私はよく知らない男性を夫だと思い込み
話しかけてしまう事があります。



夫は肩幅が広くガタイが良いので
中々インパクトのある姿をしています。



なので、私がしっかりと人を
見ていないのだと思われます。



行きつけの食べ放題のお店でのこと。



注文してから料理を取りに行く瞬間は
毎回至福のひとときです。



それぞれ別々に慣れた手付きで
料理をテーブルに運びます。



サラダをお皿に盛っていた時に
隣で夫もサラダを盛っていました。



あれ?確かさっき見たテーブルに
てんこ盛りのサラダがあったはず。。。



「さっきもサラダ取ってたよね?
 また取ってるけどそんなに食べるの?」



と隣の夫に話しかけながら顔を
見たら全く知らない男性でした。



男性は知らない女に馴れ馴れしく
話しかけられてびっくりしていました。



私はすぐに平謝りしました。



「ごめんなさい。夫と間違えて
  しまったんです!すみません!」



男性は苦笑いしていました。



言い訳ですが、紺のチェックの上着と
体型がそっくりだったんですよ。



スーパーで買い物中のことです。



店内を仲良く二人で見ることは
ほぼありません。



私は野菜コーナーから順序良く回り
夫は半額お惣菜コーナーに真っ先に
向かうのが好きです。



時々カートを押しながら歩いている
私を見つけて、商品をカゴに入れて
またどこかのコーナーに消えていく夫。



その日はたまたま、夫がカゴを持ち
私が商品を持って夫を探すという
パターンでした。



素早く店内をうろつく夫を若干
キレ気味に探してようやく見つけました。




夫のカゴを見たら、見慣れない鶏肉が
入っていました。



「えっ?何で鶏肉が入ってるの?
   モモ肉嫌いだったよね?」



と話しかけながら、手に持っていた
商品をカゴに入れようとしたら
さっとカゴをずらされました。



何するのよ!とキレ気味に顔を見たら
全く知らない男性でした。



またやってしまったよ。



とっさに謝ろうとしたら、男性は
足早に逃げて行きました。



ごめんなさい。でもせめて、
せめて言い訳だけでも聞いていって!



逃げていく男性の背中を見送りながら
自分が恥ずかしくて残念になりました。



その後、レジで男性と被ったので
必死に夫の背中に隠れました。



間違えてしまう時は、いつも勝手に
夫だと思い込み、顔を見ないで話しかけて
いた事に気が付きました。



それから、話しかける時はちゃんと
顔を確認してからと、注意するように
したところ、直前で気がつくことが
出来るようになりました。




そんなある日のスーパーでのこと。



いつものように夫は半額お惣菜コーナー
へと消えて行きました。



私はカートを押しながら野菜コーナーを
見ていた時に、前から来る女性を見て
ドキッとしました。



髪型が少しだけ違いましたが、その他の
体型や顔つき、服装までもが自分と
そっくりでした。



私、洋服もバックもほぼ「マライカ」
というお店で買った物を身につけています。

それを母は民族衣装とよびます。



なので田舎で服が被るなんてことは
ほとんどありません。



なのに、前から来る女性と服装が
激似だったのです。



しばらくしてその女性も私に気がつき
びっくりしていました。



お互い数秒間見つめ合いました。



もちろん人見知りなので話しかける
なんて出来ません。



お互い、会釈もニコリともしません
でしたが、何だか一瞬で共感みたいな
温かい気持ちが伝わって来ました。



その後何事もなかったようにお互い
また買い物を続けました。



世の中には自分と似ている人が何人か
いるなんて聞いた事があります。



実際似ている人に会うとなんか嬉しい
もんなんだね。とホッコリしながら
カートを押していました。



あまりにも気を抜きながらカートを
押していたのでしょうか。。。



すぐ後ろにピッタリと男性がいたことに
しばらく気がつきませんでした。



あまりにも近すぎる男性にびっくり
して思わず避けました。



するとその男性は商品を見るフリを
しながら、私の事を全く見ないで
また私に近づいて来ました。



何、何、何、何なの?
こんなに近くに知らない男性が
近寄って来ることなんかありません。



さっきのルンルン気分が一瞬にして
すっ飛び、一気に不穏な世界へ。



足早に反対側のレーンに逃げました。



すると男性も私を追いかけて来ました。



そして私の横にピッタリと服が触れる
距離までくっついてきました。



オカシイヨ。完全にこの人はオカシイ。



私は動くのをやめて毅然と
男性を睨みました。



すると、知らぬ顔で商品を眺めていた
男性がついに怒った私の顔を見ました。



その瞬間、男性はバケモノでも見たかの
ような顔でのけ反りました。



「すみませんでした!!」



と男性は叫んで一目散に逃げて行きました。



身体中が心臓になったかのように
騒然となりながらも「何だったの?」と
ちょっと面食らっているところに
慌てた夫が来ました。



「いやー、マジであぶねーよ!
  ブーちゃんそっくりな人がいたんだよ!
  いやーマジで、もう少しで触るとこ
  だったよ!マジであぶねーよ!」

(ブーちゃんは私の愛称です。)


と珍しく夫がテンパっていました。



後ろから近づいて腕を触る直前に
横を向いた女性の顔を見て、気が
ついたらしいのです(笑)



夫は私の柔らかい二の腕をついつい
触ってしまうのがクセです。



確かに、知らない女性の二の腕を
つかんだら、御用になります。



「いやーマジであぶねーよ。変な服
  着てんのが他にもいんだなっ」



と口の悪い夫は肝を冷やしていました。




その時にハッと気がつきました。
さっきの男性はあの女性の旦那さん
に違いないと。



確かめずにはいられませんでした。



あの女性を探しに早歩きで
カートを押しました。



夫が途中、「ほらあの人だよ」と
教えてくれた先にいた人はやっぱり
あの女性でした。



そしてその横にいた人もやっぱり
あの男性でした。



こっそりと見ているつもりでしたが
男性は私と夫が見ている視線に
気がついて、ギョっとなって
必死に奥様の影に隠れていました。




突然、挙動不審な動きになった
旦那さんに、「何、どうしたの?」
となる奥様。



全てを知っているのは私だけです。



何だかミニコントみたいな出来事
でした。



これ以上旦那さんを困らせたら
いけないので、買い物中やレジは
被らない様に気をつけました。




平和なある日の夕方の出来事でした。





皆さまも人違いして、知らない人に
話しかけたりするなんてことは
ありませんか?(笑)