二日目




今日も高田町




毎朝ボランティアを現地まで運ぶのは観光バス


遠野だけでも三台



その中に何故か路線バスが一台



少し型の古いそのバスは、路線を引退したものでこの震災によって復活してボランティアバスになった



白地にストライプの外装、それに広告が付いてる


中には運賃箱や料金表に、当然ブザーがある!


大きな窓は全て開き、座席も小さいが視界が広い



運転手さんは

『こいつは板バネだから乗り心地は観光バスに敵わないよ↓』と言うが


今時の観光バスより、地元のローカルバスがここには似合う!


俺のお気に入りバス!






今日も運転手さんの後ろの席


奇跡の松を左に曲がると、集められた瓦礫の山


その先には、形だけは残った道の駅とホテルがある



そこからさらに左に折れて町の中心部に向かう



見渡す限りに基礎だけを残した住宅跡



そして町の真ん中を横断する線路の踏切で一次停止!


運転手さんは、少し窓を開けて左右を指差し確認をした



ここまでの道のり


えぐられた線路や
跡形もなく流された駅



途切れた線路


ここに電車は走らない!




真面目に見えた運転手さんが滑稽に思えたけど


一瞬、涙を堪えた





本日は道路の側溝の清掃


今日は県からの派遣や学生の団体が多い


個人ボランティアは二班だけ



団体さんは田んぼ側の側溝

人数も居るのでかなりの長距離



うちらは別の場所と、隊長のあとに付いて山側に向かう



津波の到達地点、その手前
田んぼの反対側の民家の前

田んぼ側は全面に側溝の蓋があるが、民家側は出入り口の前だけに蓋がある


その下が詰まっていた



バールでこじ開けて作業開始!



道路の側溝に詰まるのはほとんど海砂だった


収集場所が田んぼ側の為、道路を横断しなくてはならない



今日の俺は交通整理をしながら班員を動きを見る


珍しく班長らしい活動



そこに団体の先頭が反対側で作業を始めた


車道での作業でみんなが道路をふさぐ


『車が来ま~す!』

『ここは車道ですよ~!』

とずっとこんな感じ



二班だけの個人ボランティアなので、隣の班と仲良く共同作業


やりにくい場所や苦戦してるのを見つけると、
俺にもやらせてとしゃしゃり出る(苦笑)


こんな感じで午前中の作業を終えた





昼休み、昨日あの後の話に隊長達と盛り上がる!


俺は先に一服、そろそろ食うかとおにぎりを出すと


『明日帰っちゃうんですよね?』


少し困ったような顔して総隊長が言う


『俺長部をどうしても今見てほしいんです!今から行きましょう!』


『マジ…?』


まだ咲いてるはずの向日葵と綺麗になった上長部をどうしても俺に見て欲しいと

今なら昼休みのうちに戻って来れる


言われるままに軽トラに乗る


私用な目的で使う車を心配すると


来週また長部に入る視察だからと隊長は笑った!



突然の事にヘラヘラと笑いながら乗ったけど、そうでもしてないと泣けてくる


昨日語った若い総隊長の熱い気持ちがたまらなく嬉しかった



長部の入口近くには、前回雨の視察に解体が始まった工場が、分別されて搬出を待っている


その前の緩やかなカーブの先に瓦礫の山が無い



ホントに綺麗に片付いてる↑



そして片付いた畑の一番奥に黄色い線が見えた


今満開の向日葵!



その前に軽トラが止まる


『写真撮っていいよね!』


総隊長の返事を聞かぬうちに車を降りた


2回3回、時間を気にしながらも撮り直した



遠野に来て、陸前高田に着き、上長部にたどり着た


若い子、年払いの人、熱い奴、変わった人に優しい人、


いろんな人に出会った


今ここに居るいろいろを思い出しまた目頭が熱くなる…




戻りの車で、俺のお喋りが止まらなくなった


今までの震災ボランティアで得た事や


今回の震災に福島に入っている仲間の話


絶対もっと何か出来る


そんな思いでいっぱいだった




午後の作業は順調に進み、分け合った隣の班と繋がって後少し


先が見えた所で、さっき隊長に頼まれた津波の到達点に何人かを連れて行き作業した


二班入り混じって終了時刻前に作業を終えた




明日もう一日



おもいっきし頑張ります!



