうだね、食べよう食べよう」

 

と言ってはいたが、腹の底は

 

「めんどくせっ!」

 

である。

このときばかりは毒母の気持ちがわかった。

 

オマエはいいよな。

座ってて「食べたい」って言えば出てくんだからよ。

飲食店だって料金が付いてるから出してくれるんだよ。

オマエ、これ、

わっちが出してる食費から作ってんだからな!

 

だがあの当時のわっちは、腹の底で悪態をつくのが

精一杯という体たらく。

 

年末の買い出しでそばを買い

モラハラ元夫が入れたい具材を買い

 

いざ大晦日。

 

「年越しそば、いつ食べるの?」

「日付変わる頃でしょ、年越しそばなんだから」

 

…はぁ⁉

深夜12時に、わっち、年越しそば作るのかよ‼

 

ちょっと、白目剥きそうになった。

 

冗談じゃねぇぞおい。

かといって「今、そば!」って言われたときに

即座に出さなかったらご機嫌を損ねるのは目に見えている。

 

やべぇ

マジでめんどくせぇことになった…

 

というわけで大晦日の夕方

わっちは年越しそば用のつゆを作り

茹でたそばを投入すればいいだけにスタンバイした。

具材もダシが出るようにつゆに入れて煮込んでおき

ねぎを刻んで後でのせるようにしておいた。

 

さぁ来い、除夜の鐘!

 

ところが、だ。

モラハラ元夫はまさかの

紅白の途中で寝落ち。

 

紅白と格闘技とお笑いで

カチャカチャカチャカチャカチャカチャ

チャンネルを変えられてまるで落ち着かなかったわっちは

あぁ、やっと静かになった…

と一息つけたものの

 

おい。年越しそばどーすんだよ。

 

11時頃にはいきなり起きたりするんじゃないか。

気を抜いてると何が起こるかわからん。

 

チャンネルは落ち着いたがわっちのココロは落ち着かないまま

もうそろそろ年が明ける。

黙ってたら黙ってたで

「何で起こしてくれなかったの!」

と言ってキレるのがアレだ。

 

やんわりと起こしてみる。

 

「そろそろ年明けるけど。

年越しそば、どうする?」

 

うるせぇ、と言わんばかりに

 

「食べない」

 

と言ってまた寝やがった。

 

くっそてめぇこのやろぉっ…‼

 

深夜にはらわたを煮えくり返らせていた34歳、冬。

 

50歳になって迎えた去年の大晦日。

わっちはお昼に、カップのおそばを食べた。

 

お湯をそそいで3分で年越しそばの出来上がり。

 

年越しそばを食べるのに時間とか問題あるのかしら。

大晦日に食べたら年越しそばって言うんじゃないのかな。

 

いつ食べるとか、どう食べるとか

そんなん問題じゃない。

 

わっちは今回の大晦日に

ゆっくり食べたカップの年越しそばが

人生で一番おいしかった♡