翌日の上長部は復興祭り当日の準備



駐車場の白線引きだとかその程度だからと

総隊長は大槌の隊長に声をかけてくれた





大槌の隊長からは高所、木の上に引っ掛かってしまった港のロープやビニールの撤去を頼まれた。




何度と来た遠野で大槌の隊長とは挨拶を交わすぐらい


俺も大槌自体初めてだったが


陸前高田の総隊長の前フリのお陰で、俺らの仕事柄も理解してくれていて

若い大槌の隊長とも直ぐに打ち解けた





当日になると若干の予定変更


手を焼いていた土台外しの要請がかかる





この作業には、
前回の飲み会で一緒だった盛岡の呉服屋さんが任されたていた



この方、好きで道具も揃えていてよく大工さんに間違われてる(笑)



本格的な建築よりな仕事と一般ボランティアも入らずにいつも一人で

作業が進まなかったらしい


今日は俺ら5人が助っ人






軽トラの荷台に乗り込み、現場に向かった





大槌は陸前高田違って、山が近い



やや急な斜面を津波が上り立ち並ぶ家を押し流した



残ったのは基礎と土台だけ




普通ならアンカーボルトを外せばなんなく取れるが



塩を被って7ヶ月



ボルトはサビつき、引き曲げられていた





まずは出来る限りにボルトを回してみた



力任せに外れる物もあったが、曲がってしまった物は当然ムリ↓



やはり道具が足りない




こんな時、知恵を搾るのが俺達 鳶



みんながいろいろな策を出す!


バールを使って土台そのものを裂いたり


焦れったいと大ハンマーで基礎を割ったり




そんな感じで、バタバタと一軒を終わらした






上から始めた作業



海に向かってを見下ろすと、海岸近くまで残った基礎が続いてる



その大概の土台外しは終っているようだった




残っているのは、
どうやってもボルトが回らなかった5、6軒





この調子でやっちゃいましょうか!





そんな勢いで午前中早くに作業完了した





下まで降りて来た作業



すぐ脇の崖の斜面に他のボランティアが入っている



今日の大槌は全体を二班に分けて、山の斜面に残る瓦礫の撤去をしている




午後からはもう一カ所の斜面に移動して、その斜面から伸びる木の上に引っ掛かった物を撤去する事になった




まだ昼には早いからと、次の現場の下見に行くことにした





移動中、軽トラの荷台から見る町はリアルな現実を伝えてくれた



車窓とは違うフレームのない景色は、見落としがちなもの


その時に、その後に起きた事



それから今までの経過




それに気づいて息をのむ






港に面した道路脇の崖



先に入る班が下から斜面を片付けている



中にはかなり高い所まで攀じ登っている人もいた




捕まりながら登るような斜面の中腹から、大きく枝を伸ばした木が何本もあり

その張り出した枝の先には、船の停泊に使う太いロープが下がり、他にもビニールなどが絡んでいた




確かに、一般のボランティアが登るには危険だった





一度、道具類が置かれる大槌の拠点に戻り昼食を取る



12時




辺りに軽快なメロディーが鳴り響く



ひょっこりひょうたん島♪


今目の前に見えるのがひょうたん島のモデル



話は聞いていたが、いざ流れるとみんなが笑顔になる!



ここは景色を変えてしまった今だって
洒落っ気のある港町






午後の木登りに向けて準備開始



足元はいつものゴム足袋から地下足袋に変更



道具はロープやら鳶口などを見繕う



長いハシゴでもあればと思うが、ここにある物で勝負!



作業開始



まずは大きなロープの下がる一番キツイ斜面



真下には、他のボランティアさんが入らぬように指示!



中腹の木の根元から手をつけた





瓦礫を退けだすと、その下から外壁に使うヘーベルが出てきた



その上の枝の股にはコンクリート製の側溝




津波がなにもかもを巻き上げたのがわかる





うちのチームも自然と各場所に配置して、手分けでの作業




俺はさっき見つけた輪になった短めのロープを肩から提げて木に登った



手前の細めのロープ、ビニール袋



大振りの枝を徐々に前に進む





大きなロープにたどり着く



下で見るより遥かに太くて重い




下から短い棒をもらって梃代わりに、

枝の股に食い込んだロープを少しづつ上げる



そしてぶら下がったロープをゆっくりと手繰って




なんとかいける!




下に居る人に声をかけて、最後の尻手を落とす



それを見ていた人達が
思わず拍手↑





その後もさらに前に進む




まだ枝先にビニールや細いロープがかかってる



手摺りにと掴む枝と、足元の枝が自分の体重で開いていく




肩に提げる短いロープの出番


手摺りの枝にロープをかけ、そこに体を入れ


ロープを先にずらしながらビニールに向かった




枝もなんとか体重に堪えて先端のビニールを無事に撤去



難所は終えたが、他の枝もそんな繰り返しで片付けていった




他のメンバーも崖の上へと撤去を進めた






作業時間が短い午後



ぼちぼち終了になる



斜面部隊は上の道路まで撤去を終らせ、
俺もほぼ完了して取り残しを探す




他のボランティアさん達が入っていた場所の頭上に



一本細いロープが


俺も最後の一つと木に登るが、如何せん枝が細すぎる


下からはみんなが長い棒を探してきて突っつくが、後少し届かない



木の上から周りを見渡し、脚立の上に上がってと指示を出す!



