野良犬 (1949年) 黒澤明監督作品 | Asian Film Foundation 聖なる館で逢いましょう

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9月17日から公開中

偽りの隣人 ある諜報員の告白

映画 『偽りの隣人』 公式サイト

 

9月23日公開

整形水

映画 『整形水』 公式サイト

 

9月24日公開

殺人鬼から逃げる夜

『殺人鬼から逃げる夜』 公式サイト

 

10月15日公開

ビースト

10.15 Fri.公開 映画『ビースト』 公式サイト

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

皆様、アンニョンです(^-^)ノ

いつも、ありがとうですキスマーク

 

9月20日、この映画を観ました~カチンコ

 

 

 

 

 

野良犬 の ら い ぬ

 

 

7月に『七人の侍』(1954年)を観て、その面白さにすっかり魅了されたんですけど、その次、8月にに観た『隠し砦の三悪人』(1958年)もさらに輪をかけて面白かったんですね。

 

たしかに、結局は人間、何にでも合う・合わないはあるでしょうし、私は新しめの映画を好む方ですが、それでも『七人の侍』を観てこれは凄いと確信して、黒澤明監督の作品を今の私だからこそようやく楽しめるようになったのかもしれなし、そうなると他の作品も観ないと気がすまない心境です。

 

でも、これはけっこう若い頃に思いついてたことなんですけど、同じ監督さんの映画、同じ俳優さんが主演する映画だからといって、必ずしも自分に合わないこともある ―― そんなふうに私は思ってきたんですよね。

 

音楽だったら、ほとんど、同じアーティストの別のアルバムも必ず好きになるようです、私は。

文学は、そこまでわからないけど、やっぱりその作家の別の作品も好きになるようです。

CDを買ってガッカリした経験も思いつきませんし、一人の作家さんの本を続けて読んで後悔した覚えもないように思うんですよね。

本はまあ、あんまり読んでませんけどね~。

 

でも、映画はけっこうあったように思うんですよ。

その監督さんだから、その主演俳優さんだから、いつも必ず、ってことはなかったように思います。

 

韓国映画だったら、イム・グォンテク監督、イ・ジュニク監督、パク・チャヌク監督、ポン・ジュノ監督、リュ・スンワン監督、ファン・ドンヒョク監督、チャン・ジュナン監督、ナ・ホンジン監督・・・こういった監督さんたちの映画は必ずハズレがない、どころか、観るたびに新しい感動がありましたし、主演を担う俳優さんだったらチェ・ミンシク、ソン・ガンホ、キム・ユンソク、ソル・ギョング、イ・ジョンジェ、ファン・ジョンミン、ハ・ジョンウ・・・そして女性俳優ならキム・ヘス、チョン・ドヨン、スエ、ソン・イェジン、イ・ナヨン、ペ・ドゥナ、チョン・ウヒ、シム・ウンギョン、キム・ゴウン・・・パッと思いつくだけでも、かなり大勢ですね。

この方々の出てる映画は間違いなしと断言できるでしょう。

こういった映画人の映画は100%面白いし必ず好きになる、それが私にとっての絶対法則でしょうか。

 

日韓以外の映画監督ならコーエン兄弟ですね。

全作、好きなんですよ。

それからジム・ジャームッシュの映画も・・・。

英国のマイク・リーもですね。

 

来月の15日から『DUNE 砂の惑星』(2021年)が公開されますけど、ドゥニ・ヴィルヌーヴもそうなってくれはるんじゃないかと予想してます。

あまりにも私好みな映画を作られますのでね。

 

あ、私も観に行く予定ですよ、『DUNE』。

原作を読んだりしたことはないんですけどね。

 

いや、なんか取りとめもなく書いてますけど、要するに『七人の侍』を観て、『隠し砦の三悪人』を観て、次また『野良犬』を観て、同じくらいに満足できるのか、って、あつかましい話しなんですが ―― 結論、やっぱり最高に面白かったですよビックリマーク

 



解説 巨匠・黒澤明監督が初めて本格的な犯罪サスペンスに挑んだ意欲作。暑い夏の日の午後。若い刑事村上は射撃練習を終え、満員のバスに乗り込み帰路につく。しかし、車内でコルト銃を盗まれたことに気づき、慌てて犯人らしき男を追うが結局路地裏で見失う。コルトには実弾が7発。村上の必死の捜索もむなしく、やがてそのコルトを使った強盗事件が起きてしまう。窮地に追い込まれた村上は老練な刑事佐藤の助けを借り、コルトの行方を追うのだった……。真夏の都会を覆う息苦しいほどの灼熱の空気が緊迫感を生み出し、切れ味鋭い演出が目を見張る。(映画.com)