………
みちのく一人足袋!-110908_121857.jpg
調子よかった朝ですが


ボランティアセンターに戻るとシャワーの予約はいっぱい↓



男性2ヵ所 15分刻みの予約表になんとか見付けたのが21:00ジャスト!




ゴム足袋、合羽を洗って、洗濯をして


それでも持て余す時間に、買物に出た!





作業着屋に寄って白いシャツを買った↑


その勢いでホームセンターに


活動中に使える物や、体育館生活に使える物を探す!




遠野の夜は町も暗く、夜が早い田舎町と思ってたけど

国道の大型店は9時までやっていて、人の入りも多い

眠くなる気がして晩飯はお預けに、ただウロウロと


そうこうしてると、なんとかシャワーの時間





明日の活動後に帰るから、隊長の店に行くには今日しかない!




徒歩20分


遠野駅近くの店に向かった



駅前で、陸前高田の小隊長と今日同じ班で俺より長いリピーターと出くわす



『今からですか?』


二人は食事だけ取って退散

残るのは今日からの総隊長

今日は呑むぞと息巻いてるらしい




小綺麗な店


カウンターの真ん中に大きな男が一人で陣取ってる



総隊長に合流


待ってましたとばかりにビールで乾杯!


俺は何杯呑んだとか、今日は本気で呑むとか既に酔っている


混んでないからと休憩していた元総隊長がカウンターに戻ってくれて


元と現 総隊長達と三人


元は、初日の今日を心配して

現は、今日を上手くこなせなかったと悔やむ



俺より少し上の元隊長

オヤジの二人で、一回り下の若い隊長を励ます



確かに、元隊長はよくやってたし、時間や人を動かすのも上手いし、緩い口調は人を引き付ける


でも隊長もみんなと同じ一ボランティア


必ずしも完璧に出来る必要はない



人前で喋れなかったり、上手く采配が振れなくても

精一杯頑張ってる



そもそも隊長になる人達は長期で滞在してるし


それだけでも凄い事!



ボランティアに行くと不思議に苦手な事でも
やらなきゃって気持ちになる!



俺だってそう!


普段なら、嫌な事、苦手な事、面倒な事でも素直に受け入れて行動出来る


そして元気と、やる気と、勇気をもらい日常の糧になる!




震災は、有ってはいけないけど

やむを得ず起こる度に
俺自身何度も励まされてきた


震災ボランティアを待ってる訳ではないが

そこで得る事は大きい


被災者の気持ちを考えると、正直裏腹な自分に複雑な思いもある






『ビールでいいの?』



カウンターの中の元隊長に、『はい!』と一度答えたけど

なぜか、呑んでも呑んでも減らぬ生ビール


サービスなのかなんなのか



カウンターの酔っ払い二人に付き合う元隊長



100人単位の前でどうじないのに
なぜか妹さんにはたじたじ↓



会話を聞いてるうちに、この男の正体がわかった!


実はこの兄、音信不通のまま14年


ろくに定職にもつかず、のらりくらりとした人生


ある時ふらりと戻って来て総隊長に




俺も実家を出て、所帯も持たずに、残る妹に両親をまかせてるが



この男、まさにフーテンの寅!!


どおりで憎めない男!



予想外の正体にやられっぱなし





酔っ払いに会話は盛り上がり、気が付けば閉店の0時を回る




カウンターの二人は最後の客



『お兄ちゃんボチボチね!』と妹さんの一声でお開きになった





遠野は観光地


遠野物語やかたりべさん


その昔は城下町



そんな町の、いい店で楽しい人達と、良い時間だった↑



そう言えば、この店の在る通り


親不孝通りだって(笑)




駅前のタクシーをを見ると



もう歩けねぇ~と二人で乗り込んだ…










………
5:55予定通りの到着!



すっかり慣れたボランティアセンター


体育館の前の廊下


『おはようございます!』

行き交う全ての人に連呼しながら一直線に

シャワーの予約表をチェック



空きのある早朝


仕事を終えたままの出発をリフレッシュ!




サァまた帰って来ました
今回も頑張ります!