垂れ下がったロープの端をに手が届き無事に回収



最後の一本はみんなの協力で!





斜面と木の上このエリアが元の姿になった…





………
東京には戻れたが、
この車の持ち主と乗車メンバーは上野浅草界隈



深夜1時の到着では家に着けず、仲間の事務所に一泊


明日の始発で帰る事にした





翌朝の帰宅




仕事の合間に携帯を開く



昨日の帰り道から見ている中古車販売サイト


使い勝手の良かった前と同じ車も探すが


距離を考えればもう少し大きなエンジンを


この先の季節を思えば4X4




しかしながら今の自分の懐事情では国産はムリ↓



でも選んだり悩んだりしてる時間はない




なにより先に廃車手続き


福島のディーラーまで!





あれから三日目に決断


前と同じメーカーの一つ大きなサイズの車にした



納車予定は翌月の15日



せめてもの救いは、次回仲間と行く遠野は乗せていってもえる事だった!





10月に入るとみんなと打合せ




遠野 陸前高田の総隊長に日程と参加人数を伝えた



『待ってました兄貴戻りますか!
了解です!』の返事





東京の待合せ場所


初めて数人の仲間と共に、遠野に乗り込んだ!





上長部での朝礼




班分けをして作業の説明の中



俺らの班には別の作業と


総隊長が用意してくれてたのは





今まで多くの方と頑張ってきた、ここでの活動も終盤


そこで企画された復興祭りの最後の仕上げ作業




地元の人と一緒にと作る丸太小屋



今その骨組み出来ている




俺らはその小屋の下の整地を任された




重作業であり、仕上げ仕事でもある



俺達を理解してくれてる、総隊長






上には長部の大工さんがまだ仕事をしていた




職人なのか漁師町育ちか



東北のオヤジさん達は寡黙




上下になる作業に声をかけるが、ぼそっと返事をするだけ



そんな雰囲気にちょっと緊張してしまう↓





ふと、8月にちょうどこの小屋の辺りで瓦礫拾いをしたのを思い出す




道具だったり、釘がまとまって出てきたり、


たぶんこの辺りに、建築屋さんか大工さんが居たんだと直感した



その家の方かもしれない






整地は距離のある砕石の運搬



砕石と言っても集められ分別された小さな瓦礫




一輪車での運搬



みんなの配置が決まり作業開始!






現場でも有り得ないほどの運搬距離




それを見て見兼ねたかオヤジさんの一人がキャリアに乗って来た





『これ使え!』



キャリアとは、土木現場なんかで使われる、キャタピラでトラックの様な荷台が付く、かなり小型の運搬機



もちろん遠慮なくお借りした↑





他のメンバーも一輪車で継続して運搬



かなりキツイ作業にも、本業の意地


みんな音を上げずに頑張ってる!





今日の班は、うちのメンバーにプラスして3人の女性と、一人の男性


女性には整地を頼んで作業を分けたが、俺らの作業ペースに巻き込まれた男性


ハードな運搬にいくらマイペースでと言ってもすっかり同じ気持ちで動いてくれてる




俺もつい夢中になりがちだったが、とにかく小まめに休憩をとった






午後になると、同じ明後日の復興祭りに合わせて作っているグランドに使う砂が丸太小屋にも届いた




砕石の仕上げに撒く



総隊長の作業説明にはなかったが



すぐに対応


砕石が敷けた所から撒いていく





本来、これが現場仕事なら、丁寧に定圧するが、ここにそんな道具はない





それでもやっぱり、しっかり仕上げたい!




最後にみんなで歩いて踏み固める事にした






総隊長の終了の声



なんとか時間内に間に合った





今日うちの班意外は、小屋より先で作業をしていた



戻ってくる人達を見て


ちょっといい事を思いつく↑





『すいませ~ん!踏み固め作業にご協力お願いしま~す!』



戻ってくる他の班の皆さんに、小屋の中を通って帰ってもらう!




『真ん中に限らずお好きな所を歩いて下さ~い!』



前を見て直ぐに皆さんが理解をしてくれて


あえて端を歩く人、後から来る人に説明してくれる人



100人ぐらいの人達が、楽しそうに、思い思いに、踏み固めてくれた





無事に終らせた作業に



いつもの元総隊長の居酒屋で乾杯!






