数年前に本屋さんで立読みした雑誌に



【もっと素敵な自分になるためには】



というような特集記事がありました。




何だか軽く違和感を感じました。




もっと素敵な自分ってなんだろう。。
と思ったんです。




もっとスリムになった自分とかなら
わかるんですよ。



もっと素敵な自分って意味が
私にとっては暴言と同じ音に
聞こえた気がしたんです。




周りからの承認がないとダメな
「素敵さ」なのかしら。




その雑誌をパラパラとめくって
見ると、その雑誌がいう【素敵さ】
がどんな感じかはわかりました。




自分の生活とはあまりにも
かけ離れていた。



雑誌の中の人の、着ている服や
家具や食器、ライフスタイルなど
まるで違う。



ふと雑誌から顔を上げた時には
自分に謎のガッカリ感。




せっかく気分良く本屋さんに
来たはずなのに。




立ち読みする私の隣で同じ雑誌を
手に持っているお姉さん。




そのお姉さんは、その雑誌から
出てきたのかと思うほどキレイな
女性だった。



お姉さんは元々美人だと思うけど
きっと努力しているはず。




お姉さんは努力しているけど
私は努力をしていないと、いつもの
クセで無意識にレッテルをはった。



そしてまた謎の罪悪感。 





ちょっと前に流行った「ありのまま」



聞き心地が良い感じもします。



「あなたはありのままでも
                                     愛されています」




あまりにも見聞きするもんだから
胸焼けをおこしてました。




ある時、美輪さんが言いました。




どんなに美味しい大根でも
畑からとってきて、泥がついたまま
なんて食べられませんよ。



ちゃんとキレイに洗って
丁寧に包丁を入れて丁寧にとった
出汁で煮る。



それをキレイな器に丁寧に盛って
初めて食べられる。



「ありのままなんて
                   冗談じゃありませんよ」と。




やっぱりそうですよね。。。




でも果たして、自分がどんな調理の
仕方をしてきたか、今どんな器に
乗っているのかと考えた時には
すっかり謎の疲労感。




数年前まで、この謎のおんなじ所を
行ったり来たりし続けていました。




自分が良い感じに思えたり
思えなかったり。



情報や気分によって簡単に左右される。




引きこもりダイエットを始めた時は
純粋に楽しめていた。



体重が軽くなる度に、心の重りも
軽くなっていった。



自分はとっても良い感じだと
どんどん自信がついた。




ところが。。。

目標だった社会復帰をすると
途端に情報が入る。




それによると私はまだまだ太って
いるということ。




とってもスリムになったと思って
いたのに、まだデブと言われる
領域だったなんて。。。。




とりあえず夕食を完全に抜くことにした。




仕事帰りに、お腹ペコペコのまま
洋服屋さんへ。



少しでもウエストが細く見える服を
フラフラになりながら、ひたすらに試着。



試着室の鏡に映る自分の顔が
何だかとっても悲しげ。



口元の両サイドにはシワが
くっきりと入っていた。



鏡の中の自分をじっと見ながら
自分に無言で伝えた。



「細く見られたいんだよね。
   一体誰に細く見られたいの?
                    誰もあなたの事なんて
                                 見ていないのに。。」




どこを目指しているのか
一体誰になろうとしているのか?



自分とはぐれてしまっているのは
薄々わかっていたんです。



わかっているけど、本来の自分が
どこにいるのわからなくなっていた。




気がつくと本来の自分と
はぐれたままに結婚していた。




そしてまさかの引きこもりに
逆戻り。



夫は何もしない憂鬱な妻を
養うという謎の罰ゲーム状態。



だから事故にあった時に思ったんです。



自分にバチが当たったんだと。




ベッドの上でオムツにうんちを
出して、母にかえてもらう。



「うんちがちゃんと出て良かったね」



と言ってくれた母を見て
あの日のお母さんを見つけた。




お母さんは私のことをずっとずっと
愛してくれていたのね。




歩行器に自分の尿袋をぶら下げ
ながら、コルセットをつけて
病院の廊下をヨチヨチと初めて歩く。




真っ直ぐ前にある突き当たりの
窓の景色が見たくて必死に歩く。




夕日に照らされた真っ赤な山々が
とってもとっても綺麗だった。




ただ生きていることが
嬉しくて、嬉しくて仕方ない。




その窓に笑顔の自分がいた。
久しぶりに自分を見つける。




「そこにいたんだね」と心の中で
   話しかけた。




「ずっといたけどね」と
  笑顔で笑われた気がした。




なんだ。カオスだったのは自分では
なかったんだね。。。




私は私にしかなれないんだね。




もっと素敵な私を探してウロウロ
しながら、私は私とはぐれてしまった。




自分を見失ったと思っていたら。。。
空っぽになった私が
なんと私だったという
おかしなことになっていた。。。



もっと素敵ってなによ?



大きなお世話ですよ。



私は私にしかなれないの。



それ以上にもそれ以下にもなれないの。




だから私は私として十分に素敵なのよ。




「もう、はぐれたなんて勘違い
                                しないようにしようね」



と自分としっかりと手をつないだ。












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