自閉症で知的障害があります。
明るくて笑顔がかわいい女の子です。
私はしいちゃんのおかあさんで56才のシングルマザーです。
今日私は仕事納めでした。
職場の忘年会は夜だし、若者が中心だから、出にくいので、
職場のIさんとMさんの3人で忘年会をしました。
私は今年は体調を崩しがちだったのですが、
いろんな人に支えられて、仕事納めの日を迎えることができました。
仕事関係では、IさんとMさんに支えてもらいました。
同い年と1つ下の二人には、何でも話せる間柄です。
3人が集まると、
「何歳まで働く?」と言う話になります。
私はいつも、
「60才までは働くけど、その後は働ければ、61才、62才って短いスパンで考えていきたいな」
と言います。二人はとても健康なんだけど、
Iさんは、「私は60才までって思ってずっと働いてきたから、突然65才って言われても、気持ち的にがんばれないな」
と言いました。Mさんは50才を過ぎてから、体重が減り、やつれてきたと言いました。
私も痩せたなあと思って見ていました。
「周りもみんな痩せてきたって悩んでるよ」と言いました。
職場には私たち世代の人が多いのですが、
みんな痩せたきているというか、やつれてきています。
(私はこの職場に来て、10キロ以上太ったよなあ、私って苦労が表に出ないタイプだよな)
と思いました。私は若い頃から、
「苦労が外見に出ないタイプだね」とよく言われていたのを思い出しました。
思いがけず、自分の長所を思い出しました。
Mさんは、「60才でやめるのと、65才でやめるのとでは退職金変わるの?」と言いました。
私は「30万円くらいしか変わらないよ」と言いました。
(もう~!一緒に説明会行って聞いてきたじゃないかあ~大事な話してる時に寝てるからだよ~)
と思いました。説明会の日、彼女に限らず、ほとんどの人が居眠りしてました。疲れきっている56才。
そんなことを話していたら、Iさんの携帯に電話がかかってきました。
「息子が今年成人式なんだけど、写真屋さんから電話」
とIさん。
「息子が髪の毛を緑色にして写真撮るって言うの。もう勝手にすればっていう感じ」
と呆れていました。
「それって、シャンプーすれば取れるカラーなの?」とたずねると、
「取れないよ、それで仕事に行くんだよ、今は茶髪だけど、この前までシルバーだった」とIさん。
(どんな仕事してるんだろう‥)とびっくりしました。
「クリスマスも終わっちゃったね」とIさん。
「ケーキ食べて終わったよ」と言ったので、
私は今年のクリスマスケーキについて話しました。
「私はいつものケーキ屋さんでケーキを買ったんだ。毎年おいしく食べていたのに、今年はイチゴがすごく少なくて、間に挟まっているイチゴがほぼなかったのが、不景気を感じさせられたよ~」
毎年イチゴがいっぱい挟まっているのが、とてもおいしいのに、ほとんどクリーム。
世間では高島屋のケーキが話題になってるけど、
我が家のケーキもちょっとした衝撃でした。
するとMさんが、
「私はクリスマスの日、トイレで泣いていたよ」
と言うので、話を聞くことになりました。
今週に入ってから、旦那さんの機嫌が悪くて、
毎夜、毎朝お説教タイムがあって、謝っても許してもらえなくて、
仕事に遅れそうになったこともあったそうです。
「何にも悪いことしてないのに怒られる、謝っても許してくれない」
と言うのです。
「クリスマスの日、私が少しリラックスして旦那に話しかけたら、地雷を踏んでしまったみたい」
と言うから、Iさんは、
「リラックスしてって、いつもは緊張してるの?」とたずねました。
Mさんは「うん」と言いました。
私もびっくりしました。Mさんが家庭のことで悩んでいたのは知っていたけど、
いつも家で緊張しているとは知らなかったのです。
お金のことも旦那さんはIさんに厳しくて、
「60才までの3年間で娘の結婚資金を100万円貯めるから、お金を出すように」
と言ったらしく、子どもたちの学費で大変なので出せないって思ったんだけど、怖くて言えなかったとMさん。
(おいおい、3年間で100万円て、すごくハードル低くない?旦那一人で貯めろよ!)
(そもそも、結婚資金って親が出すものなの?)
(奥さんには厳しいのに、子どもには甘やかせ過ぎじゃない?)
とモヤモヤしました。
いろいろ話を聞いて、Iさんは、
「そうやって結婚生活続けていて、楽しい?」
とたずねました。Mさんは、
「ううん、これからも地雷踏まないように生きて行くしかないのかなと思う」
と言いました。私は、
「私は実家にいた時、いつも母親に謝っていたよ。悪いことしてないのに怒られるから謝ってた。謝っても謝っても許してくれなかった」
「最後は何で謝ってるのか、わからなくなったよ。」
「私の人生、離婚したことも、しいちゃんが障害があったことも大したことじゃなかった」
「何にも悪いことしてないのに、母親に怒られ続けたのが一番つらかった」
「今は家の中に、怒る人がいないことが幸せだよ」
と言いました。向かいに座っているIさんが涙目になっていました。
「しずくまさんはつらかったのに、しいちゃんを明るくていい子に育てたの、すごくえらいよ」
とMさんは言いました。
「しいちゃんはね、生まれつき天真爛漫だと思うんだ、私はしいちゃんの明るさに救われたんだ」
と私は言いました。
しいちゃんがいなかったら、ここまでがんばれなかっただろうなと思いました。
お昼頃始まった忘年会が、Mさんの告白から、夕日が見える時間になっていました。
「みんないろいろあるよね」
「私は子どもに、おかあさんはいつ仕事を辞めるかじゃなくて、いつ離婚するか考えた方がいいよって言われてるよ」とMさんが言うと、
「そうかもね」とみんなで笑いました。
人生長く生きていると、本当にいろいろあるなと思いました。
つらいことがあっても、それを経験して、それが学びになって、
周りへの感謝の気持ちが生まれたり、人の痛みがわかるようになる。
今年の仕事納めと忘年会は、思わぬ方へ話が向かったけど、
今日という日を、あの日お見舞いに来てくれた2人と迎えられたことを本当にありがたく思いました。
毎年このメンバーで集まって、今年も頑張ったねと言えたら、幸せだなと思いました。
おいしく食べられて良かったなあ。