そんな勢いで朝礼に向かう



すぐに隊長を発見!
遠野に戻った最初に声をかけると


『今日は俺行かないよ!』

震災以来、ほぼ毎日続けてきた隊長


『俺だって仕事しないと!』


隊長は遠野出身


「自分だって大変なのに、よくやってるよ!」と
ここに長い人が言っていた

親しくさせてもらったから居ないのは少し淋しく思ったけど、


今回は密かに一つ楽しみがあった!



先日見たボランティアセンターのホームページに、上長部のヒマワリが咲いたとアップされていた


あの時、みんなで試行錯誤して植え替えた向日葵


なんとしても咲いてくれと願った向日葵


自分の目で、しっかり見たいと!





朝礼ではいつものように各隊長の挨拶


陸前高田は、道具を送るやり取りをした隊長が総隊長になって


今日の活動説明の中に、「本日、高田町」と…



え、上長部行かないの??



上長部は、あれから作業も進み9割が終って今一段落

最後のエリアに入るまで、高田町の側溝の清掃に行くらしい


少し残念ですが活動が進んでる事はなにより↑




今日、バスは奇跡の松を見て左に曲がる


地図上の陸前高田の北よりの地区


道路から一段下がる水田だった場所で、瓦礫で埋まった用水路の清掃



用水路は、上から見て水がたまってるだけにしか解らず、完全に瓦礫と土で埋まっていた



合羽をはいて作業開始!


まず埋まっている側溝の淵をわ探す

スコップでも柔らかな土は、海砂だった


でもその下にあったのは流された家の瓦


取っても取っても出てくる瓦に、この場所に一軒の家がぶつかり崩れたのが解る。


やっと見つけた側溝の底は約80㌢

長靴では水没する



うちの班は全体の真ん中で、上流の作業が進む度、堰止められてた水が流れてくる


俺はゴム足袋のチャックを締め直し側溝の中に


そして絶対着用の手袋を外して水の中に手を入れた



砂の中から、出るは出るは一軒分の瓦


流れくる水と海砂のお陰で手で煽ると簡単に取れる



瓦を抜いた後に班のみんながスコップで砂をかき上げる


そんな流れで作業を進めた。




全体休憩の後、先行する俺の作業は隣の班のエリアにたどり着いた


そのエリアの真ん中には上の道路の側溝から水が流れ出る合流地点

その水を受け止める大きな枡がある


コンクリートで作られたその枡は崩れ落ち堰となっていた



大きなコンクリートでも、水の中では少しは軽く動く


少しづつずらして元の場所に戻すが

真ん中には更に大きな塊がある



それに手を掛け出すと、すぐに昼食になった


『なんとかしたいですよねぇ!』

先に格闘していた隣の班の人が俺に言った




昼休みに今日からの総隊長に声をかけた


『道具、大丈夫だった?』

人数の多かった夏休み

道具の数が増えた事で、上長部の作業が進んだと言ってくれた



今日から高田町に入るのを期に隊長が入れ代わった話から、前の隊長の話になった


なんでも、今体調の悪いお母さんがやっている居酒屋を妹さんが頑張っいて、隊長も夜に手伝っているらしい


今夜行ってみては?とそんな話になった





午後の作業


用意した2本のバールで少しづつ起こすが


さすがに大物!


一人でひっくり返せずもがいていると、2人の男性が手を貸してくれた



バールを突っ込み、あと少し

『せいのっ!』


息を合わせて三人掛かり


ひっくり返したコンクリートにみんなで大喜び↑




すっかりここで夢中になっていましたが、

本日も俺、班長でした↓↓



ほったらかしにしてしまった自分の班に戻ると


ほとんどの砂をかき上げて数センチの水が流れてる。



透き通る水に底が見える!

用水路が機能し始めていた



残る時間、徹底的にとみんなは綺麗に砂を取り除き


俺はかき上げられて、ぬかるんだヘリに出来た砂山に、瓦や縁石等を並べて、引き上げの道作りをした




夢中で側溝の中に入りドロドロになってた時、
誰かに言われた



『なんか一人だけ楽しそうですね(笑)』


泥んこ遊びは子供の頃から大好きと返したけど



まさにドブさらい!



危険、汚い、キツイ仕事は昔から鳶の本業


祖父さんの時代はドブさらいは、いい金になったとか

泥ジミが付いた新しめの白いシャツは


今日も頑張った証


満足した気持ちで遠野に戻った……






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