いつものように迎えた朝



いつもの時間に起きて



いつものように朝の支度をする




一つ違うのは


私服と言う事



朝の挨拶を交わす知り合いも


『おはようございます


あれ?』と



今日は活動ナシで帰ります


親しい仲間が増える分


帰りづらくなる


なので、今日はみんなを送り出す事にしました





朝礼の後のバスの配車の手伝い


団体、一般さんの整列、誘導



そしてバスを見送り大きく手を振った!



各班のプレートや残ったビブスの片付けをして



見送り終了!




それではと車に乗りセンターを出ようとした時、
一昨日同じ班にいた女の子達がちょうどセンターに戻ってきた


偶然の再会に、両手を振って見送ってくれた





初めての日中帰り


東北道に乗ると最初のSAで土産を買う



この所、毎回買うのはカモメの卵


こいつはどこに届けても喜ばれるすぐれモノ


なにより、カモメが届くのをいつも待っててくれる人がいた



さてと、エンジンをかけDシフトに入れて再出発!




しかし…


『ん?』



車が進まない


アクセルをふかすとわずかに前に出た


ハンパに前に出た車を下げようと、バックギアでは普通に下がる



何度か試すが、この繰り返し


ためしにエンジンを切って再チャレンジ!




今度は少しマシに前に出たが、シフトゲージに『F』の文字??



まったく訳が解らず取説を引っ張り出した




F=エマージェンシーモード?



オートマシフト ミッションにトラブルが出るとFモードになり、自動的に2速にだけ入る


立ち往生にならずに自走して修理工場まで行けると言う仕組み



しかし


ここはまだ岩手県


東京まではまだ500㌔


おまけに明日は仕事




2速でだって帰るしかない!


覚悟を決めて走り出した




2速の走行では時速50㌔が限界↓


流れの良い高速道路では大迷惑


やむを得ずハザードをたき路肩走行



睨む人、クラクションを鳴らす人

迷惑なのは解ってるよ!
でも俺だって必死なんだ!



心の中でそう叫ぶ!





震災の応急処置をしただけの路肩は激しく歪んでいる

油断すると車内の荷物に、自分までが宙に浮く



ハンドルにしがみつき、路面に集中して、苛立ちのクラクションを交わしながら走った



こんなんでホントに帰れる保証も自信もない



そんな時、ある事を思いだした


復興支援チームの打合せの時に誘われた福島での炊き出しが確か今日!


あいつらが福島に居る!



すぐさま連絡する



事情を説明すると



『了解!待ってるよ(笑)』


炊き出しの準備の最中


快い返事をくれた




すると直ぐにメールが届いた


近くのディーラーに連絡して受け入れ準備をしてあると(涙)


こんな時に心強い仲間↑




東京までと思えば距離は半分


『どの辺まで来ました?』

何度も来る気遣うメールに励まされて約200㌔
なんとか福島まで走りきった!





たぶんこの通り!



トンネルを抜けた先に似合わない(笑)エプロン姿の鳶仲間が立っていた


復興支援チームの連絡や被災地に一緒にと言ってくれたあいつだった!



仮設住宅の中に誘導されて車を停める




『おつかれ~↑』


鉄板のセットをしていた、もう一人の鳶仲間が出迎えてくれた


こいつとは長い付き合い


3月11日もこいつの現場だった!


そう言う縁なのかな




今回の仲間の参加はこの二人



この企画を仕切る方とは暑気払いの時に一度お会いしてるだけ



女性を含む他の参加者と集会所の中で食材の下拵えをしていた




突然押しかけてしまったお詫びとご挨拶に!




『わ~良かった~!無事に辿り着きましたね↑』


笑顔で受け入れてくれた皆さんにいつものボランティア風のご挨拶を



『岩手県遠野から来ました四〇壱です!
本日よろしくお願いしますm(__)m』



しかし挨拶もつかの間


本格的に炊き出しが始まる前にとディーラーへと急ぐ




大きな通りのあるここの近くにディーラーがあった


みんなに掛ける迷惑を考えると運が良かった



事前の連絡をしてもらったお陰でディーラーも待ち構えていてくれた



『ミッションですよね?

F出ちゃいましたか↓』



お気の毒といった顔のサービスさん




この車種の弱点がミッションなのは知ってる



恐る恐る聞いてみた


『ミッションいってた場合いくらぐらいかかります?』



『見ないと解らないですが安くみても70万からだと…』


7〇万!?!?