 

 

長島茂雄さんがこの映画の題名を「のよしけん」って読んでたって笑い話があるようですけど、ちょっと面白すぎて嘘っぽいなあ~。

「野球」の「野(や)」なんだから「やよしけん」って読みそうに思うんですがね(^_^;)


第二次世界大戦が終わって間もない東京、若手刑事の村上さんが射撃訓練の帰りのバスの中で大事な拳銃コルトをすられまして・・・いや、あの、射撃訓練場で拳銃を預かってもらう形だったらそんなことも起こらなかったんですけどね、拳銃を盗まれるなんて刑事さんにとって大失態でしょう。

 

そんな経緯で村上刑事は取り返そうと奮闘しますね。

で、ある人物にアタリをつけて、つけ回して糸口をつかむわけです。

なんか、ここで村上刑事が戦争から帰ったばかりの兵隊さんの姿になったので、私は「あ、回想シーンかな。村上刑事も戦争から帰って苦労したんだな」とか思ったんですが、違ってて、戦争帰りの刑事さんに変装して捜査してたんですよね(^_^;)

 

それで・・・怖い時代ですね、お金で拳銃を貸してるヤツの存在を知りましてね、どうもそのヤツが村上刑事のコルトを貸しよったらしいことが判明し・・・村上刑事を苦しめる事態が発生してしまう。

 

そして村上刑事はベテラン刑事の佐藤さんの力を借り、なんとかコルトを取り返し、犯罪を阻止しようとするのですが ―― そういった話しですね。

 

観る前は、若干、不安もあったんですけど、始まった瞬間からホントに面白かったです。

ってゆうか、またもや、のめり込めまして、それが嬉しかったですよね。

 

ちょうど、『殺人の追憶』(2003年)を私が初めて観た時の感じに近かったでしょうか、自分がそのジャンルにハマってるって感じられる嬉しさがありましたよね。

70年も前の映画なのに、キッチリ楽しんでましたよ。

 

ってゆうか1949年の東京の風景がホントに素晴らしかったですね。

それを目にして、感動しましたよ。

ああ、こんな景色だったのかと。

そりゃおそらく空襲で焼け野原になったからスカスカの街なんですけどね、その空間が気持ちよかったですよね。

ゴチャゴチャしたところはそれなりにゴチャゴチャしてて。

敗戦直後だけど、ちゃんと人の暮らしがあって。

 

そんな中で事件の捜査が行われ、物語は時が経つにつれ怖くなっていくんですよね・・・。

 

その時代の味わいにはセリフもあったと思います。

これは黒澤監督たちの脚本もあったのかもしてないけど、難しい言葉で話してるんですよね。

いい言葉を使うなあと思いました(私には難しい言葉もあり)。

昔の『サザエさん』なんかを読むとセリフが好きだったりするので私はこの時代の言葉が好きなのかもしれない。

 

 

主役の村上刑事を演じるのは三船敏郎さんなんですが、かなり「若手」って感じじゃないように思えたんですよね。

もうすでにベテランの風格で、100人くらい凶悪犯を捕まえてそうな顔つきに思えたんですよ。

もうちょっとナヨッとした若い俳優さんの方が役に合ってたんじゃないかと思いましたけど、でも当時、三船さんご自身が若手俳優だったのかもしれないし・・・まあ、ケチをつける気もないんです。

正直、「若手に見えない」ことの違和感は最後まであったんだけど、それはそれで気にしないように心がけてましたし、またこの映画の三船さんの演技は目を奪われる素晴らしさですしね。

 

そして、この『野良犬』を選んで観た理由は、志村喬さんが出てられるからですよ。

『七人の侍』ですっかりこのおじさまに心引き寄せられましたのでね。

『七人の侍』の勘兵衛、ホント好きです。

志村喬さん演じる佐藤刑事は初登場のシーンではなんかイヤな感じに思ったんですが、すぐにわかってきますね、この刑事さんは経験に裏付けられた的確なお仕事をする刑事さんなのだと。

 

以後、佐藤は村上の先生的な立場で導きつつ、刑事のイロハを教えていくことになりますね。

その渋い熟練の味に痺れましたわ~。

 

そういった意味で『野良犬』はおじさんのおじさんによる若手のためのおじさんですね。

 

俳優さんですが、お一人、お一人、ホントに素晴らしいです。

特に女優さんの演技にも感動しましたよ。

 

