ソーシャルゲーム、国内でアイテム課金→広告収入、海外展開へ | 中国でソーシャルゲームを配信してる日本人のブログ

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ソーシャルゲーム業界では2012年、売上の伸びが20%未満まで減速する見通しだ。2008~2010年に売上が20倍に急増したことを思えば、大幅な減速である。このため、ソーシャルゲーム会社はビジネスモデルの見直しに乗り出す可能性がある。

最も有力な方法は、売上構成の中でバーチャルグッズの販売を減らし、広告収入を増やす方法である。少なくとも一部のゲーム会社は、これまで掲げてきた「フリーミアム」のビジネスモデルを止め、最初からゲームに課金するモデルを採用するとみられる。特に、制作費が高く複雑なゲームについてはその可能性が高い。

(2012年の国内ソーシャルゲーム市場規模は、前年比約75%増の4,643億円となることが予測されている。その他の調査結果からも、国内においては2012年に本稿が指摘するほどの市場の成長減速は見込まれない一方で、成長率は減速傾向にあることが示されている。

ソーシャルゲームは、一般にソーシャルネットワーキング・サービスのWebブラウザ上でプレイするオンラインゲームである。基本的に多人数参加型で、非同期(リアルタイムではない)のゲームである。これまでのビジネスモデルは、ほとんど「フリーミアム」である。これは、ゲームのプレイ開始時は無料で、月額利用料も取らない。広告収入を除くと、バーチャルグッズの購入や、新しいゲームのステージに進むなど、追加のコンテンツにお金を払った時点で売上となる。

ソーシャルゲームは、ビデオゲームの対象市場を幅広い年齢層のユーザー達に広げた。このゲームは、MP4プレーヤー以上のコンピューターを持っている人であれば実質的に誰でも参加できる。ソーシャルゲームを楽しむ人の6人に1人が「60歳以上」である。また、過半数を女性が占める。一方、2008年の調査では、従来のゲーム機で遊ぶ人は圧倒的に男性が多く、年齢層も18~49歳であった。

ソーシャルゲームは業界全体を変えると期待されていた。当初の勢いは続かなかったようだ。いくつかの指標を見る限り、複数の開発会社では、2011年は下降基調となった。売上は伸び続けているが、ソーシャルゲームのユーザー層はこの2年、ほとんど増えていない。ソーシャルゲームのプレーヤーのうち、実際にお金を出してバーチャルグッズを購入した人の比率(コンバージョン・レート)は、ゲームの種類と時系列によって異なるものの、わずか1~3%だったようだ。

また、有料ユーザーの中でも少額しか使わない「小魚」とは違い、多額のアイテムを購入する「クジラ」と呼ばれる層は、すでにソーシャルゲーム売上の相当部分を占めている。売上の46%をユーザーの上位1%から得ている企業もある。このグループは毎年数百ドルを使っており、一部のケースではバーチャル・エコシステムに毎年数千ドルを投資しているため、課金額をこれ以上増やすのは慎重になるとみられる。

国内のソーシャルゲームユーザーの課金率は20%程度であり、海外に比べ非常に高い水準にある。その最大の要因は、モバイルキャリア決済という課金の抵抗感を極小化する仕組みが用意されていることであろう。いつでも、どこでも、自分の財布からお金もカードも出すことなく、指先一つで支払いが完了する便利さは、利用者の課金に対する心理的障壁を下げる効果がある。また、データマイニングによる最適な課金タイミングの設定ノウハウも、高い課金率を実現する要因である。)

近年、国内大手ソーシャルゲーム会社は海外進出にフォーカスしているが、国内で培った高い課金率を海外でも展開することができるか否かが試金石となるだろう。


ソーシャルゲーム各社は、ゲーム内広告などの収入源もあるが、現在でもバーチャルグッズの課金が最大の収入源となっている。あるソーシャルゲーム大手の広告収入は売上全体の5%に過ぎない。業界全体で見ても、広告収入の売上貢献度は平均14%前後にとどまっているようだ。

訳注:国内のソーシャルゲーム各社も、合弁や買収などにより広告事業への進出を進めている。国内大手のGREEは、2011年1月にアドエクスチェンジ運営会社のアトランティスを買収し、DeNAは2011年4月にインターネット広告会社のサイバーエージェントと合弁会社を設立し、アドエクスチェンジ事業に進出している。

こうした広告事業への積極進出は、多角化戦略の一環だと考えられる。広告以外の多角化の方向として、電子書籍やVideo On Demandなどコンテンツバリエーションの拡充や、eコマース事業への展開などが考えられ、こうした異なるインターネットビジネスの有機的連携が今後の成長に向けたポイントとなると考える。

