先日、経皮吸収型製剤の勉強会に参加してきたのですが、その中で坐剤について興味深いことを学んだので、紹介します。
「解熱鎮痛剤は、坐剤と錠剤、どっちが早く効きますか?」
こちらの質問は実際にされたわけではありませんが、このことについて考えてみたいと思います。
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解熱鎮痛剤の坐薬は、処方薬ではボルタレンサポなどがありますが、市販薬には大人用ではありません。
(大人用の市販薬の坐剤は、便秘薬や痔の薬くらい。)
こども用のみ、アセトアミノフェンの座薬があります。
大正製薬さんのこどもパブロン坐薬です。
こちらの商品は、1才~12才まで使用することができます。
我々薬剤師は大学時代に、『坐薬は内服薬と比較して、肝臓初回通過効果を受けないのでバイオアベイラビリティが高く、吸収も速いので、速く効く。』と習いました。
確かに、ボルタレンを投与した場合など、錠剤より坐剤のほうが最高血中濃度到達時間が短く、速く効きます。
しかし、必ずしもすべての医薬品が、坐薬のほうが内服薬より速く効くわけではありません
処方薬のカロナール(成分はアセトアミノフェン)の錠剤と坐剤をそれぞれ200mg投与した場合、最大血中濃度到達時間は坐剤:1.3時間、錠剤:0.46時間であり、
錠剤のほうが早く効果が現れます
処方薬の制吐剤であるナウゼリンに至っては、最大血中濃度到達時間が坐剤:2時間、錠剤:30分であり、圧倒的に錠剤のほうが速く効きます。
以上のことから、アセトアミノフェンの坐薬をあえて選択するメリットはなさそうですね
(実際、うちの店舗でも全然売れていません。
病院では、アンヒバ坐剤はよく処方されているようですが。)
1才から使えるアセトアミノフェン単味の粉薬なども販売されているので、
どうしても口から薬が飲めない、という場合以外は、坐剤よりも内服薬を選択したほうが良さそうですね。
本日は以上です(^∇^)