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Asian Film Foundation 聖なる館で逢いましょう

アジア映画に詳しくなかった私がアジア映画を観てます♪
ネタバレはできるだけ避けております…(ㆆᴗㆆ)*✲゚*。⋆

 

 

 

いつも読んでいただき、ありがとうございます。

 

5日、韓国の〝国民俳優〟アン・ソンギさんが亡くなられました。

 

31日でしたが、前日の30日の午後4時頃、アン・ソンギさんがご自宅で具合が悪くなられて、集中治療室に入院されたと、日本語のサイトでも報道されました。

私はハッとしました。

 

アン・ソンギさんは2022年に、2019年から血液のがんで闘病生活を続けていることを告白されていました。

2020年に完治判定を受けたが、6ヶ月後に定期検診で再発が確認され、その時、闘病中だったんですね。

 

以後、ご出演された映画が公開もされましたし、公の場に出席されたことも報道されましたが、私はいつも心配でした。

どうか、アン・ソンギさんのご病気が治りますように、お元気になられますように ―― アン・ソンギさんのことを思い出すたびに、そうお祈りしていました。

しかし ―― それまでのようなお元気な活動の報道はなく、いつも私は不安でした。

 

去年の11月には、俳優パク・チュンフンさんがご自分のエッセイの出版記念記者懇談会で、アン・ソンギさんの健康状態が良くないことを話されたと報道がありました。

パク・チュンフンさんも直接はお会いできてなかったんですね。

この時の報道で、私の心配の気持ちはさらに高まっていました。

 

そして31日、アン・ソンギさんが深刻なご病状で集中治療室におられることを知り、私は不安になり、気が沈んでいました。

ですので今年のお正月は私は、あまり楽しくありませんでした。

ずっとアン・ソンギさんのことが頭にありました。

 

私は、仲のいいシネマ・ウォッチャーいとっぺさんのブログにアン・ソンギさんのことをコメントさせていただき…もちろんいとっぺさんもご存知だったのですが ―― 不安や心配を分かち合っていただきました。

 

それでも私はきっとアン・ソンギさんが意識を回復するはずだと、そう信じていました。

きっとお目覚めになると ―― 。

私はそう考えるんですよ。

 

が、いとっぺさんのブログに再びコメントさせていただいて、すぐ…5日、午前9時頃、アン・ソンギさんは亡くなり、すぐにそのことが報道されました。

 

私はその時、アン・ソンギさんのご病状だけを検索しておりましたので、「あビックリマーク」と気が抜けたように驚いたことを記憶しております。

 

 

私が生まれて初めて観た韓国映画についてお話しましょう。

 

『神様こんにちは』 ―― 

 

詳しい方の記録によると、この作品は1994年3月13日、(当時の)NHK教育の番組「アジア映画劇場」で放送されたそうです。

 

いろいろ思い出すと…おそらく、映画が好きな両親がこの作品をビデオに録画し、家族で観たのだと思います。

当時、「アジア映画劇場」で放送される映画が両親は好きで、それで家族で観ることがありました。

両親は映画で子どもたちに学んでほしかったんでしょう。

私も放送された幾つかのアジア映画を観ていますが、韓国映画は『神様こんにちわ』を観ただけだと思います。

 

『神さまこんにちは』はぺ・チャンホ監督の1987年の作品で、小学生の時に脳性麻痺となり慶州への遠足に行けなかった青年ピョンテが、あらためて慶州の膽星台を目指すロードムービーです。

今、あらすじを確認していて涙がこぼれそうなんですが、そうかといって私はこの映画のことを鮮明に記憶しているわけではありません。

ピョンテと、彼が出会う「詩人」、そして妊娠した女性をぼんやりと覚えているだけです。

 

ただ、観た時、感動したし、最後、泣いたように覚えてます。

以後、ピョンテのように障がいのある方を見かけても、偏見を感じたりしないよう、映画が教えてくれたと思います。

 