……




返す言葉がない↓



炊き出しの手を止め送ってくれる仲間


答えを待ってるサービスさん




今決断しなくてはならない


決断を前にサービスさんに一つだけ質問した



『もし、あなただったらどうします?』



『私なら配車にして、同じ程度の車買い直します!

その方がお金かからないですし!』


















『よし!配車にしよう!』


とりあえずの荷物を取り、残りは後日の引き取りと配車手続きと決めた




付き添ってくれた仲間の車に乗り込む




『さすがあのメーカー!
エマージェンシーモードとは凄いですね↑

しかし70万からにはびっくりですよ(笑)』




『そうだね(苦笑)』




これが正しい結論なのかわからない


このあとがどうなるのかも


いま頭の中にあるのはただ一つ




配車、配車、配車、…





(涙)





………
明日の日曜も仕事は休めるけど



月曜からの支度に、今日このまま東京に帰るつもりだった





センターに戻ると、隊長の一人が



『いつも晩飯とか一人なんですか?

今夜よかったらご一緒しませんか?』




突然の誘いを嬉しく思い、出発を明日の朝一にした↑




まずはその前に、みんなで風呂へ行く事なった



よく行く銭湯は今日定休日だとかで、やむを得ず風呂がぬるいと評判の銭湯(笑)




遠野駅に近いこの銭湯は、洗い場も湯舟も小さいが


おばちゃんがたった一人で営んでいた




温度が下がると薪をくべに行き、番台は留守になる



もう辞めようかと考えていたが、この震災から多くのボランティアが押し寄せた




思わぬ大繁盛↑



しばらく辞められなくなったって





いつものセンターの仮設シャワーでない


久しぶりの湯舟に、夏からのの疲れを癒す




評判と違い温度が高い



なんだか、おばちゃんのやる気が伝わってくるようだ!!




高田町に入ってから毎回いる女性、

紅一点か?女性の隊長、

それと、銭湯までと乗せてきてあげた女性達を待ち

野郎4人は外で一服

(-。-)y-゚゚゚




今夜の趣旨は


センターの受付をするボランティアのアフロ君の実家高知より魚が届いて

それを元総隊長の居酒屋で妹さんにさばいてもらい、みんなで呑もうといった話で



店の座敷を予約してあるらしい





店にはうちらが一番乗り


とりあえずの乾杯!



目の前には高知から届いたマグロに伊勢海老と、かなり豪勢な宴会




追っかけ集まったのは総勢12人


賑やかな宴の始まり↑




土曜日の今日は地元のお客さんも多く満卓


ドリンクの注文は間に合わず、任せてとばかりに隊長の一人がカウンターに作りに行く



そのまま他の席の注文取りまで!



そのうち戻らぬ隊長からビールがピッチャーで届いた






真ん中に座ってしまった俺の左には隊長達


右には前回一緒に班長をした本日の長老


その隣に昼間のカメラの彼


斜向かいには新隊長と、顔だけは解る呉服屋さん


そしてやはり前回お会いした北海道の聞屋の女性




北は北海道から関東関西



みんなここ遠野のセンターで、陸前高田で出会った人達




一回り上の長老に始まり、
二周り三周りまで、年齢も様々



会って間もないけど



みんないい仲間!





隊長達が居るこの座敷には、別で来ているボランティアさんも立ち寄って


わいわいと盛り上がる↑





いつしか話は唯一の共通点

今までの、そしてこれからのボランティアの在り方とか



ここに辿り着いた人達の熱い討論!




もっとどうするべきか


どこまでやるべきか



そしていつまで




長期化するボランティア活動に、町の復興や被災者の自立が最近の課題




経験や体験、考えもいろいろだが、みんな気持ちは一緒です!






『あ、バスの時間!』と、隊長



銭湯まで送った女性は今夜の夜行バスで帰ると、見送りに行くと立ち上がった



隊長に続いて、オレもオレもとみんなで駅に向かった



いつもみんなを出迎えて、見送るのは、長期滞在する隊長達の役目



必ず笑顔で大きく手を振ってくれる




駅前のバス停には数人がバスを待っていた



そこにいるほとんどがボランティアに来た人達



あきらかに見送りの方が多い




突然の隊長の見送りに喜ぶ人


酔っ払いの勢いに萎縮する人




程なくバスが来てみなさん乗車



隊長率いる酔っ払い達は整列



バスに向かって、笑顔で大きく手を振った!