プレーヤー数が増えず、ユーザーがプレイに消極的であるとすれば、各社は1人のユーザーがプレイするゲーム・タイトルの数を増やすか、各ゲームに費やす時間の拡大に努めるしかない。しかし、最も一般的なソーシャルネットワークでも平均的な月間のゲーム時間はすでに8時間近くに達しており、この数字は最近数四半期、ほんのわずかしか増えていない。

そうなると、ソーシャルゲームのビジネスモデルは、最初からゲーム本体に課金する方法を採用するしかない。これはソーシャルゲームの精神に反するように見えるが、最近の人気ゲームはこれまで以上に制作の費用と時間がかかっている。他のメディアやゲーム業界では、消費者は、クオリティが高いと思えば、前は無料だったコンテンツに料金を払ってもよいと考えるようになっている。従来型メディアでは有料TVがその好例だし、ゲーム・セクターでは、熱心なファンはすでに料金を払って多人数同時参加型オンラインRPG(MMORPG)に参加したり、ゲーム機用オンライン・サービスにアクセスしたりしている。

ソーシャル、カジュアルゲームの人気は衰えていない。しかし、ビジネスモデルがこのまま変わらなければ、630億ドルといわれる世界のビデオゲーム市場でのシェアを、現在の2%から大幅に拡大するのは難しそうだ。

ソーシャルゲームの売上を増やすには、ビジネスモデルを見直し、ゲームのプレイ本体に課金する必要がある。ソーシャルゲームのビジネスモデルは、主に3つの要因に左右される。

(1)一般に「月間アクティブ・ユーザー数(MAU)」を指標とする利用者数の拡大
(2)課金率(コンテンツに料金を支払うユーザーの比率)の上昇
(3)そして各ユーザーが支払う金額の増加である。

どのアプローチも有効だが、そろそろ次なる第4の方法を加えても良いのではないだろうか。すなわち、最初からゲーム本体に課金することだ。

訳注:ゲーム本体への課金は、日本のゲーム産業においては“回帰”である。所謂ガラパゴス携帯電話において、サブスクリプションモデルのカジュアルゲームは安定的な収益をもたらした。世界に先駆けてサブスクリプションモデルが普及した主要因は、モバイルキャリア決済という月額支払いを前提とした決済方法が整備されていたことであろう。その後、ユーザーの離脱防止やARPPU(Average Revenue Per Payed User : 有料会員あたり月売上)の増大が見込めるアイテム課金への注目が集まると、新興のソーシャルゲーム会社を中心に移行が進み、現在に至る。
近年は、課金額でゲーム内のパワーが決まるというゲームバランス崩壊の危険性がアイテム課金の弊害として顕在化しており、国内でもサブスクリプションモデルへの回帰が始まる可能性は高い。但し、完全な回帰ではなく、サブスクリプションモデルとアイテム課金を組み合わせたハイブリットモデルへと緩やかに移行していくのではないかと考えられる。

※執筆時点(2012年5月15日)において、消費者庁が所謂「コンプガチャ」に対する規制に乗り出す姿勢を見せたことを受け、ソーシャルゲーム各社は自主的な中止を決めている。「コンプガチャ」とは、都度課金される電子くじで複数種類あるバーチャルグッズが提供され、全種類揃えられるとさらに珍しいバーチャルグッズが提供される仕組みである。この仕組みによりユーザーの購買意欲が過度に刺激されるケースが散見され、景品表示法で禁止されている「カード合わせ」との類似性が問題視されている。

「コンプガチャ」問題は、課金額がゲーム内のパワーを左右するというアイテム課金の構造的弊害の一つとみることができるだろう。こうしたアイテム課金の弊害が社会問題化する中、ソーシャルゲーム各社は課金モデルの在り方の見直しを迫られており、本稿が指摘するゲーム本体への課金、つまりはサブスクリプションモデルへの移行圧力が高まると考えられる。

ソーシャルゲーム・セクターは、ゲーム機業界からも学ぶことがある。強力な専売権を持ち、質の高いシリーズ作品を開発するにはそれなりのコストがかかるが、利益もまた極めて大きい。売上が史上最速で10億ドルに達したメディア・タイトルは、有名な3D映画の「アバター」ではなく、発売から8年以上経ったシリーズ8作目のビデオゲームである。ソーシャルゲーム大手各社は、自社の最新タイトルの品質を大幅に改善したうえで、それを踏まえて課金すべき時期に来ているといえよう。

【上記はほぼ転記 出典は以下】
このトピックスは、デロイトの情報・メディア・通信(TMT:Technology, Media and Telecommunications)グループが編集した2012年5月15日『Technology Predictions 2012』から、ソーシャルゲームに関する予測と提言を意訳したものである。なお、訳注の部分はデロイトトーマツコンサルティングのコンサルタントによる解説・補足から抜粋している。
http://www.tohmatsu.com/view/ja_JP/jp/knowledge/tmt/prediction2012/c2ce7ddd95537310VgnVCM2000001b56f00aRCRD.htm