あとあと知ることになるのですが、そのピョンテを演じていたのがアン・ソンギさんでした。

アン・ソンギさんは30代前半だったと思いますが、私にはもっと若く見えましたね。

 

 

その日、アン・ソンギさんが亡くなったことを知ってから、私はずっとアン・ソンギさんのことを考えて、「アン・ソンギさんの映画を観よう」と思いました。

 

やることをすませたあと、まず2005年の『デュエリスト』を観ました。

 

この映画の主演はハ・ジウォンとカン・ドンウォンなのですが ―― 二人の(特にカン・ドンウォンの)セリフは多くなく、一番喋るのはアン・ソンギさんが演じたアン捕校。

 

この映画ではハ・ジウォンとカン・ドンウォンのロマンチックな剣のバトルが有名ですが、アン・ソンギさんの卓越した演技や体全体を使う表現も圧倒的です。

イ・ミョンセ監督のユニークな映画芸術…何度も韓国公開版を観ていますが、やはり好きな映画ですね。

奇妙な笑いと耽美があって…この映画ならではです。

 

韓国公開版には「カン・ドンウォン、ハ・ジウォン、アン・ソンギ、監督による対談コメンタリー音声」があるので、アン・ソンギさんが恋しくなったら私はきっとこの「コメンタリー音声」を聞くと思います。

アン・ソンギさんの優しい声を聞くために…。

 

 

『デュエリスト』を観終えてから次に、同じイ・ミョンセ監督の『NOWHERE 情け容赦無し』(1999年)を観始めました。

 

パク・チュンフンさんやチャン・ドンゴンさんが出演したバイオレンスな刑事もの…。

この映画でアン・ソンギさんは寡黙にして残忍、そして隙のない殺し屋「チャン・ソンミン」を演じられてます。

 

一瞬でターゲットを殺害し、警察の裏をかいて逃亡する恐ろしい殺人者…でも、愛人の女性(チェ・ジウさん)の住まいに現れてしまうのが意外と人間味があるなあ…とか。

 

最後はアン・ソンギさんとパク・チュンフンさんの雨の中の泥だらけのバトルですが…暴力は時に、強い生命力を感じるなあ…。

 

 

韓国では「永遠のコンビ」といわれたアン・ソンギさんとパク・チュンフンさん。

 

 

『NOWHERE』の次には、『シルミド SILMIDO』(2003年) ―― この作品は韓国映画を全く観ていなかった私ですら知っていた作品ですし、有名な映画なので知らない人の方が珍しいかも。

 

監督はアン・ソンギさんと何度も組まれているカン・ウソクさんですね。

 

北のキム・イルソンを襲撃するため、編成された684部隊。

シルミ島での過酷な訓練を経て任務遂行を目指す彼らだが…。

 

ハッキリ言っていろいろと苦手で、私の好きになりなさそうな映画なはずなのに、気がつくと何度も観ている作品です。

やはりこのエネルギーと熱さ…傑作なんですよね。

 

アン・ソンギさんが演じるのは684部隊訓練隊隊長「チェ・ジェヒョン准尉」。

この作品は戦争の映画で、軍人たちの映画ですが、チェ・ジェヒョン准尉の人柄には責任や倫理という言葉が浮かびます。

684部隊の事件については何とかならなかったのかと私も思いますが、チェ・ジェヒョン准尉を責める気持ちにはならない。

映画では彼は悲劇的な形で責任を果たします。

 

『シルミド』を観ていて…684部隊の任務は中止となり、部隊の男たちの間で鬱積と苛立ちが溜まっていくことになり ―― そこまで観た私は眠ってしまいました。

チェ・ジェヒョン准尉の最後を観る前に。

 

 

私が最初に観たアン・ソンギさんの出演作は『神様こんにちわ』だったわけですが、時を経て2014年、私はすっかり韓国映画に魅了されていました。

 

その年の1月に観た『第7鉱区』(2011年)が次に私が観たアン・ソンギさんの出演作だったんですね。

 