上着も持たずに慌てて出てきたから、ちょっと冷えてきた




短い遠野の秋





今夜もぐっすり寝れそうです…





………
昼休み




今日はホントに天気がいい!




8月に入ってる時は大概曇り空だった陸前高田



高田町に入るようになってからは晴れた日もあったけど、
今日の海は格別に輝いている




『ホント海がきれいだね↑』


思わず口にすると



『ホントにいい所ですよね!』


と、今知り合ったばかりの人




瓦礫越しの海



考えれば皮肉なもんだけど、綺麗な景色を見るとホッとする




隊長達の周りには、初対面でもそんな会話が出来るリピーターが集まる


お互いをなんとなく理解出来るから、親しくなるのも早い



隊長や長いボランティアさん達は、そんな出会いのきっかけをくれる




さっきまで、指示や段取りを煽ってしまった新隊長も、今は楽しく話に参加する




午後はさらに海側に入ってと新隊長の指示だったが、


総隊長に、それより手前を纏めてくれと言われたらしい




午前中の新隊長の指示に
うちの班の道具は置いて来たから、山側に入るには行って来いの大移動↓



楽しく話したさっきはおしまい!




『お前にはやられた~↓』


と、新隊長をからかう




20代前半の新隊長



現実は厳しいのだ(笑)





午後のエリアには大きな水溜まりが



ムリせずその奥からでいいと言われたが


今日の班なら行けると、あえて水溜まりエリアを選択



みんなも快く作業開始!




俺は熊手で水溜まりの中の瓦礫を陸揚げする


木片やビニール、サッシの一部や鉄筋棒



たまにコンクリート片



さすがにこの熊手では…と



よくよく考えればゴム足袋の俺



バシャバシャ入って手掴みでとる!



大好きな水仕事↑





すぐに脇の畦道では、珍しく総隊長が作業をしてる


夏場に伸びきった雑草が
初めて入る場所、間を開けてしまった場所の瓦礫を多い隠す



最近、あとの作業の為にと隊長達が草刈りをしている




あきらかに不慣れな総隊長は、この前草刈り機の使い方を教わったらしい



前に前にと範囲を伸ばすが、後ろの畦道は虎刈り状態↓



見てらんないと、俺は鎌の代わりに剣スコップで後処理を始めた


剣スコは草も根っこも切れる便利なヤツ




草刈り機のエンジン音に、俺に気づかず先に進む総隊長

俺は後ろに、人の気配に気づいて振り返ると



うちの班の一人が、終りかけた作業に手をあまし
俺に真似て、剣スコで農道から刈り損ないを片付けてくれてる



そしてその後から、刈り倒された草を一カ所に集め始めた女性軍


まったく今日の班の人達は気が利く、よく出来た人達だ





班のエリアを終らせ、みんなで総隊長の後片付けして


今日の作業は終了!





昼休みに仲良くなった彼が一眼レフを手に総隊長に言う



『今日の景色撮っていいですよね?』




決めたポイントがあるのか、海に向かい少し走ってカメラを構えた



俺も後ろから携帯を構えた




最後に残る俺らに、慌てながも笑顔で戻ってくる(笑)




帰りのバス



『帰りも松見て帰りますか!』と、運転手さん



団体が多く乗る今日の路線バス


海沿いの道を曲がると、路肩にバスを止めてニコリと俺を見た運転手さん



それに答えて振り返る


『後ろに見えるのが、奇跡の松です!写真とか撮られても結構ですよ~!』






さすがに疲れたのか、おとなしくなった女子高生達



『今日は頑張りましたか?』
と、眼鏡の彼女に声をかける




行きとははっきりと違う顔つきで、今日感じた事を話してくれた


朝に川の駅で買った陸前高田の写真集を彼女に見せた


前と今の比較写真、分単位で撮られた津波の経過写真


さっき通った建物や道に、俺がここで聞いたいろんな話を彼女に伝えた



朝とは違う疑問が返ってくる



彼女はまだ高一



ここに来て、今日一日で大きく成長したように見える






始めてテレビで見た衝撃


ここに来てわかる現実



大人の俺ですらそうなんだから、若い世代や子供達に与えたものは大きい




すっかり寝てしまった周りをよそに
遠野まで、彼女といろんな話をした




………
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