話は戻って

「荷物を持って行ったらいかがですか」

という話。

 

「近々取りに行きます」

と返信したものの

 

せっかくのこの機会

逃してなるものか。

 

明日行く。

 

ヘタに日にちを空けて面倒なことになったら

たまったもんじゃない。

 

だがこの時点で「明日行く」と言ってしまったら

モラハラ元夫が張っている可能性がある。

 

明日、直前になったらメールを入れる。

それも、作業に取り掛かる寸前がいい。

モラハラ元夫が午後の作業に

入るか入らないかぐらいのところがベストだ。

一旦作業に入ってしまえば、中断するなどということは

ありえない。

 

わっちが思わぬ残業に見舞われて、

お昼を適当に買って来てほしい

と言っても、コンビニに寄る時間さえ惜しんで

買って来てくれないようなやつだ。

同じ会社に勤務していて、

ヤツが事務所に戻って来るような時間であっても、だ。

 

まさかこんな時ばっかり、

戻ってきたりしないよねぇ?

つか、

戻って来れるわけがないよねぇ?

 

それでもわっちは、さらに予防線を張った。

 

モラハラ元夫の上長に

ヤツが退社したら連絡してほしい

と頼んだ。

 

ある程度の状況は話してある。

 

上長も快く承諾してくれた。

 

あとは明日、ほんの2時間程度で

とにかくアパートにあるわっちのものを

出来る限り撤収する。

 

アパートの中のことをできる限り思い出しながら

いったいどうすれば最短で撤収できるか

何を引き上げて何を残すか

徹底的にシミュレーションした。

 

これが、あのアパートに足を踏み入れる最後だ。

父が亡くなってから2、3回しか行っていないが

万が一にも、絶対に、間違っても

もう2度と行かない。

 

わっちの私物と、わっちがお金を出して買ったもの

それらをひとつ残らず運び出す。

 

兄様の車を借りて、後部座席を畳んで収納スペースは

確保した。

あとは家にあるデカいバッグをひとつ残らず

車にブチ込んだ。

衣類や小物などいちいち整理してバッグに詰める

時間的余裕はない。

全部わし掴みにしてバッグに詰め込む気で行かないと

2時間で始末はつけられない。

 

モラハラ元夫からの「荷物持って行ったらいかがですか」と

連絡が来たのが、20時か21時か、そのあたり。

 

まさか翌日とは思うまい。

 

久々に、わっちのスイッチが入った。

2時間で、

カタ付けてやろうじゃないの。