孤立した海上でモンスターとの戦いを強いられる人たちの物語で、観た時、韓国映画はこんなのもやるのかと思ったし、すぐに好きになった覚えがあります。

あの頃、韓国映画を続けて観ていき、いろいろ知ることが最高に楽しかったなあ…。

 

私がいつ頃からアン・ソンギさんに注目し始めたか…それはやはり、その年に観た『シルミド』の印象が強かったんだと思います。

 

私がこれまでに観たアン・ソンギさんの出演作は…数えてみると、32本のようです。

2023年の『ノリャン 死の海』は、回想シーンで『ハンサン 龍の出現』での出演シーンが使われる形だったので、数に入れてません。

 

 

 

神様こんにちは 1987年
ホワイトバッジ 1992年
太白山脈 1994年
スキャンダル 永遠なる帝国 1995年
パク・ボンゴン家出事件 1996年
美術館の隣の動物園 1998年
NOWHERE 情け容赦無し 1999年
真実ゲーム 1999年
キリマンジャロ 2000年
MUSA 武士 2001年
黒水仙 2001年
醉画仙 2001年
ピアノを弾く大統領 2002年
シルミド SILMIDO 2003年
ARAHAN アラハン 2004年
デュエリスト 2005年
韓半島 ハンバンド 2006年
ラジオ・スター 2006年
墨攻 2006年
光州5・18 2007年
最高のパートナー 2008年
不器用なふたりの恋 2009年
第7鉱区 2011年
折れた矢 2011年
ザ・タワー 超高層ビル火災 2012年
トップスター 2013年
ゴシップサイト 危険な噂 2013年
神の一手 2014年
ラストナイツ 2015年
殺戮にいたる山岳 2016年
ディヴァイン・フューリー 使者 2019年
ハンサン 龍の出現 2022年




アン・ソンギさんの出演作ですから、私が観ていた作品もさすがに多いですね。


アン・ソンギさんは1957年、5歳のときにキム・ギヨン監督の『黄昏列車』で、子役として映画初出演されたそうです。

 

そしてそれからのご活躍は ―― 今はまだ、私には語る資格はないと思います。

なぜって、アン・ソンギさんの出演作をまだまだ観れていないからです。

私が語れるのは2014年から私が観てきた1000本以上の韓国映画です。

 

アン・ソンギさんはドラマにお出にならなかったので、どうかすると日本ではドラマで人気の若手俳優よりも知名度は高くないかもしれません。

それはまあ、外国での人気度まで年功序列というわけにはいかないし、そんなことはアン・ソンギさんの俳優としての偉業にはあまり関係のないことです。

 

面白いのは、当時、韓流ブームで人気絶頂だったヨン様が来日していた時、同時期に日本に来て取材を受けていたアン・ソンギさんがヨン様に電話して激励されたとか…。

ヨン様もさぞ恐縮されたと思いますが、アン・ソンギさんの優しい性格を知る上でも楽しいエピソードです。

 

ある時期から主演ではなく助演に回られ、若い人たちを応援するような映画出演に移行されているのも、アン・ソンギさんの人柄だと思います。

俳優としての演技が力強いのはもちろんですが、逆に自分が自分がというエゴは全く感じられない方でした。

 

私にとっては韓国映画とは、まず、アン・ソンギさんがいて、チェ・ミンシクさんがいて、ソン・ガンホさん、ソル・ギョングさん、キム・ユンソクさん、チョン・ウソンさん、イ・ジョンジェさん、もちろんファン・ジョンミンさん、ハ・ジョンウさん…大勢、本当に優れた俳優さんたちがいて、当然、女優さんも活躍していて…そういった世界をいつも感じていました。

 

アン・ソンギさんたちの世代の俳優さんたちが、大好きだったんですよ。

と同時に、アン・ソンギさんは絶対的な存在でした。

 

