しいちゃんは29才の女の子です。
自閉症で知的障害があります。
明るくて笑顔がかわいい女の子です。
昨日はバレンタインデー。
朝しいちゃんの検温をしたら、しいちゃんは微熱がありました。
しいちゃんの施設は微熱があったらもちろん行けないので、
お休みをすることになりました。
私は職場としいちゃんの施設に連絡をして、
ゆっくり過ごすことになりました。
でも私はだんだん落ち込んできて、
夕方にはしいちゃんのご飯の支度をして、
それから動けなくなりました。
このところ、調子がいい時と悪いときの差が大きくて、
自分の感情とお付き合いをするのが本当に大変でした。
メールカウンセラーゆみさんにメール相談をしました。
先週お話をしたばかりでした。
ゆみさんは、
「しいちゃんの体調が悪いのもずっと続くわけではないし、施設に行けるようになりますよ」
「そうしたら、だんだん気力もわいてきますよ」
と言ってくれました。私は自分が調子がよくて仕事に行けるのに、しいちゃんが熱があるから行けなくなって、
気持ちが揺れてしまったんだなと思いました。
私はしいちゃんがいつも明るくしていてくれているのに、
すぐに落ち込んでしまうのが申し訳なく思いました。
こんなおかあさんでしいちゃんに申し訳ないなと思いました。
ゆみさんは、
「しいちゃんはそういうことは思いませんよ」
と言ってくれました。
しいちゃんはベッドで寝ているときも、
「おかあさん、大好き」と言ってくれていました。
私はしいちゃんから愛されていることに気づきました。
夜、プライムニュースが始まったころ、
私は突然、「バレンタイン忘れてた!」と言いました。
そして押し入れをごそごそして、
「しいちゃん、今日は何の日か知ってる?」
と言いました。しいちゃんは元気に
「バレンタイン!」と言いました。
しいちゃんに、「しいちゃん、愛しています」と言いました。
そしてチョコを渡すと、しいちゃんは少しキョロキョロして、
「バレンタインチョコ、開けてください」
と言いました。
私はチョコを開けて見せると、
しいちゃんはチョコを一つ取って、口に入れました。
「しいちゃん、どう?」
とたずねると、しいちゃんは、
もぐもぐしながら、「バレンタインチョコ、ありがとう!」と言いました。
「おいしい」じゃなくて、「ありがとう」と言ってくれたしいちゃんが、可愛くて、そして少しおねえさんに見えました。
落ち込んでしまって、バレンタインを忘れてしまったけど、
ゆみさんの言ってくれたように、
私はしいちゃんに愛されていると思い、
今度は温かい涙を流しました。