同じ気持ちで、一つのチームとして



ここで呑める事がなにより嬉しかった…




………



みちのく一人足袋!-DSC_0688_ed_ed.jpg
頭の中の混乱は治まらないないが、一つの決断をしたせいか突然腹が減ってきた↓




思えば今朝は余裕をかましてコーヒーのみ


それからと言えばただ必死で…




ちょっとコンビニにと言う余裕もなく仮設住宅についた





鍋は沸かされ、鉄板にも火が入り戻りを待ち構えていた




『どうでした?』



『廃車にしました~!』



『え、はいしゃ!?』









準備は万端


炊き出しの始まり!





状況の解らぬままにオロオロする俺



とりあえずと、活動申請の都合上の写真係を頼まれた




今回2ヶ所の仮設住宅分となんにしても量が多い



しかしながら人数も少なく調理が始まるとみんなバタバタ




集会所と外に大きなコンロ


具材を調理にパッキングと


外と中で行ったり来たり




手の空く俺が双方の間に入り運搬係になる





出来たてをあったかいうちにと


みんなの手が止る事はなかった





しかしいい匂い↑



俺のすきっ腹は鳴りっぱなし↓




つい焼かれる肉を目で追ってしまう







もう1ヶ所の仮設住宅には配達と、数が揃うとワンボックスに積み込みをする


数を確認してドアをしめると





『運転してって!』



オレ!?




まったく今日はよく走る日だ






日が落ちだした夕暮れ時


前に走る車について行く




前を走るのは、地元福島の方で確かお店をやってるとか…



この方が裏道をやけに飛ばす



ついて行くのも必死!





一方こっちの助手席に座ったのが、この企画の中心人物



前にも紹介されたが、確か名前が…なんだったっけ?



今日一日中、動揺してる俺に名前を覚える余裕などない


それでも、車の中の会話は弾んだ!





俺は今の自分の活動や岩手、陸前高田の話をした



彼はもちろん福島の話



熱くなる復興、支援談義





辺りがすっかり真っ暗になる頃に、配達先の仮設住宅についた





集会所の中に配達分を降ろすと、早速に集まってきた方々に配る



お母さんにお父さん、爺ちゃん婆ちゃんに子供達



皆さんの笑顔を見れば、車の事や俺の腹など、どうでもよくなる↑





一緒に手伝ってくれた方もいて、無事にお届け完了!




この炊き出しがここに来るのは初めてらしく


こちらの代表の方と手伝ってくれた方とで、少しお話を聞かせてもらう事になった




窓口でもある、ここまで前を走ってくれた人が炊き出し隊の代表として話をする


その中で、初めてこの活動の趣旨や経緯を聞いた



今後の活動の参考に、数量や要望などを確認




同じ福島人同士の会話は、方言のある和やかな感じ



盛り上がる会話は、いつしか住民の方が、この仮設に来るまでの話になっていった



傍らに座った俺はただ黙って耳を傾けた




今ここでのされてる話を聞いてるうちに


俺は今の自分に気づき始めていた


次第に居心地が悪くなっていく



さっきまでの勢いはなくなり心の動揺が増す




そして恥ずかしさでいっぱいになっていた






それは東京に居る時間


確かに前はニュースや報道をいつも気にしていた



ただある次期から、その内容が、電力会社の話や東京への影響ばかり


ボランティアの減少や風化を訴える場所に通う俺には、いつしか耳障りに聞こえていた



その結果、テレビや新聞を見る事もなくなり、他の情報をも遮断していた





ここに来て思う一見平穏な町に、見過ごしたり聞き流したりしそうになっていた事を思い返す



今ここに住む方の思いや怒り

そして子供達に降り懸かってる事



俺は今ここで起きてる事を何も知らない




俺の思いが別の場所にあるからとか、子供がいないからとか


知らなかったなんて言い訳でしかない



そんな気持ちで今ここに居る自分がなにより悔しかった






戻る車の中、助手席の彼が


やっぱりどこの場所であっても思う気持ちは一緒ですねと言ってくれた


その言葉に少し救われる


さっき聞いたお話を踏まえて話は続く



あんな事とかもっとこんな事をしたいと、この先にしていきたい支援を熱く話してくれる



俺もそれに対して
だったらこんなのとかどうですかと答えた



前向きな会話に、さっきまでの自分の気持ちが薄れていく






他のみんなが待つ仮設では片付けも終っていた



荷物を積み込み、福島で預かってくれると大きな道具を運んで全てが終了した



俺も本来の目的、東京まで送ってもらう





配達先での話をすれば、
調理した仮設に残ったメンバーからも、こんな話を聞いたとか

帰りの車でも話は尽きなかった



その話に参加してるうちにこれからの自分に、はっきりと思う答えを見つけた




今までしてきた活動、
そして新しく見つけた活動


たまに間違っちゃったり、失敗したり



そんなんでもいいぢゃん!

思う事、出来る事


自分が納得いくまで続けて行こう!





その為にも…





まずは車を買わなくては(笑)






………