また、アン・ソンギさんは小栗康平監督の『眠る男』(1995年)や紀里谷和明監督の『ラストナイツ』(2015年)と、日本人監督の映画にも出演されてます。

映画祭や出演作のキャンペーンで何度も来日されてますね。

「難しい」と言われる日韓関係ですが、アン・ソンギさんにとってはそこまで難しくなかったかもしれない。

時間と機会があれば、もっと日本映画にも出てくださっただろうし、日本の映画やドラマで活躍する韓国人俳優のことを嬉しく感じられていたかもしれない。

 

伝え聞くところによると、撮影現場では優しく、年下の人たちに配慮する人格者だったそうです。

それは…演じられた役からもにじみ出てる気がする。

 

一つ、パク・チュンフンさんが監督した『トップスター』(2013年)の中で、人気が出て傲慢になりつつある主人公の俳優(オム・テウンさんが演じておられました)に対し、「諌める」場面が…アン・ソンギさんはそういう立場の方だったのだろうと私は想像していました。

もちろん、『トップスター』のあの場面のように、諫められた俳優が無礼に反抗する、なんてことはなく、アン・ソンギさんの前で気恥ずかしく感じて恐縮し、自分を正したに違いない。

 

 

結局、私が映画館で観ることができたアン・ソンギさんの映画は『殺戮にいたる山岳』と『ディヴァイン・フューリー 使者』の2作だけでした。

作品としての評価はともかく、私はアン・ソンギさんの演技をスクリーンで見ることができて嬉しかった。

いや…そうじゃない。

私は『殺戮にいたる山岳』と『ディヴァイン・フューリー 使者』をスクリーンで観ることができて光栄でした。

 

 

これまでに観たご出演作の中で、どれか1本を選ぶとなるともちろん選べるものではないけど ―― 2001年の『黒水仙』 ―― 私はあの映画のアン・ソンギさんが好きです。

 

『醉画仙』(2001年)の中で、再会したアン・ソンギさんにチェ・ミンシクさんがすがりつく場面も良かったなあ。

アン・ソンギさんが出演したイム・グォンテク監督の映画は、全部、全部、観たいですよビックリマーク

 

そういえば1998年の『ソウル・ガーディアンズ 退魔録』…いかにも私が好きそうな作品で、DVDも買ってあったのに観てなかったのですが…観る時が来たのだと思います。

それから2001年のアニメ映画『マリといた夏』 ―― アン・ソンギさんやイ・ビョンホンさんが「声優」として参加されている ―― この映画のDVDも買ってありました。

また観たいと思います。

 

と書いてるんだけど、う~ん…店頭で売っていたアン・ソンギさんの映画…「あの時、買っておけば良かった」というのはありますよ…。

 

 

韓国映画を観ながらいろいろ考えていて…「もしもこの役をアン・ソンギさんが演じていたらはてなマーク」という楽しい想像はあったし、やはり、もっともっと映画に出ていただきたかった。

アン・ソンギさんよりもお歳が上でも元気に映画に出られている俳優さんもおられるんだから…もちろん亡くなったことが悔やまれる。

 

これを書いてる時、悲しかったんだけど…私はこれからもアン・ソンギさんの映画を観て、感想を書いていく。

その役目を担いたいと思った。

そして誰かがアン・ソンギさんの映画を観て、感動するのを知りたい。

誰かが、アン・ソンギさんの映画を観ているのが好きです。

 

私にとってアン・ソンギさんはお父さんのような存在だった。

「この映画を観てごらん…」そんなふうに優しく導いてくれるような…。

アン・ソンギさん、イコール、韓国映画だったのだ。

アン・ソンギさんの前では恥ずかしいことはできなかった。

 

私は韓国映画のお父さんを失った。

でも、これからもお父さんの生きた韓国映画を観ていく。

栄光あれ、世界の映画に惜しみなく称賛を。

 

偉大な映画俳優のご逝去に際し、深く悲しみ、日本より追悼する気持ちを心からお伝えします。