村上は自分が拳銃を盗まれたために犯罪が起こったと罪悪感に苛まれ、それは時間とともに強くなり、コルトを使った犯罪者に近づくにつれ、その犯罪者の境遇や人格にも考えをめぐらせることになりますね。

村上は復員兵で、そして犯人も・・・近い境遇です。

 

その物語は私には強く共感できる視点でした。

そりゃ私だって犯罪者に自分のものを盗まれれば怒りますし、家族や友達を殺されれば、命を奪いたいと考えると思いますけど、そこまで割り切れないとも思います。

今はまず、犯罪を犯した人と自分がそんなに違うのか、考えてしまう。

私だって追い詰められても犯罪は致しませんと断言できるほど傲慢でもない。

 

最後、村上は一人だけで犯人と対決することになりますけど、そこに二人の人間がいるだけなので、何かが違ってたらお互いが入れ替わっていたかもしれない困惑もあったように思います。

ないと、単純すぎる。

 

また、並木ハルミ(淡路惠子)も貧富の差についての怒りを口にし、村上はそれに反論もしますね。

でも表情からハルミの気持ちを全否定できないでいるのもうかがえます。

 

対して、佐藤の考えはもっと揺るぎないものですが、それは経験からなんでしょうね。

それはそれでああ話されると納得するのですね。

 

この映画は村上、佐藤、ハルミ、そしてセリフはないけど(悲鳴のように叫ぶ)真犯人の考えがせめぎ合うようなところがあって、すごく考えさせられました。

そりゃ、犯罪ってそんなものなんですけど、『野良犬』は今もとても深いと思います。

 

なんかインターネットで事件なんかに対するご意見を読んでもね・・・ハッとさせられるような言葉に出会うことはないなあ・・・。

ご自分の正義感や犯罪を憎む気持ちだけを声高に主張したいのか、ご自分が正しいと思われることを全力で人に押し付けないと気がすまないのか、そんなん読んでどうこうってものじゃないと悪いけど私は思ってます。

なんでこんな単純な人ばっかりになったんですか。

そりゃ犯罪に走る人は悪いけど、それを単純に断罪してるだけで何か生まれるとは思えないんだけど、厳罰化って人任せで浅慮の主張ばかりで逆にもう不思議です。

映画もそんな感じなのかな。

私は70年前の『野良犬』を観て、深く考えることを要求されたように思えました。

 

『野良犬』の時代を全面的に賞賛してるんじゃないですよ。

イヤだなぁと思う場面もあったし。

でも映画として割り切れないものもあり、だから今もこうして書きつつ考えさせられつつあるんだと思いました。

 

結論としてはホントに面白い映画だったし、『隠し砦の三悪人』に比べるとより明確なテーマを与えられた気がしました。

ジャンル的にはこの映画が私向きだったってことでしょう。

私は難しいけど、ミステリー映画や犯罪映画が好きなのかなあ。

 

こうなってくると、黒澤明監督作品、まだまだ観たい気持ちです。

思いがけず1940~50年代の映画に惹かれてるんですよね。

これは素晴らしいことですね。

こんな私までもターゲットにしてくれるんだから。

 

『野良犬』ですが、まだ観てない方は是非、観てくださいね。

 

そんな感じで今日もありがとうさんでしたキスマーク

またです、アンニョン~(^.^/)))

 



野良犬
Stray Dog
들개


1949年製作/122分/日本
劇場公開日 1949年10月17日
配給:東宝

監督・脚本:黒澤明
製作:本木荘二郎
脚本:菊島隆三
撮影:中井朝一
照明:石井長四郎
録音:矢野口文雄
美術:松山崇
振付:縣洋二(S.K.D)
音楽:早坂文雄
助監督:本多猪四郎
編集:後藤敏男
音響効果:三縄一郎

村上刑事:三船敏郎
佐藤刑事:志村喬
並木ハルミ:淡路惠子
ハルミの母:三好榮子
ピストル屋のヒモ:千石規子
桶屋の女房(遊佐の姉):本間文子
スリ係市川刑事:河村黎吉
光月の女将:飯田蝶子
桶屋のおやぢ:東野英治郎
阿部捜査主任:永田靖
呑屋のおやぢ:松本克平
遊佐(特攻隊あがりの復員兵):木村功
スリのお銀:岸輝子
レビュウ劇場の演出家:千秋實
ホテル彌生の支配人:菅井一郎
係長中島警部(村上の上司):清水元